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所得拡大促進税制(賃上げ優遇税制)のメリットと3点の注意点とは

2021-12-09

 年末になると税制大綱の情報がテレビ番組でのニュースでも取り上げられるようになります。今回の税制大綱で大きく取り上げられる所得拡大促進税制。ニュースでは賃上げ優遇税制とも呼ばれていますが、この所得拡大税制は今回の税制大綱で大きく変わる模様です。

 全容がみえてきましたので、今回は2022年度の税制大綱で所得拡大促進税制がどのように変わるのか?そして、所得拡大税制の利用するうえでのメリット及びデメリットをお伝えします。

2022年度の税制大綱で所得拡大促進税制(賃上げ優遇税制)はどう変わる?

 所得拡大促進税制は大企業、中小企業により適用条件が異なりますが、共に賃金の引き上げや教育訓練などの取り組みに応じ3段階で条件が設けられます。

 大企業は継続して雇用する人の給与総額を3%以上増やせば対象となる一方で、中小企業では大きく適用要件が緩和され、新規採用も含めた雇用者全体の給与総額を1.5%以上増やすことを条件としています。

 現行の所得拡大促進税制は中小企業においても前年度から継続して雇っている人の給与の総額により、増加したか否かにより判断されたため、例え、決算書の前期比較で給与項目が増加していても適用できないということが実務上よくありました。

 今回は中小企業の場合は、新規雇用者も計算に含まれるため、従来よりも使い勝手が良くなったと考えています。

所得拡大促進税制(賃上げ優遇税制)による税額控除はどうなる?

 気になる所得拡大促進税制の税制優遇を確認していきます。

大企業における所得拡大促進税制は最大30%の税額控除

 大企業の場合には、継続雇用、つまり前年度から継続して雇っている人の給与の総額を見て判断をしていきます。なお、さらなる条件として、従業員への還元などを配慮していることを自社のウェブサイトで宣言していることも必要となります。

 前年度に対し3%以上増えれば、雇用者全体の給与総額を増やした分の15%を法人税から差し引きます。4%以上増やせば控除率を10%分上乗せして25%控除します。さらに教育訓練費を20%以上増やせばさらに5%分を積み増し、最大30%の税額控除を適用することができます。

中小企業における所得拡大促進税制はなんと最大40%

 中小企業は上述のとおり、大企業とは異なり、継続する雇用者だけではなく、新規の雇用者も含む全体の給与総額に着目します。

 前年度と比較し1.5%以上増やせば、増やした分の15%分を法人税額(個人事業主の場合には所得税額)から減らします。総額を2.5%以上増やせば控除率を15%拡大し、教育訓練費を10%以上増やすとさらに10%上積みされ最大40%の税額控除となります。

経営力向上の証明は廃止へ

 従前では、教育訓練費の10%以上の増加に代わり、適用年度終了の日までに中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており、経営力向上計画に基づき経営力向上が確実に行われたことにつき証明がされていることにより上乗せ措置がされました。しかし、今回は廃止された模様です。

 しかし、経営力向上計画の作成は補助金の加点になるなどメリットはあります。

経営力向上計画について知りたい方はこちらへ

所得拡大促進税制の適用により注意すべき3点とは

所得拡大促進税制は、他の税制と比べて適用要件と申請の難易度が高くないため、非常に使い勝手のよい税制の一つです。ただし、適用において注意すべきことがあります。

社員の給与は簡単には下げられない

 所得拡大促進税制を適用したいからと過度に社員の給与を上げてしまうのは禁物です。

 節税したいからと所得拡大促進税制を適用するために社員の給与をあげた結果、将来的に人件費が経営を圧迫する可能性があります。一度上げてしまった給与を簡単に下げることはできません。それでも適用したいのであれば、賞与などで調整してあげた方が社員も納得感はあるかもしれません。なお、自分自身の給与、親族への給与は計算では対象外です。

税額控除よりも社会保険料の負担が増加する可能性も

 意外と盲点となるのが社会保険料です。法人税や所得税を減らしたいがために臨時で賞与や昇給させ、所得拡大税制を適用できた一方で、増加額によっては社会保険料も増加してしまう可能性があります。

 節税はできたけども、社会保険料による支出が増えてしまったことにならないように、シミュレーションをしっかり行いましょう。

赤字企業においては所得拡大税制の恩恵は受けられない

 所得拡大促進税制は支払った法人税または所得税に対し減税されます。当然ですが、税金を払っていない企業においては、いくら従業員の給与が増えて所得拡大促進税制の要件に当てはまっても控除する税金がないので、恩恵は受けられません。当たり前の話ですが。

 なお、中小向けの補助金に、賃上げする赤字企業を対象にした特別枠を設けることも検討されています。

あなたの会社は所得拡大促進税制の適用ができていますか?

 所得拡大促進税制は要件さえ当てはまってしまえば使える、使い勝手のいい税制の一つです。ただし、計算が面倒くさいなどの理由で使っていない、検討すらしない税理士もいるのも事実です。

 山本聡一郎税理士事務所では、クライアント様との決算の事前打ち合わせで所得拡大税制が適用できるか否か検討しております。もし、自社でも適用できるのではないかと思ったら、顧問税理士に一度、確認をとるようにしてみましょう。山本聡一郎税理士事務所では、無料相談を実施しておりますので、適用できるか否か迷ったらご相談ください。

 また、私見ですが所得拡大促進税制は狙って使うものではなく、頑張ってくれた社員には日ごろから給与により還元することで、結果的に所得拡大促進税制が使えたという棚からぼたもち感覚で使っていきたい税制と考えております。

 節税することは重要ですが、あまりに税金を中心に考えてしまうと、経営に歪みが生じる可能性がありますので、注意しましょう。

最大250万円の事業復活支援金?支給要件・申請時期は?

2021-11-23

 11月20日に岸田内閣のもと新たな経済対策として、新型コロナウイルスの影響を受けた企業に対し、事業復活支援金という制度を設立しました。

 この事業復活支援金とは、2020年または2019年と比べ、売上高が大幅に減った事業者に対し、減収分の補てんにつなげる仕組みとなります。

 月次支援金は11月を最後に終了するため、その後釜となる制度と考えてもいいかもしれません。なお、月次支援金は地域・業種が限定されていましたが、事業復活支援金は地域・業種は限定されません。

 また、この事業復活支援金については、今後具体的な検討が行われるため、変更の可能性があることをご承知おきください。

月次支援金と事業復活支援金は何が違う?

 11月まで支給が行われる月次支援金は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の地域の飲食店と直接または間接的な取引があることで売上が減少した中小企業や個人事業主が対象でした。

 一方で、事業復活支援金では、地域や業種を問わず、コロナで売上が減少した全国の中小企業や個人事業主が対象となります。

 裏をかえせば、例え売上げが下がったとしても、新型コロナの影響を受けていなければ対象とはなりません。

 なお、月次支援金は月ごとに受け取る給付金ですが、事業復活支援金は1度限りのみの給付となります。

事業復活支援金の概要及び支給要件と給付額は?

 事業復活支援金は2021年11月から2022年3月までの5か月分を一括して支払う制度として、事業の継続支援に力をいれています。

 気になる給付額ですが、令和3年11月から令和4年3月のいずれかの月の売り上げ減少率に応じて、5か月分の売り上げ減少額を基準に算定した金額が給付される予定です(算定式は未公表)。

 50%以上の減収となった企業のケースの場合、年間売上高が5億円以上であれば、最大250万円が支給されます。1億円以上5億円未満の場合、最大150万円、そして1億円未満なら最大100万円となります。なお、個人事業主の場合には、売上の大小関わらず、最大50万円となります。

 2020年に実施された持続化給付金の場合、売上高が50%減の場合に限り、法人で最大200万円、個人事業主に最大100万円を給付されました。

 事業復活支援金は、売上高が30%減の場合においても給付されることから、持続化給付金の支給要件よりも緩和された形となります。

事業復活支援金の申請方法及び必要書類

 事業復活支援金も今までの持続化給付金・月次支援金・一時支援金のように原則、電子申請での受付となりますが、電子申請が難しい場合には、申請サポートが行われるようです。

 また、持続化給付金の際に不正が行われたことの反省を踏まえ、事業復活支援金では、一時支援金、月次支援金と同様に、不正防止のため商工団体や士業、金融機関等による事前確認が実施される見込みです。

 なお、持続化給付金の不正の取締りに対し21年度予算に数億円規模が取り組まれたそうです。くれぐれも、月次支援金・一時支援金の申告漏れには注意しましょう。

事業復活支援金の申請開始時期といつ給付されるのか?

 申請開始時期については、まだ公表されておりませんが、早くても年内には実施される予定です。

 給付時期に関しては、他の給付金と同様、事務局が受付けてから2週間以内に振込むことができる体制を整えていくようですが、申請開始時期には、持続化給付金の時と同様に給付がなかなかされないという事態が生じるかもしれません。

山本聡一郎税理士事務所が事業復活支援金サポートにおいてできること

 山本聡一郎税理士事務所では、事業復活支援金が事前確認制度を設ける場合には、月次支援金・一時支援金の時と同様、事前確認を実施しております(有料)。

 また、事業復活支援金においては、持続化給付金・月次支援金・一時支援金の時と同様に確定申告書の提出が必要となります。ですので、何らかの事情により、法人又は個人の確定申告を2020年をしていなかったため、給付金が受けられないという方に対し、税理士として確定申告の作成サポートを行っております。

 無料相談も実施しておりますので、お気軽にご相談ください。

時短営業による協力金で税金発生?節税方法3選とリスクとは

2021-10-26

 9月30日に愛知県も緊急事態宣言も解除されました。18日からは独自の厳重警戒宣言も解除され、全国的にも飲食店の時短営業も解除されており、まだまだ、マスクは外せない世の中ですが、アフターコロナを意識して経済が回り始めてきました。

 さて、弊所では飲食店を営むクライアント様を多く抱えておりますが、時短営業に協力されたクライアント様から、協力金で思わぬ利益(所得)が・・・というお話をよくいただきます。

 従業員を多く抱える飲食店さまにとっては、人件費・店舗の家賃で協力金なんて運転資金ですぐなくなってしまう現状かもしれません。

 しかし、自分ひとりや家族でお店を切り盛りしている方、小規模の店舗にて飲食店を開いている方の中には、運転資金よりも協力金が多くもらえる協力金バブルが起きている方も少なからずいます。

 今回は、思わぬ収入で税金が発生してしまった場合の節税の対象法及びリスクについてお伝えいたします。

協力金や月次支援金にはどんな税金が課される?

 そもそも、協力金や一時支援金、月次支援金を受給したら、この収入って税金上、どんな扱いを受けるの?と疑問を持っている方もいるかもしれません。

 結論からいうと、協力金や一時支援金などは、新型コロナウイルスの影響により減少した売上高の補てんの役割を果たすため、所得税または法人税の課税の対象となります。

 一方で、協力金等を受取ったことで商品やサービスの提供が行われたわけではないため、消費税の課税対象にはなりません。ですので、協力金や支援金をもらった方は必ず、確定申告をしましょう。

協力金で思わぬ税金発生!具体的な節税方法3選

 さて、家賃や人件費などの固定費を多く抱える飲食店では、協力金などは雀の涙にもならない状況かもしれません。

 一方で、小規模の店舗にて1人で営業する飲食店では、時短営業中の売上にさらに協力金が上乗せになる形になりますから、もしかしたら、コロナ前の収入よりも令和3年の収入の方が大きくなるかもしれません。

 さらに、飲食店の場合、通常、売上に対応する仕入などの原価が伴いますが、今回の協力金には原価がありませんから、利益がますます出やすくなる状況といえます(一部のニュースでは協力金で高級車を買ってしまったという方も耳にしました)。

 一部の方はさておき、新型コロナが終息しつつあるものの、新型コロナの特別融資やこのさき、まだ何があるかわからないからできれば、税金を減らして、手元にお金を残しておきたいという考えを持つ方もいらっしゃいます。次は具体的な節税方法を確認していきます。

① 年内に必要な消耗品費の調達や修繕を行おう!

 一番の節税の王道は将来への売上の増加のためへの投資のための必要経費や壊れていたものを治す修繕のためにお金を使い、必要経費を増やすことです。必要経費を増やすことで、利益(所得)が減るので、節税となります。なお、修繕の場合、現状が変わってしまうほどの大きな修繕の場合、減価償却の対象となる可能性があります。

 ただし、税金を払いたくないからと必要のないものを買ったり、飲み食いをしたりする方もいますが、それは節税ではなくただの無駄遣いです。また、駆け込みで自動車を購入される方もいますが、消費税対策としては有効ですが、所得税や法人税の場合、原則、減価償却となりますので、お金を使ったわりに節税効果が薄い場合もありますので、注意が必要です。

② 中小企業倒産防止共済(セーフティ共済)の利用

 所得税の場合、利益(所得)が大きくなればなるほど、税率が5%(住民税含め15%)から45%(住民税含め55%)に上がる累進税率が適用されています。

 また、法人税も中小企業の場合、年800万円以下の所得金額の場合15%ですが、800万円を超えると23.2%と税率が上がります。

 個人事業主の方で今回の協力金を含めた場合、もしかすると、例年の年に比べ、所得税の税率が上がってしまう可能性があります。そこで、活躍するのが、中小企業倒産防止共済(セーフティ共済)です。詳細は以前、まとめた記事があるので、参照ください。

年間240万円の経費計上ができる中小企業倒産防止共済とは?

中小企業倒産防止共済を利用することで、膨れ上がった所得を将来に繰延べることができるため、税率を下げることが出来ることができます。また、中小企業倒産防止共済は掛金の変更も容易のため、資金繰りが心配なときも安心して利用できるかと思います。

しかし、中小企業倒産防止共済を解約した場合には、雑収入として課税の対象となること、40ヵ月未満で解約してしまうと元本割れしてしまいますので、無理した掛金設定に注意しましょう。

③ 短期前払費用の特例を利用した家賃の1年前払い

 上述した消耗品の購入や倒産防止共済の加入は通常の運転資金にさらに支出を伴うこととなります。

 一方で、短期前払費用の特例を利用した家賃の1年前払いは、将来払うべきものを前もって支払うことで経費化できるので、将来的なキャッシュアウトを減らしつつ、節税効果を図ることができます。こちらも詳細は以前、まとめた記事があるので、参照ください。

家賃の1年前払いで節税!?短期前払費用の特例とは

 デメリットは、一度、家賃の前払いをしてしまうと、毎年前払いをしないと税務上の否認のリスクが伴います。また、家賃ですと通常、大きな支出となりますので、1年分を一度になると資金繰りを悪化させる可能性があるので、最終手段として考えて頂ければ幸いです。

最後に

 今回は協力金により思わぬ利益が生じてしまった場合の対処法をお伝えしました。今回、紹介した節税方法のうち、中小企業倒産防止共済(セーフティ共済)の利用や短期前払費用の特例を利用した家賃の1年前払いは、税金の支払いを将来に繰り延べるだけの手段です。また、必要経費を増やすことも本当に必要なものを購入することは有効ですが、全てにおいて共通することは、ともに節税をするためには支出が伴います。

 税金を中心に経営を考えてしまうと、資金繰りを悪化させることととなり、経営を悪化させる根源となります。過度な節税は避けつつ、資金があるときにしっかり納税した方が経営にとっては健全かもしれません。山本聡一郎税理士事務所では、節税のみのアドバイスだけではなく、資金繰りからアプローチした経営相談もさせて頂いております。無料相談も実施しておりますので、お気軽にご利用ください。

家賃の1年前払いで節税!?短期前払費用の特例とは

2021-08-28

 決算月が近づき、まさかの業績が思った以上に良かったということはありませんか。もちろん、このコロナ禍で業績が良かったことはいい反面、節税のために慌てふためくことは良くある話です。今回は、節税の即効性の高い「短期前払費用」についてご紹介します。

気軽に使える!?短期前払費用の特例とは

 決算月に駆け込みで自動車を購入しても減価償却の対象となってしまうため、1月分の減価償却費のみしか計上できず、即効性のある節税方法とはいえません。一方、「短期前払費用」とは家賃や会費など、契約を結んで毎月継続的に発生する費用を1年分一括して前払いするという方法です。これらを決算日までに来年度の分もまとめて支払うことで、経費を先取りすることができます。

 例えば、家賃を月に20万円支払っていた場合、20万円×12か月分の240万円となります。9月決算だとした場合、9月までに家賃1年分240万円を一括支払うことで、その事業年度は家賃分を24か月分、経費計上されることとなります。

短期前払費用の特例を利用するときの4つの注意点

① 短期前払費用は等質等量の継続サービスに適用

 この短期前払費用は何でも適用されるわけではありません。この適用が認められるのは、一定の契約に従った継続サービスで、その内容が「等質等量」であることが必要とされています。つまり、コンサルティングや顧問料など、たとえ毎月同額を支払っていても、そのサービス内容が月ごとに異なるものは、短期前払費用の規定は適用されないため注意しましょう。

② 税務調査対策のため、契約書などまき直しの検討

 家賃等であっても税務調査等で否認されることのないように、1年分前払いする際に、契約書の支払条件も1年分を前払いすることに変更するか、別途覚書等を作成して書面に残すことも大切です。

③ 短期前払費用は継続性が必要

 なお、この短期前払費用による節税は継続性が必要となります。ですので、1度行ったら、最低でも3年間は先払いを続ける必要があります。

④ 結局は翌年度の費用の前倒し

 また、短期前払費用は所詮、翌年度の費用を前倒しにするだけですので、根本的な節税にはなりません。あくまでも最終手段の小技とかんがえましょう。

短期前払費用の特例による資金繰り悪化に注意しよう

 この短期前払費用は家賃など支払金額が大きいほど節税効果は高くなります。

 しかし、上述のとおり一度、短期前払費用を利用したら、翌期以降も利益の有無関わらず継続しなければなりません。短期前払費用は手元の現金を大きく減らすことでもあります。

 また、決算月に短期前払費用を計上した場合、2か月後には納税の月となります。節税を中心に考えた余り、資金繰りが悪化してしまうこともよくあります。長期的な事業計画を考えたうえで短期前払費用を検討していきましょう。

年間240万円の経費計上ができる中小企業倒産防止共済とは?

2021-08-13

 年度の途中で、今期は利益が出てしまうかもしれない、思わぬ保険解約返戻金、補助金の受け取りで利益が出てしまい少しでも節税したいと考えることもあるのではないでしょうか?節税として利益の圧縮のために、不必要なものを購入してしまうことは本末転倒です。賢く節税する方法として、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)を検討してみてはいかがでしょうか?

中小企業倒産防止共済とはどんな制度?

 そもそも「中小企業倒産防止共済」(経営セーフティ共済)は、中小企業の倒産を少しでも防ごうと国の機関の独立行政法人中小企業基盤整備機構により創設されたものです。

 中小企業倒産防止共済は例えば、取引先が倒産して支払いが滞ったというような事態が起こったとき、経営が苦しくなったり、さらには連鎖倒産したりすることのないよう措置が取られます。

 最大で積み立てた金額の10倍、最高8,000万円までを無利子、無担保、保証人不要で借りることのできる、中小企業にとってはありがたい共済制度です。

 ただし、中小企業倒産防止共済への加入には条件があります。

 製造業や建築業であれば、資本金3億円以下、従業員数300名以下、小売業の場合には資本金5000万円以下、従業員数50名以下で、いずれも1年以上事業を行っている企業です。掛金は、累計800万円までで、月5000円から月20万円まで選ぶことができ、年間最大240万円支払うことができます。

補足ですが、法人設立1年目では、中小企業倒産防止共済へ加入することはできませんが、個人事業から法人成りした場合には、個人事業の年数を含めることができますので、法人1年目でも加入することができます。

中小企業倒産防止共済により節税する方法とは?

 では、「中小企業倒産防止共済」(経営セーフティ共済)により節税するためには、決算日までに、上限240万円まで支払います。この支払った掛金は全額経費として計上することができます。

法人税申告書別表十(七)「特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」を提出

 ただし、経費にするためには、法人税の申告書の別表十(七)の「特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」の箇所に、必要事項を記載して提出する必要があります。具体的には明細書の欄には以下のことを忘れずに記載し提出しましょう。

  • 基金に係る法人名: 独立行政法人中小企業基盤整備機構
  • 基金の名称: 中小企業倒産防止共済
  • 告示番号: 記入無し
  • 当期に支出した負担金等の額: 掛金の合計金額
  • 同上のうち損金の額に算入した金額: 掛金の合計金額

 意外とこの作業を忘れてしまう方が多いようです。実際に、税務調査で記載してなかったことを指摘され、否認された例もありますので、必ず記載し提出しましょう。

中小企業倒産防止共済の節税法で気を付ける3ポイントとは

 決算日までに中小企業倒産防止共済により最大240万円を経費に計上するためには、3点注意があります。

  1. 「中小機構」と契約している金融機関を選ぶこと

  手続きを取る金融機関は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)と業務委託契約を締結している委託機関、または金融機関のみとなります。弊所が所属している名古屋税理士会も委託機関になっているため、税理士経由で加入が可能です。

  1. 手続き完了に日数がかかる

 手続きが完了するまでに、1ヶ月ほどかかる場合があります。よって、1ヶ月以上余裕をもって手続きに臨むようにしましょう。

 また、2年目以降も同じく前納で1年分を支払う場合にも同じく1ヶ月以上前に手続きする必要があります。特に2年目以降は忘れがちになるため注意が必要です。

  1. 40ヵ月(3年4ヵ月)未満での解約の場合元本割れ

 40ヵ月(3年4ヵ月)以上積み立てれば、掛金100%が解約時に返戻されます。ただし、1年未満の場合は掛け捨てとなってしまうため、加入するなら長期戦で臨むようにしましょう。

日本政策金融公庫で必要な創業計画書の書き方とは?

2021-08-09

 創業計画書は、創業の動機となる「創業者の思い」を文書化し、その思いを達成するための手段を整理したものであり、創業を実現させる上では、創業計画書は欠かすことのできないものです。

 創業計画書といえば、一見、日本政策金融公庫における融資や補助金の審査のためにのみ必要と思いがちですが、けっしてそんなことはありません。創業を考えているすべての方が作るべきだと考えています。今回は、創業するうえで欠かすことのできない創業計画書についておつたえします。

創業者の思いの実現までの道標の創業計画書

 特に「なぜ」創業しようと思い立ったかという創業の目的および動機についてはきちんと整理しておく必要があります。

 なぜなら創業した後には、多くの競合と対峙していかなければなりません。目的や動機がはっきりしないままの創業では、金融機関等に対する説得力が不足するばかりではなく、厳しい状況に直面した時にそれを跳ね返す力が発揮できず、せっかく創業しても事業計画が困難になることもあるかもしれません。

 計画書の作成段階で、創業の目的や動機をはじめとした「創業者の思い」を改めて整理しておきましょう。

根拠に裏付けされた創業計画書を作成しよう

 創業計画書は融資の際などの審査資料にもなり、企業外部の関係者にも提示することもあるため、形式上の体裁も整っている必要がありますが、それだけではたりません。

 表向き専門用語がちりばめられた、量の多い、第一印象は立派に見える創業計画書を見かけますが、いくら形式上立派な創業計画書があるからといって、実際の事業が成功するわけではありません。

 重要なのは、創業目的や動機、創業者の持つ「強み」、そしてその事業の商品やサービス等が競合他社の商品等に比べどのような点で優れているかという差別化要因とターゲットとして想定する顧客層に「なぜ」受け入れられると思うのかという根拠等、実現可能性に対する説得力です。

 そのスタートラインが曖昧ではその後の販売計画や財務計画、資金計画などをいくら考えても根拠のない、意味をなさない計画となってしまいます。それは絵に描いた餅なりかねません。

 創業計画書は、創業者にとっての道標になるのみならず、資金調達の際には、外部の投資家等へ提示するものでもあるため、その実現可能性について、説得力のあるものであることが大切です。

創業計画書の作成の支援を致します

 創業にとって欠かすことのできない創業計画書ですが、創業者のさまざまな思いがあっても、実際にそれを計画書としてまとめることは容易ではありません。創業計画書は、経営者の過去の経験、人脈、所有資金、実績、製品またはサービスの特徴および市場ニーズへの適合性など、創業者の持つ強みに基づいた、根拠づけをしっかり行った事業計画の作成の必要があります。

 山本聡一郎税理士事務所では、「なぜ、その事業を行おうと思ったのか」という創業動機の部分や、「新事業に生かすべき創業者の強みは何か」、「製品・サービスはどのような点で優れているのか」など創業計画書として文書化することの支援をいたします。ぜひ、あなたの夢の実現のために創業のサポートをさせてください。

創業における不安の原因は現状維持バイアス?

2021-07-23

 誰しもが転職する、新しい事業を始めることに対し、不安を感じることはないでしょうか?不安を感じることは人間として当たり前のことです。その不安を感じる理由としては「現状維持バイアス」という心理が働いています。今回は、「現状維持バイアス」についてとその克服方法についてご紹介します。

変化をすることに恐れる「現状維持バイアス」とは?

 現状維持バイアスとは、変化によって得られる可能性がある「得(リターン)」よりも、変化することにより失う可能性のある「損失(リスク)」に対して、過剰に反応してしまう傾向のことをいいます。

現状維持バイアスの人間が生まれ持ってもつ本能 

 人によって程度の差がありますが、誰もが持っている人間の本能といわれています。人間がまだ狩りをして生活していた時代、自分たちが住んでいる土地を離れて未開の地に行くことはどんな危険が潜んでいるかわからず、命の危険すらあり、大きなリスクが伴いました。

 よって、私たちの祖先は出来る限り、現状維持を望み変化することをおそれ、人間はそうして何千万年も暮らしてきました。現状維持バイアスは人間の遺伝子レベルに刻まれたプログラムといっても過言ではありません。

現状維持バイアスは私たちの生活の中に溢れている

 私たちは知らず知らずのうちに現状維持バイアスの影響を受けています。

 具体的には、もっとやりたい仕事があるのに、変化することをおそれ転職することができない。ダメ男とずっと一緒にいても駄目なことがわかっているのになかなか別れることのできない女性。仕事においても新しい方法・ツールを導入すれば効率化できることがわかっているのになかなか導入することができない企業。

 このように、私たちの生活において、現状維持バイアスは無意識的に働いています。

現状維持バイアスを克服するための3つの方法とは?

 では、この現状維持バイアスを克服するためには、どうすればいいのでしょうか?克服方法は様々な方法がありますが、代表例として3つ紹介します。

現状維持バイアスは誰でも発動することを認識する

 第一に誰しもが現状維持バイアスというプログラムを持っていて、無意識的に発動していることを認識しておくことが必要となります。

 つまり、変化より現状維持を過度に評価しやすい性質を持っているということを理解していきましょう。

最悪の事態が生じた場合を数字で考えてみる

 第二に、最悪を想定した場合を数字で考えてみることです。

 なぜなら、現状維持バイアスに陥る根本的な理由は、損失の回避です。損失とは金銭が失われてしまう場合や現在あるものがなくなってしまったり等様々です。その最大限の損失を数字で具体的かつ明確に表して認識してみましょう。

第三者からのアドバイスをもらう

 そして、最後に第三者からのアドバイスをもらうようにしましょう。

 なぜなら、第三者は、現状維持バイアスの影響を受けていないため、客観的で理性的なアドバイスをくれる可能性が高いからです。

最後に

 いかがだったでしょうか?私事ですが、私自身は、「迷ったら、とりあえずやってみる!」と考えています。税理士を目指す前はまったく違う業種で働いていました。長年のキャリアを捨て、様々な葛藤と戦いながら、税理士を目指すために勉強しながら税理士事務所に転職しました。おそらくこれが私にとっての「現状維持バイアス」だったと思いますが、克服したからこそ現在の自分があると思っています。

 今までのキャリアを捨てて、創業することは不安があるかもしれません。しかし、これも現状維持バイアスの影響といえます。上述のとおり、適正な判断を行うためには、現状維持バイアスの影響を受けていない第三者からのアドバイスをもらうことが有効です。山本聡一郎税理士事務所では、これから創業を考えている方に対し、無料相談を実施しております。あなたの考える事業計画をぜひお聞かせください。税理士としての専門家としてはもちろん、第三者からの視点でアドバイスをさせていただきます。

愛知県独自の新型コロナウイルス対策の応援金とは 最大40万円

2021-05-22

山本聡一郎税理士事務所です。令和3年5月18日に新型コロナウイルスの感染拡大で売上高が減った飲食店の取引先を支援するとの発表がありました。主に酒類や食品の卸売業者、農業者、観光事業者を想定しているようです。

愛知県独自の飲食店の取引先支援の応援金とは

今回の支援の発端は、時短営業の要請に応じた飲食店よりも支援が手薄だったことが考えられます。飲食店が時短や休業することで、飲食店のみならず、飲食店を取り巻く業者にも間接的にダメージがあったにもかかわらず、国からの「一時支援金」の条件が厳しく、使いづらいなど問題があったため、今回の支援策は金額の大小はあるにせよ、ぜひ利用して頂きたい応援金です。

今回の補正予算案で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で打撃を受けた事業者を支援するため総額113億円を確保しており、法人では1件最大40万円の応援金を受取れるようにしており、約4万件の中小企業や個人が対象となります。具体的には飲食店と取引がある農業者や食品卸売業者のほか、旅館や土産物店、タクシー業者が支援の対象となります。

愛知県独自の応援金の支給条件とは

今回の応援金の支給条件は、4月から6月の売上が、前年(2020年)か前々年(2019年)の同時期に比べ、30%~50%減少した法人に最大40万円、個人には最大20万円支給されます。なお、計算方法はより減少率が大きい年の実績で計算することとなります。

また、50%以上減った事業者は国が「月次支援金」を出しているため、そちらを利用することとなります。

今回の愛知県の独自の応援金は、国が実施している「一時支援金」「月次支援金」の条件にあてはまらなかった事業者に対する救済措置の支援金となります。応援金と一支援金の併用はできないため、注意が必要となります。

応援金以外のその他の救済策

飲食店と取引のある酒類の販売・製造事業者には、5月の売上が前年(2020年)か前々年(2019年)に比べ、30%以上減った法人に最大20万円、個人に同10万円支給されるようです。なお、50%以上減った事業者には国が別で支援金を出しているため、それに上乗せされる形となります。

そのほか県立・私立学校が4月以降、修学旅行を中止・延期した場合、キャンセル料を全額支援する方針です。山本聡一郎税理士事務所では、税務・会計のみならず、新型コロナウイルスによる支援策についても相談にのらせていただいております。無料相談も実施しておりますので、ご利用ください。

山本聡一郎税理士事務所の公式インスタグラムがスタート

2021-05-16

山本聡一郎税理士事務所の所長の山本です。

この度、弊所の公式インスタグラムがスタートしました。

公式インスタグラムはこちらをクリック

税理士という職業を通じて、日常の生活をお伝えできればと思います。

税理士をはじめ、士業は世間ではどうしても固い職業と思われており、他の税理士と何が違うのかインスタグラムを通じて感じて頂ければ幸いです。

インスタグラム上では、難しい話題はお伝えはしませんが、税理士としての山本聡一郎ではなく、日常の生活をお伝えできれば幸いです。

 

創業時の最初の課題!?新設法人で銀行口座が作れない理由

2021-05-16

 山本聡一郎税理士事務所の山本です。山本聡一郎税理士事務所ではこれから事業を始めていきたい、法人を立ちあげたいなど創業者の応援に力をいれております。これまで数多くの創業予定の方の相談にのらせていただきました。

 これから事業をスタートしようと考えているさなか、創業者自体が想定していなかった落とし穴もあります。今回は、税理士として法人設立の際に注意すべきことをお伝えします。

法人設立後の最初のハードルは銀行口座が作成できない!?

 現在、法人設立において、資本金1円にて株式会社を設立、株式会社設立よりも費用がかからない合同会社を作るなど会社設立のハードルが昔に比べ下がりました。その一方で、安易に法人設立してしまったことで、事前に専門家に相談しておけばよかったなどの声をききます。

なかでも法人設立後に多くの代表者から頂くご相談が、法人名義での銀行口座が作成できないというご相談です。

オレオレ詐欺などの特殊詐欺の増加から金融機関の口座開設が難航に・・・

 ニュースで、オレオレ詐欺や最近では新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の予約代行などの特殊詐欺をよく聞きます。これらの詐欺では、多くの金融機関の口座が悪用されており、当の金融機関側においても金融口座の新規開設において、このような詐欺において利用されないために、簡単には口座作成には応じない状況になっています。

 弊所の提携先の金融機関の担当者にお話をきいても、銀行内において、新規取引先の口座作成ルールがあるようで、せっかく窓口に来てもらって条件が整わなければ、取引できないというジレンマがあるようです。

法人設立後に銀行口座が作れない法人の特徴

 法人設立後、すべての法人が銀行口座を作りにくいわけではありません。銀行口座が作れない理由がありますので、代表例をご紹介いたします。

①法人設立の所在地

 銀行口座が作れない理由として一番多いのが、法人設立の所在地がどこにあるかです。法人設立における所在地は、法人用に準備した事務所でなくても、自宅でも登記が可能です。また、法人設立時などの事業の開始時は比較的に初期投資がかかるため、バーチャルオフィスなど登記をする場所のみを登記する方法が最近、増加しています。

 所在地に店舗・事務所実態や看板など客観的に法人が存在することが分かれば、問題はありませんが、自宅やバーチャルオフィスなどその所在地に事務所機能がない場合には、金融機関側も本当に法人として機能しているのか判断が難しいため、銀行口座が作れない傾向になります。

 金融機関の中には、バーチャルオフィスに登記というだけで受付にて口座開設を門前払いというところもあるようです。バーチャルオフィスは事務所家賃代などの固定費を削減でき、簡単に法人設立を登記できる一方で、事業開始時に必要な銀行口座が作りにくいということを覚えておきましょう。

②定款の目的

 法人の設立時に法人の事業目的を決める必要があり、その事業目的を定款及び登記簿謄本に載せる必要があります。また、事業を拡大し、新たな事業を開始する際に、その事業目的が定款及び登記簿謄本に記載がない場合には、新たに登記簿謄本を変更する必要があり、その際には登録免許税が発生することとなります。

 このような追加の費用を発生させないように、法人設立時に定款及びと登記簿謄本に本来の目的以外の事業を予め記載している法人をみかけます。このような登記簿謄本を金融機関が確認した場合、複数の事業目的を記載したこの法人は何の事業を行うのだろうと疑心暗鬼になります。

 今後の事業の動きが分からない法人に対しても金融機関側は口座開設を嫌う傾向があるため、定款に記載する目的は必要最低限の記載に留めましょう。

③資本金の金額

 会社法の改正により最低資本金が撤廃となり、1円でも株式会社等を設立ができるようになりました。気軽に設立できる一方で、仮に資本金100万円と資本金が1円の会社が存在した場合、金融機関側からみれば信用度の面から資本金1円の会社は金融口座作成に躊躇する可能性があります。

 もちろん、資本金が多いから銀行口座が作れる・資本金が少ないから銀行口座を作らせないということはありませんが、資本金1円では、今後の事業継続性をみても支障をきたしますし、対外的にもカッコいいものではありませんので、それなりの資本金を入れた方がよいかと考えます。

最後に

 今回は、創業時に落とし穴にはまりやすい銀行口座の作成について紹介しました。安易に自宅などに登記したことで、事業活動が予定通りに進まなかったという問題が生じます。税理士に対する相談は法人設立後と思われがちですが、創業前に税理士に相談することでスムーズに事業を始めることができます。

 山本聡一郎税理士事務所では、創業に関する無料相談を実施しております、提携している司法書士・金融機関がいますので、お気軽にお声がけください。

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