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決算書を正しく読むために押さえたいポイント・貸借対照表の読み方(基礎編)

2024-02-26

前回のコラムでは、損益計算書の読み方について解説しました。

https://nagoya-soutax.com/20240219h/

損益計算書は「1年間でどれだけ儲かったか」を表すものでしたが、今回紹介する貸借対照表は会社の「資産(財産)・負債 + 純資産(資本)」を表すものです。貸借対照表も同じく会社の財務状況を知る上で欠かせない書類です。

「貸借対照表と損益計算書どちらが大事ですか?」と時々質問をいただきますが、結論は「どちらも大事」です。この2つは切っても切り離せない関係なのです。この2つを合わせてこそ決算書なのです。(決算書は、他にも書類がありますが主要はこの2点です。)

今回は貸借対照表の読み方をお伝えしていきます。

貸借対照表に苦手意識をお持ちの方も多いため、基本中の基本情報だけ載せて、シンプルにお伝えするようにします。今回の内容を理解していただくだけでも、貸借対照表の理解が深まり、経営に対して見える世界が大きく変わります。

「貸借対照表」で丸わかり!「資金運用」と「資金調達」

「資産」と「調達」のバランスを取るバランスシート

貸借対照表を見ると、決算日時点でどれだけ資産・借入があるか一目で分かります。下記の図のように、左が「資産」を示し、右が「負債+純資産」を示します。左右で同じ金額になるので、B/S バランスシートと呼ばれているのです。

貸借対照表の「資産」とは

資産(財産)では、必要なお金をどのように使ったかという「運用」を表します。資産は「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の3つに分類されます。

貸借対照表の「負債+純資産」とは

負債+純資産(資本)は必要なお金をどのように調達したかを表しています。「負債」はその字の通り外部からの借入(他人資本)です。その中でさらに「流動負債」と「固定負債」に分類されます。

「純資産」は「資本」とも呼ばれています。設立時の資本金など自分で準備した自己資本です。

上の図のように、「負債」と同じ場所に「純資産(資本)」が入っていることで、少し混乱される方もいらっしゃいますが、これはこのまま覚えていただければと思います。

「負債 = 悪いもの」というイメージを持たれるのが一般的なので、「負債と資本を同列と考えるのはおかしい」と感じるかもしれません。けれども、会計ではどちらも「事業の資金調達」に該当するのです。それを「他人から借りる」(負債)なのか「自分で入れたお金」(純資産)なのかで分けているだけなのです。

「資産」と「資本・純資産」は同じ意味だと勘違いされやすい言葉ですが、会計ではこの2つは対比関係にありますので、ご注意ください。

資産(財産)は多ければ多いほど良いのか?

「資産は多ければ多いほど良い」「お金はたくさんあった方が良い」というのは誰もが考えることかと思います。けれどもこれを会計の世界で考えると、少しだけ考え方が違ってきます。もちろん資産やお金が多ければ、資金繰りにも余裕が生まれるので良さそうに思えますよね。けれども、資産やお金が多ければ多いほど「無条件に良い」というわけでもないのです。

先ほど、貸借対照表(バランスシート)は左右のバランスを取っているとお伝えしました。資産が多ければ、負債+純資産も同じだけ多くなります。そこで問題になるのは、「そのお金をどのように調達したか」という事です。

「自己資本比率」というものがあり、「資金調達」(右側)の中で、純資産が50%以上を占めていると良好な状態と言えます。けれども、もしも自己資本が10%~20%である場合、80%以上が負債ということになります。このような状態である場合、資産の金額が大きくてもあまり手放しで喜ぶことはできません。

適正資産については、「総資本回転率」で確認することができます。

計算式:総資本回転率 = 売上高 ÷ 総資産(総資本)

大企業や中小企業の製造業などは「1-2回転」中小企業の場合は「1.5-2.5回転」が目安です。

あなたの会社はどのくらいになりましたか?

「流動資産・固定資産」「流動負債・固定負債」について

貸借対照表は左に資産・右に負債と純資産(資本)であると説明しました。冒頭に紹介した図をもう少し解像度を上げてみるとこのような形になります。ここでは「資産」と「負債」部分の言葉を解説していきましょう。

※「純資産」については次の章で解説します。

流動資産とは

「流動資産」とは、決算後1年以内に現金化可能な資産をそのように呼びます。

貸借対照表では、流動性配列法で、流動性(換金性)が高いものから記載されています。

 ①現金・預金

 ②受取手形

 ③売掛金

 ④有価証券

 ⑤棚卸資産

 ⑥その他(前渡金・仮払金・前払費用など)

固定資産とは

決算後現金化するのに1年以上要する資産をそのように呼びます。

固定資産は主に3つに分類されます。

 ・有形固定資産・・・建物・土地・機械装置など

 ・無形固定資産・・・ソフトウェア・営業権・商標権など

 ・投資その他の資産・・・長期保有目的の株式・1年超え保有目的の預金・長期の貸付金など

繰延資産とは

繰延資産とは、個人事業主や企業が支出した費用の中で、1年以上その効果をもたらすものを資産としたものです。「長期間利益を生み出し続ける」とされるもので、具体的には「開業費」や「開発費」などがあります。

繰延資産は本来、「費用」として処理されるものですが、「長期にわたって効果がある」とされるものは「資産」として一時的に計上することが可能です。「費用」ではなく「資産」として計上することで、費用額を抑えられるメリットがあります。

繰延資産にはそれぞれ償却期間が決まっています。また「資産」扱いにはなりますが、現金化はできません。

流動負債とは

こちらは流動資産と対比しており、1年以内に支払いや返済をしなくてはいけないものです。取り立てが厳しい順に記載していきます。

 ①支払手形

 ②買掛金

 ③短期借入金

 ④前受金

 ⑤未払金

 ⑥未払税金

固定負債とは

こちらは固定資産と対比しています。同じく1年超えの長期的な負債です。1年以内に支払義務が発生しないため、返済に時間の余裕があるものです。

固定負債には下記のようなものがあります。

 ・長期借入金

 ・社債

 ・預かり保証金

 ・繰延税金負債

貸借対照表への苦手意識を克服しよう!純資産(資本)を解説します

最後に、貸借対照表の中で「一番分かりにくい」とされている、純資産・資本の部分を解説していきます。

純資産(資本)は「返済しなくて良いお金」です。

経営では、この部分の比率をいかに上げていくかが課題です。貸借対照表の右側(資金調達)の割合で、50%まで増やすことができれば優良企業の仲間入りができます。

「純資産・資本」はこれだけを押さえておこう

「純資産・資本」は本来、もっと細かく分類されますが、ここではこの2つだけ押さえておきましょう。

・資本金

・利益剰余金

「資本金」とは、株主が会社に出資したお金です。例えば1株1000円と設定して、1万株発行した場合、すべて払い込みされれば、資本金は1000万円ということです。

起業する時は、代表者が自己資金を入れてそのまま資本金とするケースが殆どです。そのため、ここ最近は資本金1円から起業をする会社も増えています。

前期の純利益を純資産・資本に追加できる

前期の利益は純資産・資本に追加することができます。

実際は、利益が出た後も、株主への配当や役員の期末賞与分を支出してからになるので、利益を丸々追加できるわけではありませんが、このように利益剰余金を少しずつ積み立てていくことで「純資産・資本」を増やすことが可能です。

資本金は使っても減らない?

「純資産・資本」部分で変動するのは利益剰余金のみで、資本金は増資または減資しない限り変動しません。

よく間違えられるポイントは下記の2点です。

 ・資本金100万円 = 実際に100万円の現金がある

 ・資本金100万円を開業準備で使ってしまったので、今の資本金は0円である

これはどちらも間違えやすいポイントですが、資本金は100万円であれば帳簿上も100万円のままです。

「純資産・資本」部分はこのように分かりにくい部分が多くありますが、あまり難しく考えすぎず、少しずつ会計用語やルールに慣れていただければと思います。

会社経営では、この「純資産・資本」部分をいかに増やしていくかがポイントになります。

スタートアップ時は、どうしても負債部分が大きくなりますが、時間をかけて少しずつでも資本の比率を上げていくことを目指していきましょう。

最後に 

「貸借対照表」の説明は以上です。前回の「損益計算書」の記事と合わせて確認いただくことで、決算書の基本部分を読み取ることができます。

ここまで読まれたところで、まずはご自身の直近の決算書を出してみてください。コラムを読まれる前と後では、決算書の見え方が違ってくるかと思います。

今回は簡単な決算書の読み方説明でしたが、他にも「決算書を読むために知っておくとメリットがある知識」はたくさんありますので、今後のコラムでも紹介していきます。

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