ユニセフ(国連児童基金)が、先進国や新興国などの子供たちの幸福度を調べたランキングで、日本は身体的な健康はナンバーワンでしたが、精神的な幸福度ではワースト2位と発表しました。
この幸福度ランキングは、「身体的健康」「精神的健康」「スキル」の3分野での順位により、総合順位が決められます。
なお、7年前の2013年の調査結果では、若干比較データが異なりますが、日本の総合順位は31か国中6位という結果でしたが、2020年度は38か国中20位と悪化しています。
- 精神的幸福度:38か国中37位(生活満足度が高い子供の割合、自殺率)
- 身体的健康:38か国中1位(子どもの死亡率、過体重・肥満の子供の割合)
- スキル:38か国中27位(読解力・数学分野の学力、社会的スキル)
なぜ日本の子供たちは精神的幸福度が低いのか
この精神的幸福度は15歳時点での生活満足度が高い子どもの割合や、若者の自殺率から算出されています。ユニセフによれば、家族からのサポートがより少ない子どもたち、いじめに遭っている子どもたちは、あきらかに、精神的健康が低いとされています。
つまり、日本は世界に比べ、精神的な悩みを解消できずに苦しんでいる子どもたちの割合が多くなってきているのです。
また、多くの国で、生活に満足していると答えた子どもは5人中4人以下であり、その割合が53%と最も低いのがトルコで続いて日本が62%でした。
私にとって、この結果は意外でした。今の子ども達は、スマートフォンやSNSがあれば、友達とのコミュニケーションが取れるのはもちろん、ゲームや音楽などの娯楽もいつでも楽しむことができます。私たちが子どもの頃は決して、不便とは思いませんでしたが、それでも今の子どもたちは、私たちの時代に比べれば、不自由のない生活に見えたからです。
世の中が便利になればなるほど精神的幸福度が低くなる
注目すべきなのが、2013年度は幸福度上位20%以内にいた日本が、わずか7年で世界の平均以下へと下落している点です。
2013年から2020年にかけて、スマートフォンの普及によりLINEなどのSNSなどのコミュニケーションツールが劇的に変化した年だといえます。また、3Gから4G、そして5Gへと通信技術も劇的に発達し、オンラインゲームの普及やYouTubeなど余暇の過ごし方も大きく変化したといえます。
確かにスマートフォンの普及や通信技術が発達することにより、世の中は劇的に便利な世の中になったといえます。一方で、それら発達することにより、人と人が対面しなくてもできるコミュニケーションツールが普及しました。
新型コロナウイルスの影響により、これらのコミュニケーションツールがより一層、重宝されています。しかし、その一方、多くの人が孤独な時間が多くなっているのも精神的幸福度が低下する原因ではないかと考えます。
人と会えない時間が続いているからこそ、人と会う大切さを見直すべき
現在、新型コロナウイルスの影響により、ソーシャルディスタンスを保つ「新しい生活様式」が普及しつつあります。また、テレワークやオンライン会議など働き方の新しいスタイルを推進しており、今まで以上に人と接することのない世界へと変わろうとしています。
ZOOMなどの普及により、今までのスタイルでは会えなかった方と仕事を共にできますし、効率化も考えるとメリットの方が大きいかもしれません。
しかし、画面上ではなく、リアルにお会いした方が会話の熱量も違いますし、互いの感情をぶつけることができます。人と会えない時間が続いている時代だからこそ、人とリアルに接する大切さを見直す必要があるかもしれません。
まとめ
スマートフォンの普及が子どもたちの精神的幸福度を下げたという客観的な根拠はありませんが、明らかにコミュニケーションの方法は昔と比べ、大きく変わっているのは事実です。
一見、いつでも人とつながることができそうな世の中ですが、それは広くて浅いつながりであって、深いつながりではないかもしれません。これからも人と接することもなく、物事が完結していく時代にはなっていきますが、子ども達だけでなく、皆の精神的な幸福度があがる仕組みを考えなければいけません。