後継者不足と資金調達問題の解決策:中小企業向け経営者保証不要の融資ガイド

多くの中小企業が資金調達の手段として融資を利用します。
信用保証協会の保証付き融資が大多数ですが、金融機関から優良企業の評価を受けた場合は、低金利で融資限度額がない「プロパー融資」を受けることが可能です。
プロパー融資が受けられるだけでも、歓喜する経営者が多い中、実はさらに夢のような融資制度があるのをご存知でしょうか?

通常、お金を借りる際は保証人が必要です。会社が融資を受ける場合は経営者が保証人になります。
けれども、今回ご紹介する融資は「経営者の保証が不要」なのです。

経営者と会社を分離する「経営者保証」なしの融資

この制度は、平成25年12月に「経営者保証に関するガイドライン」が発表され、平成26年2月から開始されました。
このガイドラインは、中小企業団体と金融機関団体の「自主的ルール」のため、法的な拘束力はありません。

ガイドラインについてはこちら↓(外部リンク)
中小企業庁 経営者保証 

このルールは「中小企業の事業展開・事業再生・事業承継の応援」を目的に作られました。

万一会社が倒産に追い込まれた場合でも、経営者本人が返済を引き継ぐ必要がなく、経営者本人が事業で背負うリスクが大きく軽減されます。

この制度は、新規融資だけでなく、既存の融資についても適用される場合があります。

経営者も高齢化 経営者保証なしの融資は後継者不足問題を解決するか

現在、経営者の平均年齢は60.4歳。全国で上昇傾向にあり、32年連続で記録を更新しています。

帝国データバンク

経営者の高齢化により、廃業や事業継承を検討している中小企業が数多く存在します。そして後継者不足も深刻な問題となっているのです。

事業継承を考えた際、継承する側は可能な限りリスクを背負いたくないと考えます。

特に今の時代は、20代−30代の間では「0円起業」など「お金をかけない起業・リスクを負わない起業」という考え方が主流です。

事業継承は0からの起業と違い、既に築き上げられた基盤を手にするものです。非常に魅力的ですが、経営者保証が後継者探しの障害となっていることも事実です。

事業に借入はつきものですし、それ自体は悪いことではありませんが、もしも経営者保証を外すことで事業継承がスムーズに行われるのであれば、日本全体の経済のためにもこの制度は活用されるべきでしょう。

多額の融資を受けて、経営者が保証人になる。
それは事業に対する覚悟を決める上で必要なことだという考え方もあります。

しかし、社会にとって必要な活動をしている中小企業を「後継者がいない」という理由だけで廃業させてしまうことは大変惜しいことです。
将来性がある優良な企業であれば、どんどん規模を拡大し、雇用を増やして次の挑戦をしてもらった方が、良いことには間違いありません。

中小企業が力をつければ、日本の経済が活性化します。
中小企業の割合は全体の99.7%と圧倒的多数です。中小企業の影響力は想像以上に大きいものなのです。

中小企業庁
資料(中小企業の割合)

どうすれば「経営者保証なしの融資」を受けることができるのか

経営者保証なしの融資は非常にメリットが大きいものですが、融資する側の立場を考えると無条件にOKというわけにはいきませんよね。
もちろん厳しい審査基準があります。「この会社であれば大丈夫」と判断してもらうための客観的な理由が数多く必要です。

「確実に返済してもらえる」という確信があるからこそ、金融機関は安心して「経営者保証を外す」という判断ができるということです。

まず、この融資を受けるには下記の条件を満たす必要があります。

(1)中小企業であること
(2)融資の保証人が個人であり、その個人が、融資を受ける企業の経営者であること
(3)融資を受ける中小企業と保証人である経営者が、返済に誠実に対応していること
(4)銀行側(債権者)からの請求に応じて、会社の財務情報をいつでも開示できること
(5)企業・経営者ともに反社会的勢力ではないこと。(疑われるような行為もNGです。)

この(3)と(4)について、具体的にどのようなことなのか、3つの要素に分けて具体的に解説していきましょう。

1・法人と経営者個人が明確に分離されていること

一言で表現すると、「経営者が会社を私物化していないこと」です。

経営者が私用で接待交際費を使ったり、家族で食べた焼肉代を経費にしているような会社はまず審査には通りません。
また会社が役員にお金を貸す、「役員貸付金」があるような会社も嫌がられます。経営者が会社を自分の金庫のようにしているのではと判断されても仕方ありません。

「会社を私物化しない」とは、会社のお財布を自分の財布のようにしていないということになります。

上場企業は決算書をはじめとした企業のお金の動きを何千・何万人といる株主に監視されているため、公平性や管理を徹底しています。
しかし、そうではない中小企業の場合、ついお金に関してそれらを疎かにしてしまいがちです。例え、経営者一人だけの会社であっても、自分と会社を明確に切り分けて考えることが大切です。

2・金融機関から見て財務基盤がしっかりとしている

資金繰りが計画的に行われているか、経営の安定性なども財務基盤が強化されているかどうかの評価対象になります。

これまでの融資についても、毎月しっかり返済できているかどうか(未払いや口座振替不能がないか)お金の手続きに関する評価は重要です。

この辺りは、自分が誰かにお金を貸す側に立つとよく分かりますよね。(売掛金を回収する側でも一緒です。)

実際に、これまで一切遅延なく確実に返済をした実績がある人と、時々支払いが遅れたり、滞ったりする人であれば、後者に対しては安心して融資なんてできませんよね。

返済でも支払いでも、「うっかりしていただけ」「忙しかっただけ」「15時に間に合わなかっただけ」で、自分には支払い能力はあると主張する人がいますが、1日でも遅れれば何を主張しても信用は落ちてしまいます。
そのような小さなことの積み重ねが会社の命運を左右するということを、数多くの個人事業主や中小企業を見てきた金融機関は理解しています。

「約束を守る、締切を守る」は最低条件なのです。

また、会社の資金繰りが危うくなる度に、経営者が頻繁に私財を会社に貸し付けるのも「会社の収益だけではやっていけないのでは」と判断されるため、避けた方が良いでしょう。なぜなら、経営者保証なしの融資の道を拓くには「会社の収益だけで返済ができる」と金融機関に評価される必要があるからです。

プロパー融資の実績があると信用力はさらに増します。

3・積極的な情報開示・経営の透明性

求められた情報の開示にはいつでも応じる姿勢でいましょう。自発的に金融機関に報告することも重要です。会社の経営や財務に変化があった際には金融機関から求めらる前に情報共有をするようにしましょう。
インボイス制度や電子帳簿保存法が始まり、経理処理・手続きはより煩雑になりますが、そのような状況でも、丁寧に対応して必要な会計に関する情報をすぐに引き出せる状態にしておくと、「透明性」という点で評価が上がります。「月次決算報告」も印象が良くなるポイントだと言われています。

透明性を上げるためにも、様々な処理や手続きを税理士や社労士など外部の人間に委託して、風通しが良い状態を作りましょう。「社内だけで何をやっているのか分からない状態」になるのを避けることです。

ちなみに、これだけ透明性を高くしておけば、万一税務調査が入っても慌てることはありません。

以上ポイント3点を紹介しましたが、最終的な判断は金融機関が行います。
冒頭でも紹介した通り、この融資は「自主的なルール」に過ぎません。

金融機関が「ぜひあなたに!!」と惚れ込むような会社に、これからしっかりと育てていきましょう。

結論 今すぐ難しくても、将来に備えてできることをやりましょう

今回紹介した経営者保証なしの融資は、実際に存在はするもののなかなか最初から希望通りにはいかないものです。
スタートアップ時は、本当にゼロからのスタートです。今回の融資に限らず、物事は段階を追ってチャレンジしていきましょう。

起業時に創業融資が通らなかったという方も一定数いらっしゃいますが、諦める必要はありません。銀行から融資を提案してくるまで、焦らず誠実に事業を続けて、実績を積み上げていきましょう。

まずは通常の融資からです。誠実に返済を続け、安定的に事業規模を拡大して信用を積み上げていくところから始めていきましょう。

事業規模の拡大ができれば、さらに拡げた事業計画を立てることができるようになり、その計画の根拠も揺るぎないものとなります。
するとプロパー融資の道が拓けます。プロパー融資の実績は、会社として信用力が上がった証明にもなるのです。

経営者として自社の事業を育てながら、少しずつ信用を積み上げていきましょう。

ぜひ、山本聡一郎税理士事務所にご相談ください

税理士は会社の経理作業の代行や決算処理だけを役目としているわけではありません。中小企業の健全な経営と、資金調達のチャンスを拓くためのお手伝いをしております。

ステップアップのための融資・プロパー融資・経営者保証なしの融資。これらの融資に興味があるという中小企業の経営者様、必ずお力になれますので、ぜひ一度ご相談ください。

 

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税理士 山本聡一郎
山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。
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