節税もできる!個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)を使った老後に向けた資産形成のメリットと注意点

個人型確定拠出年金、通称「iDeCo(イデコ)」は、退職後の生活資金を増やす手段としてここ最近、注目されています。
この制度では、加入者自身が毎月一定の金額を投資に積立て、その運用利益を老後の安定した生活のための財源とするのです。

今回はこのイデコ(iDeCo)について紹介していきます。

一般社団法人 投資信託協会が2023年2月に発表した調査によりますと、イデコの認知率は66.4%と、全体の過半数を超えるものですが、実際にその内容を知っている割合は20.3%しかいません。さらに口座開設率はたった11.7%であり、実際にイデコを活用している人はさらに少数になることでしょう。

このように数字で見ると、「イデコそのものを知らない」または、「存在は知っているがどんなものかはよく分かっていない」人々が全体の8割を占めるということが分かります。

一般社団法人 投資信託協会 調査資料URL 

けれども、イデコは老後の資産形成の手段の一つとしてぜひ活用することをお勧めしたい非常にメリットの大きい制度です。

もちろん、投資になりますので「必ず資産を増やす」という保証があるわけではありません。

概要を知った上で、その手段を使うか使わないかを決めることは個々人の自由です。けれども、知らないままでいることは、非常にもったいないことです。

今回はイデコの特徴や加入要件、実際に加入することのメリットや注意点をお伝えします。

今回の記事が皆様の資産形成の手助けになれば幸いです。

イデコ(iDeCo)とは

イデコ(iDeCo)加入要件

イデコは、以下の3つの要件をすべて満たす人が利用できます。

  • 厚生年金保険または国民年金の第3号被保険者(自営業者やフリーランス等)に加入していること。
  • 厚生年金保険の被保険者である場合、その事業所が企業型確定拠出年金(企業年金)もしくは確定給付企業年金に加入していないこと。
  • 60歳未満であること。

イデコ(iDeCo)に加入できない条件

上記の要件を満たしていても、すでに企業型確定拠出年金(企業年金)または確定給付企業年金に加入している場合、はイデコへの加入はできません。

これは、企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金は、どちらも確定拠出年金制度の一部であり、両方に同時に加入することは原則として認められていないからです。

企業型確定拠出年金については、こちらをご参照ください。

一人社長のための企業型確定拠出年金(401k)導入メリットと注意点

また、公務員等一部の業種については制度の性質上利用できない場合もあります。

イデコの加入については個々の状況や条件によりますので、具体的な状況については専門家に相談するか、公的な情報源を参照することをおすすめします。

イデコ(iDeCo)と併用可能なものは

一方で、イデコ(個人型確定拠出年金)と併用できるものもあります。

中小機構の小規模企業共済(中小企業共済)です。これらは異なる制度であるため、両方とも利用することができます。

イデコ(iDeCo)の始め方

イデコを実際に始めようと思った時に、具体的にどのような手順を踏んでいけば良いのかを紹介していきます。

①証券会社(金融機関)を選ぶ
イデコの管理を行う企業として代表的なのが証券会社ですが、銀行・生命保険会社などの金融機関でもイデコの加入は可能です。各企業により手数料、投資先、サービスなどが異なるため、しっかり情報収集して、自分のライフスタイルや投資目的に合わせて選ぶようにしましょう。

②契約書類の提出

選択した証券会社(金融機関)から契約書類を入手し、必要事項を記入して提出します。これには通常、身分証明書のコピーなどが必要です。

③運用商品の選択

証券会社(金融機関)から提供される投資商品の中から、自分のリスク許容度や投資目的に合わせて選びます。商品は株式や債券、リートなど多岐にわたります。

④積立金額の設定

毎月いくら積立てるかを設定します。年間の上限額が定められていますので、それを考慮しながら設定します。

また、月々の生活費についても考慮する必要があります。

⑤口座の開設

提出した契約書類が証券会社(金融機関)で承認されると、イデコ専用の口座が開設され、そこに積立金が振り込まれるようになります。

イデコ(iDeCo)を活用する3つのメリット

ここでは、イデコを実際に導入することのメリットをお伝えします。

メリット1・税制上の優遇措置が受けられる

イデコに積立てる額は所得から控除されます。つまり積立分は所得として扱われないということです。20万円の手取りで4万円を銀行に預けた場合は、20万円に対して課税されますが、4万円をイデコに入れた場合は、20-4=16万円だけ課税されます。

イデコでは運用益も非課税となります。これにより、効率的な資産形成が可能となります。

税金を減らせることのメリットは、他の記事でも書いている通り、特に公的サービス(保育サービス・福祉サービスなど)の利用料を下げることができます。
長い期間で支払う金額も大きく変わっていきます。節税について、できることは積極的にやっておくようにしましょう。

メリット2・自由な投資選択が可能

イデコでは、投資先を自分で選ぶことができます。株式、債券、投資信託など、自身のリスク許容度や運用目標に合わせて投資商品を選択することが可能です。

メリット3・時間をかけて老後資金の準備ができる

公的な年金だけでは不足しがちな老後の生活資金を、自己の資産運用により補うことが可能です。自分で資産を増やすことで、より安定した老後生活を送ることができます。

よく、「日々の生活が大変だから、そんな将来のためとか、投資に回すお金なんてない。」という方もいらっしゃいますが、何も毎月5万・10万も積立しなくても、数千円だけでも十分意味があります。
たとえ1回の積立てが少額だとしても長い時間を掛ければ、山となっていきますので、少しでも早めに始められることをおすすめします。短期間で高い金額を積立てることよりも、例え少額でも積立期間が長ければ長い方が積立投資は有利に働く可能性が高いとも言われています。

イデコ(iDeCo)活用に関するの3つの注意点

リスクとリターン

イデコは元本保証がありません。したがって、投資先の選択には十分な知識と理解が必要です。投資にはリスクが伴いますので、自身のリスク許容度を考慮した上で、投資商品を選択することが重要です。

対策としては、投資先を分散させるようにしましょう。

よく例え話で、「全ての卵を一つのカゴに入れない」という話があります。もしもカゴを落としてしまった時、一つのカゴに入れていると、卵は全て割れてしまうからです。けれども、3つ4つのカゴに分散しておけば、万一カゴを1つ落としてしまっても他の卵は無事です。

それぞれの投資先のリスクなどをしっかり考えてバランスの良いポートフォリオを組みましょう。

そのためにも勉強して知識をつけることも大切です。

引き出し制限

イデコの資産は原則として60歳以降にならないと引き出せません。また、一度に全額引き出すことはできず、一定期間にわたって年金として受け取る形となります。

そのため、現役の時に「節税したいから」と、イデコにお金を入れすぎると、いざ必要になった時に現金が用意できずに困ることになりますので注意が必要です。

手続きの自己責任

イデコは自己責任の元、自分で手続きを進める制度です。運用商品の選択や、手続きの進行などは、全て自分自身で行う必要があります。

「イデコ(iDeCo)とは」でイデコの始め方についても説明しましたが、実際の資産運用までにはさまざまな手続きを踏む必要があります。

証券口座の開設や各種手続きなど、少し面倒くさいと思うかもしれません。

また、積立投資については頻繁に気し過ぎるのは良くありませんが、かといって、何もせずに放置したままもあまり好ましくありません。
イデコ(iDeCo)に限らず、積立投資は長期間の大切な契約なのでしっかりと管理をしていく必要があります。

管理関係が苦手な方も、これを機に大切なお金の管理に意識を向けてみてください。

まとめ

イデコは、自分で資産を形成し、自由に運用する手段として非常に有益な制度です。

その一方で、投資にはリスクが伴い、一定の知識と理解が必要です。また、すべて自己責任による選択と手続きが求められます。

しかし、これらのリスクを理解し、適切に管理することで、イデコは強力な資産形成ツールとなり得ます。老後の生活を安定させるため、そして自分の未来を自分の手で切り開くために、イデコを上手に利用してみてはいかがでしょうか。

税制上の優遇措置を活用しつつ、自己のリスク許容度に合った投資を行うことで、自分だけの資産形成を実現できるイデコ。リスクとリターンを十分に理解した上で、自身の未来に投資する一歩を踏み出してみてください。

事業主様のイデコ(iDeCo)活用については、ご相談ください

事業をされている方でイデコの加入をご検討されている方はぜひ一度、山本聡一郎税理士事務所にご相談ください。

事業の資金繰りや役員報酬・給与の金額、家族構成などお一人お一人の状況に合わせた最適な活用法についてアドバイスさせていただきます。

ここのコラムでも紹介している通り、日本には税法上の優遇措置が受けられる制度が数多くあります。ぜひそれらを将来に向けた資金作りにうまく活用してください。

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