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シングルマザー経営者・自営業の賢い節税術!一馬力の家計を守る必須知識
はじめに:なぜ、今、節税が必要なのか
子育て中の女性で、時間や場所の自由がきく 自営業やフリーランスという働き方を選ぶ人が増えています。
自分の力で稼げることは大きなメリットです。
一方で、自由である反面、収入が安定しないリスクや会社員のような手厚い保障がないことは、これらの働き方のデメリットでもあります。
また、自営業やフリーランス・経営者を続ける上で、税金や社会保険に関する知識は欠かせません。
特にシングルマザー(ひとり親)は一馬力で子育ての全責任を負うため、これらの負担を減らすことは家計の負担を減らすことに直結します。
そもそも、ひとり親家庭には「ひとり親控除」という税制上の優遇措置があります。
これは、納税者自身がひとり親である場合に所得税・住民税の負担を軽減するためのものです。この基礎的な知識に加え、本コラムで解説する経費や貯蓄による節税を組み合わせることで、手取りを最大限に守ることができます。
節税の知識は、単に税負担を減らすだけでなく、公的な支援やサービスの利用条件を確保するために極めて重要です。
1. 知っておきたい!所得が減ると得られるメリット
シングルマザーにとって、所得を適切に抑えることには、税金が減る以外にも、生活を支えるための重要なメリットがあります。
税負担が減る
納めるべき所得税や住民税が減り、手元に残る現金が増えます。
ひとり親手当の確保
児童扶養手当(ひとり親手当)の支給額は、受給者や扶養義務者の所得額によって決まります。所得が増えすぎると、手当が全額停止になります。
保育料の軽減
保育園の利用料(保育料)は、世帯の市町村民税所得割額に基づいて決定されます。所得を抑えることで、保育料が軽減され、実質的な支出を抑えられます。
就学援助の対象
就学援助制度(学用品費や給食費の援助)も所得制限があります。上手に所得を減らせば、子どもの教育費の支援を受ける可能性を残せます。
養育費・婚姻費への影響
裁判所が算定する養育費や婚姻費用の額は、両親それぞれの所得額に基づいて決定されます。ご自身の所得を適切に管理しておくことが、これらの算定にも影響します。
その他、公的支援の確保
高等学校等就学支援金や、自治体独自の医療費助成など、多くの公的支援や補助金には所得制限が設けられています。
2. シングルマザー経営者・自営業者が使える具体的な節税対策
① 事業経費として認められるものを最大限計上する
家賃・光熱費の「家事按分」
自宅の一部を事務所として使用している場合、家賃、電気代、インターネット代などを**事業に使用している割合(按分割合)に応じて経費として計上できます。
通信費・車両費
プライベートと兼用していても、業務に使用している部分があれば経費計上が可能です。使用実績を記録しておくことが重要です。
少額減価償却資産
30万円未満のパソコンや業務用の機材などは、全額を一括で経費にできます(青色申告者のみの特例あり)。
旅費規定の設定(法人経営者限定)
法人の場合、出張の際に支給する「日当」は、適切な金額であれば所得税の課税対象外になります。
日当は社長個人の手取りを非課税で増やすと同時に、法人側は全額経費として計上できる、非常に強力な一石二鳥の節税策です。
②「貯蓄を節税に繋げる」私的年金制度の活用
小規模企業共済
フリーランスや中小企業経営者のための「退職金制度」です。掛け金全額が所得から控除されるため、高い節税効果があります。将来の老後資金や子どもの教育資金にも使えます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
掛け金全額が所得控除となり、運用益も非課税になります。老後資金を積み立てながら、今すぐ節税したい方に最適です。
国民年金基金
国民年金に上乗せして将来の年金を増やせる制度です。これも掛け金全額が所得控除の対象です。
③【法人経営者向け】役員報酬と社会保険料の最適化
会社を経営している場合、役員報酬の調整は節税と社会保険料削減に直結します。
役員報酬の適正化
会社に利益が残っていても、あえて役員報酬を低く設定することで、社長個人が支払う社会保険料(健康保険・厚生年金)の負担を大幅に減らすことができます。
社会保険料と手当のバランス
役員報酬を下げると、公的支援(児童扶養手当など)の所得制限にかかりにくくなるため、税理士と相談しながら最適なラインを見極めることが重要です。
会社への貸付金との相殺
会社に個人のお金を貸し付けている(役員借入金がある)場合や、資金繰りの都合で未払いになっている役員報酬があれば、それらを活用して役員報酬を一時的に抑えるなどの柔軟な対応も可能です。
まとめ:節税は賢く、そして計画的に
シングルマザーの皆様にとって、節税の知識は生活と事業を安定させるための強力な武器です。
特に公的支援の所得制限ラインを意識した「所得のコントロール」は、一馬力の家計にとって必須の戦略です。
特にお子さんがまだ小さく、働く時間に制限がかかっている、売上が安定しない時こそ、賢い節税で乗り切っていきましょう。
ご自身のビジネスモデル、収入状況、受けたい支援を総合的に判断し、最適な節税対策を講じるためには、専門的な知識が不可欠です。
「自身の所得額が公的支援の制限にどう影響するのか」「複数の節税策をどう組み合わせるか」といった複雑な疑問は、ぜひ専門家である税理士にご相談ください。
- ふるさと納税の仕組みを正しく理解して、おいしく上手に節税しよう
ターゲット設定が起業の成功を左右する!BtoBとBtoC 各特徴と注意点
起業を考えるとき、「誰に、何を、どうやって売るか」というターゲット設定は、ビジネスの成否を分ける最も重要な要素です。
中でも、ビジネスの相手が「企業」か「個人」かによって、事業のあらゆる側面が大きく変わります。
本記事では、BtoB(Business to Business)とBtoC(Business to Consumer)のそれぞれの特徴と、集客、資金繰り、価格設定における違いを税理士の視点から徹底解説します。
1. BtoB(法人向けビジネス)の特徴
BtoBビジネスは、企業を顧客とする事業モデルです。
ITサービス、オフィス用品、コンサルティング、物流サービスなどがこれに該当します。
メリット
取引単価が高い
一度の取引で大規模な契約につながることが多く、高い売上を期待できます。
継続的な取引になりやすい
企業間の信頼関係が築ければ、長期的な取引やリピート契約に繋がりやすく、売上が安定しやすい傾向にあります。
価格競争に陥りにくい
導入後のサポートや専門的な知識、企業間の信頼が重視されるため、単純な価格競争になりにくいと言われています。
デメリット
契約までの時間が長い
複数の部署の承認が必要となるため、商談から契約までの期間が長くなります。
売上規模が限定的
顧客数が限られるため、急激な売上拡大は難しい場合があります。
2. BtoC(個人向けビジネス)の特徴
BtoCビジネスは、個人を顧客とする事業モデルです。
飲食、アパレル、美容室、小売業などがこれに該当します。
メリット
購買決定までの時間が短い
個人の意思決定で商品が購入されるため、契約までの時間が短く、即決もあり得ます。
市場規模が大きい
顧客となる個人が多いため、口コミやSNSなどで一気に広まれば、短期間で大きな売上を上げられる可能性があります。
価格設定の自由度が高い
ブランド力やコンセプト、希少性など、付加価値によって高単価での販売が可能です。
デメリット
取引単価が低い
個人の消費が主体のため、一度の取引単価は低くなりがちです。
競合が多い
参入障壁が低いため、多くの競合と価格やサービスで差別化を図る必要があります。
3. 集客方法の違い
BtoBとBtoCでは、顧客の購買行動が異なるため、集客方法も大きく変わります。
BtoB の集客方法
展示会、セミナー
企業の担当者と直接商談する機会を得られます。
専門メディアでの広告、記事
業界の担当者が情報収集するメディアに特化してアプローチします。
Webサイト(問い合わせフォーム)
サービスの詳細を網羅的に掲載し、興味を持った企業からの問い合わせを促します。
インサイドセールス
電話やメールでアポイントを取り、商談に繋げます。
BtoC の集客方法
SNSマーケティング
Instagram、X(旧Twitter)などでブランドのコンセプトや商品の魅力を発信し、ファンを獲得します。
リスティング広告、ディスプレイ広告
GoogleやYahoo!などで、商品の購買意欲が高いユーザーに広告を表示させます。
口コミ、レビューサイト
ユーザーのリアルな声が購買に大きく影響するため、口コミサイトへの掲載やキャンペーンが重要です。
4. 資金繰り・キャッシュフローの違い
BtoBとBtoCでは、決済方法が異なるため、キャッシュフローの特性も大きく異なります。
BtoB の資金繰り
後払い・請求書払い
多くの取引が後払い(掛け払い)で行われます。
売上は発生しても、入金まで1~2ヶ月かかることが一般的です。
そのため、売上が増えるほど、入金までの間に資金が不足する「黒字倒産」のリスクが高まります。
キャッシュフローの改善策
支払いを早める「ファクタリング」や、売掛金担保の融資などを活用して、資金不足を補う必要があります。
BtoC の資金繰り
即時決済
現金、クレジットカード、電子マネーなど、決済と同時に代金が回収されるため、キャッシュフローが安定しやすいです。
多額な仕入れ費用
商品を販売する場合、仕入れや在庫管理に多額の先行投資が必要となる場合があります。
価格設定の柔軟性
消費者の購買意欲を刺激するため、セールやキャンペーンを頻繁に行い、価格を変動させる戦略が一般的です。
5. 消費税・インボイス制度の注意点
BtoB ビジネスの場合
顧客である企業は、支払った消費税を控除(仕入税額控除)したいと考えます。
そのため、売上規模が1,000万円以下(免税事業者)であっても、企業と取引を続けるためには、適格請求書発行事業者(インボイス)として登録せざるを得ないケースがほとんどです。
登録しない場合、取引自体を打ち切られたり、値下げを要求されたりするリスクがあります。
BtoC ビジネスの場合
顧客が一般消費者であるため、消費者は支払った消費税の控除を必要としません。
したがって、売上規模が1,000万円以下の場合は、インボイス登録による影響はBtoBほど大きくありません。
登録せずに免税事業者のままでいるという選択肢が現実的です。
まとめ:あなたの事業はBtoB?それともBtoC?
BtoBとBtoCは、それぞれ異なる強みと弱みを持っています。
安定した売上と高い単価を求めるならBtoB
長期的な取引で安定した事業を築けます。ただし、契約までの粘り強い営業力と、キャッシュフロー管理が不可欠です。
市場の広がりと即時性を求めるならBtoC
多くの顧客にリーチし、短期間で売上を伸ばす可能性があります。ただし、激しい競争と価格変動への対応が求められます。
どちらの事業モデルにも税務・会計上の注意点があります。
特に、BtoB事業で発生しやすい資金繰りの問題や、BtoC事業での在庫評価、消費税計算など、専門的な知識が必要です。
起業前に、ご自身のビジネスモデルに合った最適な選択をするためにも、専門家である税理士にご相談ください。
【メディア掲載のお知らせ】アトム法律グループ様にて当社が紹介されました

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創業・起業期はなぜ判断が難しくなるのか|IT前提で考える初期整理の視点
アトム法律グループのWebメディアにて、「創業・起業期はなぜ判断が難しくなるのか|IT前提で考える初期整理の視点」と題した記事が公開されました。
本記事では、創業・起業期に判断が重なりやすくなる背景を整理し、ITを情報整理や判断材料の可視化に活用する視点を紹介しています。
あわせて、参考情報の一例として、名古屋を拠点とする山本聡一郎税理士事務所の情報も取り上げられています。
創業初期の考え方を整理するための一般的な情報としてまとめられた内容です。
アトム法律グループとは
アトム法律グループは、東京都千代田区に本社を構え、全国15拠点で相談体制を整えているリーガルサービスグループです。
刑事事件や交通事故、離婚、相続といった、個人が直面しやすい法律問題を中心に、幅広い分野の相談に対応しています。
「法律をより身近な存在にする」という考え方を大切にし、依頼者それぞれの状況に応じた支援を行っている点も特徴の一つです。
あわせて、Webメディアや動画、SNSなどを活用し、専門的な法律知識を分かりやすく伝える情報発信にも注力しています。
アトム法律グループの主な特徴
- 全国15拠点の相談体制
東京・大阪・名古屋・福岡といった主要都市を中心に、全国15拠点で相談窓口を設けています。アクセスしやすい立地に拠点を配置することで、地域を問わず法律相談を行いやすい体制を整えています。 - プライバシー配慮の相談環境
すべての拠点に個室の相談スペースを備え、周囲を気にすることなく話せる環境づくりを大切にしています。安心して相談できるよう、プライバシー面への配慮を重視しています。 - わかりやすい情報発信
法律に馴染みのない方にも理解しやすいよう、専門用語をできるだけかみ砕いた解説を心がけています。Web記事や動画などを通じて、法律知識を日常生活に活かせる形で発信しています。
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うっかりプライベート支出を決済!会社カード利用時の正しい精算方法
うっかり、会社名義のクレジットカードでプライベートな買い物を決済してしまった…。
クラウド会計が普及した今、レシートを登録する際に自動で同期されてしまい、慌てた経験がある経営者や経理担当者は少なくありません。
プライベートな買い物は、会社の経費にはなりません。
誤った処理は税務調査で指摘され、会社の信用問題にもつながりかねませんので、気付いたらすぐに対処する必要があります。
この記事では、プライベートな支出を会社カードで決済してしまった場合の正しい経理処理と、放置してしまった場合に発生するリスクについて、税理士が解説します。
1. プライベートな支出は「経費にならない」が鉄則
会社の経費として認められるのは、事業を遂行するために必要な支出のみです。
プライベートな支出は、たとえ会社のクレジットカードで決済しても、事業活動とは関係がないため、経費として計上することはできません。
誤って経費として処理してしまうと、「仮装経理」と見なされ、税務調査で指摘を受ける原因となります。
その場合、本来支払うべき税金に加えて、追徴課税や延滞税が課されることになります。
会社の信用を失うことにもつながりかねないため、気づいた時点で正しく処理することが重要です。
2. 正しい経理処理の方法:「役員貸付金」で処理する
プライベートな支出を会社カードで決済してしまった場合、その支払いを会社が一時的に立て替えたとみなし、「役員貸付金」として処理するのが正しい方法です。
これは、会社が社長や役員にお金を貸し付けたという形になり、会社の資産として計上されます。
役員貸付金で処理する際の具体的な仕訳例
例えば、社長が会社のクレジットカードでプライベートな飲食費1万円を決済してしまったとします。
(1)カード決済時(費用として処理しない)
借方 / 貸方
役員貸付金 10,000円 / 未払金(クレジットカード)10,000円
プライベートな支出は経費ではないため、「飲食費」などの費用勘定は使いません。
(2)社長が会社に1万円を返済した場合
借方 / 貸方
普通預金 10,000円 / 役員貸付金 10,000円
この処理により、会社の帳簿上は費用が発生せず、最終的に社長からの返済で相殺されるため、税務上の問題は生じません。
役員借入金や未払い給与との相殺も可能?
もし、社長が会社に対して「役員借入金」がある場合や、「未払い給与」がある場合は、役員貸付金と相殺して清算することも可能です。
この場合は、帳簿上での処理のみ行われ、実際の金銭のやり取りは発生しません。
借方 / 貸方
役員借入金 10,000円 / 役員貸付金 10,000円
または
未払金 10,000円 / 役員貸付金 10,000円
3. 「役員貸付金」を放置すると発生するリスク
役員貸付金は、その名の通り「会社が役員にお金を貸している状態」です。
この貸付金が高額・長期化すると、以下のようなリスクが発生します。
① みなし利息の課税
税務署は、会社が役員に無利子でお金を貸していると、「会社が役員に利益を供与している」と見なすことがあります。
これを「みなし利息」と呼び、本来受け取るべき利息分を会社が収益として計上し、税金を支払うよう求められる可能性があります。
② 金融機関からの印象悪化
役員貸付金は、貸借対照表上は「資産」に分類されますが、金融機関はこれを実質的な貸倒れリスクのある債権とみなします。
そのため、役員貸付金が高額だと、「社長が会社を私物化している」「社長個人の資金繰りが厳しいのではないか」というマイナスイメージを与え、融資の審査に不利になることがあります。
役員貸付金は貸借対照表には極力載らないようにさせることが重要です。
※逆に役員借入金については会社の負債扱いにはなりますが、これは載っていても金融機関からの印象は悪化しません。
役員が会社の運転資金のために個人資産を入れているということであり、役員が会社を私物化しているとはみなされないためです。
まとめ
プライベートな買い物を会社カードで決済してしまった場合は、放置せず、気づいた時点で「役員貸付金」として処理し、速やかに精算することが最も重要です。
日々の経理処理の積み重ねが、会社の健全性を保つ上で不可欠です。
「経理処理の仕方が分からない」「貸付金が高額になってしまった」など、経理や税務に関してお困りのことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
現金が足りない!?請求書カード払い vs ファクタリング ~ 最適な資金繰り改善策とは?
「請求書の支払いが間に合わない…!」
「急な出費で手元の現金が足りない…!」
経営者にとって、資金繰りの悩みは避けて通れない課題です。
特に、キャッシュフローに余裕がない中小企業や個人事業主にとって、支払いの猶予や売掛金の早期現金化は、事業を継続する上で非常に重要です。
最近注目されている「請求書カード払い」は、手軽な資金繰り改善策として話題になっています。一方で、以前から利用されている「ファクタリング」という選択肢もあります。
「この二つのサービス、一体何が違うの?」
「どちらが自分の会社に合っているんだろう?」
この記事では、請求書カード払いとファクタリングの仕組みから、それぞれのメリット・デメリット、そしてあなたの会社の状況に合わせてどちらを選ぶべきか、税理士の視点から比較・解説します。
1・請求書カード払いとは?そのメリット・デメリット
請求書カード払いとは、企業間の請求書払いをクレジットカードで代行するサービスです。
このサービスを利用することで、クレジットカードの締め日と支払い日の間、最大で60日程度の支払い猶予が生まれます。
取引先がカード決済を受け付けていない場合でも利用可能です。
もちろん、請求書カード払いのサービス利用について取引先に通知される心配もありません。
社会保険の支払いにも対応しているサービスもあり、事業の資金繰りの味方として注目されています。
メリット
手軽に資金繰りを改善
審査が比較的簡易で、オンライン上で簡単に手続きが完了することが多いため、急な資金ショートに対応できます。
支払いサイトの延長
クレジットカードの引き落とし日を後ろ倒しにすることで、実質的に支払いサイトを延長できます。
ポイント還元
クレジットカードの利用額に応じて、ポイントやマイルが貯まるため、手数料を一部相殺できる可能性があります。
借入ではない
銀行融資や借入とは異なるため、会社の負債を増やすことなく利用できます。
デメリット
手数料の発生
決済額に対して、3%~5%程度の手数料がかかります。
利用限度額の制約
クレジットカードの利用限度額を超える支払いはできません。
また、高額な請求書には対応できない場合があります。
※サービスによっては、1件の支払いに対して複数のカードを利用できるものもあります。事前に確認するようにしましょう。
2・ファクタリングとは?そのメリット・デメリット
ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権(将来入金される予定の売上)をファクタリング会社に売却し、早期に現金化する資金調達方法です。
メリット
即時性の高さ
即日~数日という短期間で売掛金を現金化できるため、緊急性の高い資金ニーズに対応できます。
担保・保証人不要
売掛債権を売却する形なので、担保や保証人は一切不要です。
借入ではない
負債が増えることがないため、銀行融資の審査に影響しにくいとされています。
デメリット
手数料が比較的高額
ファクタリング会社や取引条件によって異なりますが、手数料は数%~十数%と、請求書カード払いに比べて高額になるケースが多いです。
取引先への通知リスク
売掛先にファクタリング利用を通知する「2社間ファクタリング」の場合、売掛先との信用関係に影響を与える可能性があります。
3・どちらを選ぶべきかの判断基準:目的とコストで徹底比較
請求書カード払いとファクタリングは、それぞれ得意とする資金繰りの目的が異なります。
自社の状況に合わせて最適な手段を選びましょう。
| 請求書カード払い | ファクタリング | |
| 主な目的 | 支払いの猶予期間を設ける | 売掛金を早期に現金化する |
| 対応スピード | 即時~数日 | 即日~数日 |
| 審査の厳しさ | 比較的簡易 | 請求書の信用性により判断 |
| コスト(手数料) | 3%~5%程度 | 数%~十数%程度 |
| 信用情報 | 影響なし | 基本的に影響なしだが、銀行融資の審査に影響を与える場合も |
| 利用シーン | 支払日を遅らせたい時 一時的な資金ショート対策 | まとまった資金が緊急で必要な時 売掛金の入金が遅れている時 |
一時的な支払いサイトの延長が目的なら
請求書カード払いがおすすめです。
手数料も比較的安く、手軽に利用できます。
まとまった資金がすぐに必要なら
ファクタリングが有効です。
請求書カード払いと比較すると手数料は高めですが、手数料が低いサービスも徐々に増えつつあります。
即効性が必要な場合に力を発揮します。
結論:あなたの会社に合った資金繰り改善策を
請求書カード払いもファクタリングも、資金繰りを改善する上で有効な手段です。
しかし、どちらが自社に最適かは、資金繰りの状況、必要な金額、コスト、将来の資金計画によって異なります。
「どの方法が自社に合っているのか?」
「手数料を含めた正確なコストはどのくらいになるのか?」
「銀行融資への影響は?」
こうした疑問は、経営判断を誤らないためにも、専門家である税理士に相談することをおすすめします。
会社の血液であるキャッシュフローを潤滑にするために、これらのサービスを上手に活用していきましょう。
決算期をまたぐプロジェクトの正しい経理処理|収益費用対応の原則・仕掛品を税理士が解説
「プロジェクトが長引いて、決算をまたいでしまった…。」
「外注費だけは支払ったけど、まだ売上が立たない…。」
システム開発、ウェブ制作、コンサルティング、大規模な製造プロジェクトなど、完了までに時間がかかる業務を抱える経営者にとって、決算期をまたぐプロジェクトの経理処理は頭を悩ませる問題です。
「まだ売上が立っていないのに、支払った外注費は経費にできるのか?」
「今期の利益が減ってしまうのでは?」
結論から言うと、決算期末時点でまだ完了していないプロジェクトのために支払った外注費や材料費は、今期の経費にはできません。
この記事では、決算期をまたぐプロジェクトの会計処理について、「収益費用対応の原則」という考え方を軸に解説します。
正しい処理を理解し、会社の経営状態を正確に把握するためのヒントをお伝えします。
1・ なぜ計上できない?決算期をまたぐプロジェクトの経費
決算期末時点でまだ完了していないプロジェクトの経費は、一時的に「資産」として扱います。
これは、会計の基本的な考え方である「収益費用対応の原則」に基づくためです。
この原則は、「ある期間の収益(売上)と、その収益を得るためにかかった経費は、できる限り同じ期間に計上しなければならない」というルールです。
もし、プロジェクトが完了していないのに外注費だけを経費に計上してしまうと、次のような問題が起きてしまいます。
・正確な利益がわからない:売上がゼロなのに経費だけが発生し、赤字に見えてしまう。
・誤った経営判断:実際には収益を生むはずの経費が計上され、会社の収益性が低く見えてしまう。
これを防ぐため、支払った経費は一時的に「資産」として扱い、プロジェクトが完了したタイミングで改めて経費に振り替える処理を行います。
2・解決策は「仕掛品」。経費を資産に計上する処理
決算期をまたぐプロジェクトのために支払った経費は、「仕掛品」や「未成工事支出金」といった勘定科目を使って、経費ではなく資産として計上します。
【勘定科目】
仕掛品(しかかりひん):製造業の原材料費や、システム開発の外注費など
未成工事支出金:建設業などの材料費や外注費
【仕訳の例】
決算期末までに、プロジェクトの外注費を100万円支払った場合
借方 / 貸方
仕掛品 100万円 / 普通預金 100万円
このように処理することで、経費は翌期以降に繰り越され、今期の利益が不当に減ることはありません。
3・仕掛品に関する注意点
仕掛品は、一般的に業務委託費や仕入れなどの経費を分けずに、製造原価の要素として含めて計上します。
これは、仕掛品がまだ完成していない製品であり、その製造に要したすべてのコストを一つの資産として捉えるためです。
製造業で例えると、製造途中の部品がまさにこの仕掛品に該当します。
また、仕掛品は決算期をまたがない場合でも使用します。
仕掛品は、製造にかかった経費を、その製品が販売されたタイミングで初めて計上するために必要な勘定科目です。
これにより、売上と経費が正しく対応し、期間ごとの正確な利益を計算することができます。
たとえ製造期間が数日であっても、製品が完成して売れるまでは、その製造に費やされた材料費や人件費、外注費などは、一時的に「仕掛品」という資産として扱われます。
この会計処理は、企業の財政状態や経営成績を正しく把握するために、期をまたぐかどうかにかかわらず適用されます。
4・プロジェクト完了時に「売上原価」に振り替える
プロジェクトが完了し、無事に取引先に引き渡した時点で、ようやく売上と経費を計上します。この時、「仕掛品」として計上していた資産を「売上原価」として経費に振り替えます。
【仕訳の例】
翌期にプロジェクトが完了し、150万円の売上を計上した場合
借方 / 貸方
売掛金 150万円 / 売上高 150万円
売上原価 100万円 / 仕掛品 100万円
このように、売上と対応する経費を同じ会計年度に計上することで、会社の一連の経営活動を正しく表現できるのです。
5・プロジェクト長期化によるキャッシュアウトに注意!
今回は会計処理をメインにご説明しましたが、プロジェクトの長期化は、資金繰りの観点からも注意が必要です。
プロジェクトが長期化すればするほど、会社のキャッシュフローは悪化します。
本来3ヶ月で完了するはずだったプロジェクトが6ヶ月に延びた場合、予定していた売上金が手に入らない期間が長くなります。
この間も、仕入れや人件費などの支払いは発生し続けるため、キャッシュアウトのリスクが高まります。
特に、決算期をまたぐプロジェクトは大きなリスクを伴います。
決算後は、顧問税理士への決算料の支払い、そして法人税の納付など、まとまったキャッシュが会社から出ていく時期です。
この重要な時期に、予定していたプロジェクトが完了しないことは、資金繰りをさらに逼迫させることになります。
プロジェクトを長期化させないことは、円滑な事業運営において最も重要な経営判断の一つです。
プロジェクトが長期化しやすい事業では、キャッシュアウトのリスクに備え、融資を検討しておくことが重要です。
まとめ:正確な経理が、未来の経営を支える
決算期をまたぐプロジェクトの会計処理は、会社の財務状況を正しく把握するために非常に重要です。
正しい知識がなければ、「今期の利益が減るのでは…」と不必要な不安を感じたり、逆に誤った処理をして税務調査で指摘を受けたりするリスクがあります。
この処理は少し複雑ですが、決して難しいものではありません。
もしご不安があれば、いつでもお気軽にお声掛けください。
リスク対策の融資も含めた経営全体の相談に対応いたします。
海外出張・取引の経費精算レートは?外貨の経費・売上を円に換算するルール
近年、越境ECやインバウンドビジネスの拡大により、海外の顧客や取引先とのやり取りが増えています。
「海外でかかった経費を精算したい」「外貨で入金された売上をどう帳簿につければいいの?」といった疑問を持つ経営者や個人事業主は少なくありません。
外貨建ての取引を日本円で帳簿に記録する際には、正しいルールを知らないと、思わぬ税負担や税務調査での指摘につながる可能性があります。
この記事では、海外取引における外貨の経費や売上を日本円に換算する際の基本的なルールを、税理士の視点から分かりやすく解説します。
1・外貨の経費・売上を日本円で計上する際の原則
外貨建ての取引を帳簿に記録する場合、原則としてその取引が発生した日の為替レートで日本円に換算します。
① 外貨での経費精算の場合
2025年6月1日
海外出張で100ドルの交通費を支払った。(この日のレート:1ドル=150円)
2025年6月10日
日本に戻り、経費精算を行った。(この日のレート:1ドル=155円)
この場合、帳簿に計上する金額は、取引が発生した日(6月1日)のレートを適用した15,000円(100ドル × 150円)となります。
これは、会計原則上、取引の事実を正確に記録する必要があるためです。
② どの為替レートを使うべき?
為替レートは日々変動するため、「いつの」「どのレート」を使うか迷う方も多いでしょう。
TTM(仲値):銀行が公示する売買の中間レートです。多くの企業がこのTTMレートを取引発生日のレートとして採用しています。
TTB(買値):銀行が顧客から外貨を買い取る際のレート。
TTS(売値):銀行が顧客に外貨を売る際のレート。
これらのレートは、経費精算システムや経理ソフトに自動で反映される場合もありますが、手動で計上する場合は、取引発生日のTTMレートを確認して計上するのが一般的です。
2・為替差損益の取り扱い
外貨建ての取引では、取引の発生日と実際に決済を行う日で為替レートが変動するため、その差額が「為替差損益」として発生します。
① 海外からの売上入金の場合
2025年5月1日
海外の取引先に1,000ドルの商品を出荷(売上が発生)。この日のレートは1ドル=150円。
売上計上額:150,000円(1,000ドル × 150円)
借方 / 貸方
売掛金 150,000円 /売上高 150,000円
2025年6月1日
取引先から1,000ドルが入金。この日のレートは1ドル=155円。
入金額:155,000円(1,000ドル × 155円)
借方 / 貸方
普通預金 155,000円 / 売掛金 150,000円
差額(為替差益)
入金額と売上計上額の差額5,000円が、「為替差益」となります。
借方 / 貸方
普通預金 5,000円 / 為替差益 5,000円
為替差損益は、取引が決済された時点で初めて認識し、損益計算書に計上します。
② 越境ECの場合(クレジットカード決済)
越境ECのように、クレジットカード決済で売上が発生する場合、為替差損益は原則として発生しません。
これは、売上が発生した時点で、クレジットカード会社によって決済額が日本円に換算されて確定するためです。
その後、クレジットカード会社から事業者の銀行口座へ入金される金額は、すでに日本円で確定しているため、為替変動による差額は生じないのです。
ただし、決済代行会社やクレジットカード会社から入金される金額は、手数料が差し引かれた後の金額になる点には注意が必要です。
3・期末のレート換算と消費税の注意点
① 期末レートでの換算(決算時)
決算日(期末日)時点で、まだ入金・出金が済んでいない外貨建ての売掛金や買掛金がある場合、その期末日の為替レートで再換算する必要があります。
これにより、期末の貸借対照表の金額を時価に近づけ、正確な財産状況を反映させることができます。
② 消費税の注意点
海外の事業者との取引は、原則として消費税の課税対象外です。
海外への売上
輸出取引となるため、消費税は免税(0%)。
海外からの仕入れ
輸入取引となるため、消費税はかかりません。ただし、輸入時に税関で消費税を支払う場合があり、その場合は仕入税額控除の対象となります。
海外出張時の経費(ホテル代、食事代、交通費など)は、日本の消費税はかからないため、消費税の区分を「対象外(不課税)」として経費計上します。
まとめ
外貨の経費や売上を日本円に換算する際は、取引が発生した日の為替レートを適用するのが基本ルールです。
また、為替レートの変動による差額は「為替差損益」として適切に処理する必要があります。
これらの外貨取引の経理処理は複雑で、一つ間違えると税務調査で大きな問題に発展する可能性があります。
「海外取引の経理処理が合っているか不安…」 「為替差損益の計算方法が分からない…」
海外取引や越境EC事業を展開されている方は、ぜひ一度、税理士にご相談ください。
私たちは、複雑な外貨取引の経理処理をサポートし、あなたの事業の健全な成長を支援します。
税理士が解説!個人所有の金券(切手・商品券)を事業で使用!経理処理と税務調査の注意点
経費利用の際に、個人で所有している切手や商品券、収入印紙などを会社で使いたい、という経験はありませんか?
自宅に置いてある、普段使う機会がない切手・いただきものの商品券、JRの株主優待券などを「事業で活用したい」と誰もが一度は考えることです。
もちろん、個人的に所有していた金券類を会社の経費にすることは可能ですが、正しい経理処理と厳格な管理が不可欠です。
この記事では、正しい金券の取り扱い・経理処理と税務調査で脱税や横領を疑われないためのポイントを税理士が解説します。
1・個人から会社への金券移動:経理処理の基本
個人の切手や金券を会社の経費にする際は、「個人が会社に資産を売却した」とみなして経費精算を行います。
この場合、個人の手元にある領収書を会社に提出し、会社がその代金を個人に支払うという流れになります。
① 金券類は貯蔵品として処理しましょう
借方 / 貸方
貯蔵品 10,000円 / 現金(または普通預金) 10,000円
貯蔵品とは
「貯蔵品」とは、会社の事業で使用・消費する目的で保有しているものの、まだ使っていない未使用の物品を指す勘定科目です。
会計上は、流動資産に区分されます。棚卸資産のため決算期末には棚卸を行う必要があります。
※仕訳入力の際には、摘要欄に個人からの買取の旨を必ず記録しておくようにしましょう。
額面金額を正確に入力します。消費税は非課税です。
●参照 国税庁 No.6229 商品券やプリペイドカードなど
② 株主優待権・無料チケットの経理処理に注意
JRや映画館などの株主優待券は、一般的に「割引券」「無料券」としての性質が強いため、額面金額が存在しないことがほとんどです。
この場合、金額の評価は以下のように行います。
※JRの優待券を例に解説します。
原則:割引前の正規運賃を基準とする
株主優待券は、正規運賃から一定の割合(例えばJRなら20~50%)を割引くものです。
経理処理においては、この「割引かれた金額分を、金券として会社が個人から買い取った」と考えるのが一般的です。
例:正規運賃が10,000円で、優待券利用で8,000円を支払った場合(割引額2,000円)
会社が個人に支払うのは、優待券の価値である2,000円と、実際に支払った8,000円の合計10,000円となります。
借方 / 貸方
旅費交通費 10,000円 / 貯蔵品 2,000円
現金(または普通預金) 8,000円
ただし、個人が優待券の代金として2,000円を受け取るかどうかは、会社の規程によります。
切手・金券類と同じく、実際に使用したときに初めて経費計上します。
勘定科目:旅費交通費(JRの場合)・広告宣伝費(映画無料チケットの配布)など
JRの優待券は、不正経理の温床となりやすいと見なされることがあります。
優待券を使って正規運賃より安く移動したにもかかわらず、割引前の正規運賃を会社に請求して差額を私的に得るという不正が考えられます。
税務調査では、領収書や経費精算書と実際の運賃が一致しているかを厳しくチェックされます。
③ 個人が金券類を無償提供する場合の経理処理
会社が個人から優待券を買い取らず、無償で提供を受けた場合、その優待券の価値分を「雑収入」として計上します。
借方 / 貸方
貯蔵品 10,000円 / 雑収入 10,000円
2・金券使用時の経費処理と勘定科目
ここでは、個人から買い取った(または無償提供を受けた)切手や金券類を使用した際の経理処理について解説していきます。
① 切手・はがき・レターパックの場合
郵便料金として使用した場合に計上します。
切手やレターパックは、購入した時点ではなく、実際に使用した時点で経費として計上するのが原則です。
勘定科目:通信費
借方 / 貸方
通信費 10,000円 / 貯蔵品 10,000円
② 収入印紙
契約書や領収書など、課税文書に貼付して消印をすることで経費にできます。こちらも購入時ではなく、使用時に経費計上します。
勘定科目:租税公課
借方 / 貸方
租税公課 10,000円 / 貯蔵品 10,000円
③ 商品券・ギフト券・金券
VISA、JCBのギフト券、QUOカード、図書カード、旅行券、ビール券、株主優待券、映画無料チケットなどは全て金券としての取り扱いとなります。
取引先への贈答や接待目的の場合は交際費に。
不特定多数の消費者に向けた抽選や景品の場合は広告宣伝費に分類されます。
お客様紹介の謝礼として支払う場合は接待交際費に分類されます。
勘定科目:接待交際費・広告宣伝費など
借方 / 貸方
接待交際費 10,000円 / 貯蔵品 10,000円
(広告宣伝費)
3・税務調査でチェックされるポイント
金券は現金と同様に換金性が高いため、税務調査で横領や脱税を疑われるリスクが非常に高い項目です。
調査官は以下の点を厳しくチェックします。
① 購入時の領収書
個人のクレジットカード明細ではなく、会社名義で購入した領収書があるか。
個人で買ったものを会社経費にする場合は、購入時の領収書と経費精算書がセットで必要です。ただし、自宅に元々あった切手や商品券など、領収書がない場合は、会社が個人から「買い取る」形で経費精算を行うことができます。
この場合、個人の経費精算書と金券の現物が、取引の正当性を証明する重要な証拠となります。
② 使用目的の明確性
交際費として計上する場合は、「誰に、何の目的で、いくら渡したか」を詳細に記録しておくことが不可欠です。
例えば、取引先の担当者名、訪問日、贈答理由などを記録しておきましょう。
記録がない場合は、架空経費や使途不明金とみなされ、追徴課税の対象になります。
③ 在庫管理
切手や商品券の在庫と、購入・使用の記録が一致するかを確認されます。
金券を会社の経費として購入したものの、個人的な飲食代や買い物に使ってしまう私的流用は、税務調査で必ず見抜かれます。
4・金券の厳重な管理とリスクヘッジ
金券類(商品券、ビール券、JR株主優待券、図書券など)は、経理担当者が特に注意して管理すべき項目です。
① 管理台帳の作成
金券の種類、購入日、購入枚数、使用日、使用目的、使用者を記録する管理台帳を作成しましょう。
これにより、いつ、誰が、何のために使ったかが明確になり、社内不正(横領)を防ぐとともに、税務調査の際の強力な証明になります。
② 鍵のかかる場所で保管
現金と同様に、金庫や鍵付きの引き出しで厳重に保管しましょう。
③ 公私混同を避ける
会社名義で購入した金券は、決して個人的な用途で使用しないように徹底してください。
経費精算後も、公私を明確に区別することが重要です。
まとめ
個人の切手や商品券を会社で使うことは可能ですが、現金同等物としての特性を理解し、正確な経理処理と厳重な管理が不可欠です。
これらのルールを怠ると、税務調査で思わぬ追徴課税を受けたり、会社の信用を失墜させたりするリスクがあります。
経理処理や管理方法に少しでも不安がある場合は、専門家である税理士に相談することをおすすめします。
空き家を活用したAirbnb開業マニュアル:遊休資産を収益に変える民泊ビジネスの始め方
近年、日本の空き家問題が深刻化しています。
全国の住宅の約7軒に1軒が空き家という現状は、地域経済の停滞や治安悪化の一因となっています。
しかし、この社会問題は、新たなビジネスチャンスでもあります。
使われなくなった空き家を、訪日外国人観光客や国内旅行者向けの民泊施設として活用すれば、安定した収益を生み出す「生きた資産」に生まれ変わらせることができるのです。
この記事では、空き家を所有する方や、副業・不動産投資に興味がある方に向けて、民泊開業の始め方から、合法的に運営するための注意点、そして収益計算のシミュレーションまで、税理士の視点も交えながら徹底的に解説します。
1・なぜ今、空き家を活用した民泊ビジネスなのか?
日本の空き家率が高い主な理由は、少子高齢化による世帯数の減少だけではありません。
多くの空き家所有者は、活用の機会がないことに加え、以下のような悩みを抱え、手つかずのまま放置しているのが実情です。
高額な解体費用
古い家屋を解体するには、数百万円単位の費用がかかります。この費用をすぐに捻出できない所有者は少なくありません。
固定資産税の負担増
住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が大幅に軽減されています。
しかし、建物を解体して更地にすると、この特例が適用されなくなり、固定資産税が最大で6倍に跳ね上がってしまいます。
相続問題の複雑化
親族間で意見が合わず、売却や活用方法について話し合いが進まないケースも多く見られます。
このように、使わないけれど処分もできない「遊休資産」を抱える所有者が増えています。
そんな空き家を民泊として活用することには、以下のような大きなメリットがあります。
① 新しい旅行スタイルとマッチ
かつてはホテルや旅館が宿泊の主流でしたが、旅行者の価値観は変化しています。
近年、訪日外国人観光客(インバウンド)が急増したことで、宿泊施設の多様なニーズが生まれました。
豪華なサービスや過剰な設備よりも、暮らすように旅をしたい、気兼ねなくリーズナブルに宿泊したいというニーズが増加しています。
民泊は、そうした新しい旅行者の需要にマッチした宿泊スタイルとして、大きな存在感を放っています。
② 資産活用と高い収益性
放置されたままでは固定資産税などの費用だけが発生します。
民泊に活用することで、資産を収益源に変え、資産価値の維持にも繋がります。
賃貸物件として貸し出すよりも、民泊は高い日単価を設定できるため、高い収益が期待できます。
観光シーズンにはさらに収益が跳ね上がる可能性もあります。
③ 民泊とAirbnb(エアビー)何が違う?
「民泊」と「Airbnb」は混同されがちですが、これらは全く別のものです。
民泊とは、空き家や自宅の一部を宿泊施設として提供する、事業形態の総称です。
旅館業法の簡易宿所や、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく事業などがこれにあたります。
一方、Airbnbは、民泊という事業を行うための主要なプラットフォーム(仲介サイト)の名称です。世界中の旅行者と宿泊施設をつなぐ、マッチングサービスだと思ってください。
近年、Airbnbの認知度が非常に高まったため、「民泊」という事業そのものを「Airbnb」(エアビー)と呼ぶことも増えていますが、両者はあくまで「事業」と「ツール」という関係性です。
2・空き家を民泊施設として開業するまでのステップ
① 民泊事業の3つの制度と許可
民泊事業を合法的に行うためには、日本の法律に基づいた許可・届出が必要です。
⑴ 住宅宿泊事業法(民泊新法)
・届出制で、営業日数は年間180日以内に制限されます。
・一戸建てやアパートの一室など、幅広い物件が対象になります。
・比較的手軽に始められるため、これから民泊を始める多くの人がこの制度を利用します。
観光庁 minpaku:住宅宿泊事業者の届出に必要な情報、手続きについて
⑵ 特区民泊(国家戦略特別区域法)
・大田区や大阪市など、特定の地域でのみ認められている制度です。
・営業日数の制限がなく、2泊3日以上の宿泊が義務付けられています。
⑶ 旅館業法
・ホテルや旅館と同じ「許可制」の事業です。
・営業日数に制限がなく、フロント設置や消防設備の義務付けなど、要件が最も厳格です。
観光庁 minpaku 旅館業法について
https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/overview/minpaku/law2.html
これから始める場合は、年間180日以内という制限はありますが、民泊新法での届出を検討するのが最も現実的です。
② 開業までの大まかな流れ
⑴事業計画の策定
どんなターゲット層(ファミリー、カップル、インバウンドなど)に、どんなコンセプト(古民家風、モダン、シンプルなど)の施設を提供するのかを明確に決めます。
この段階で、物件の立地や周辺環境の分析も行い、需要とコンセプトが合致しているかを確認します。
⑵物件の準備
内装のリフォームや家具の購入、清掃業者との契約など、宿泊客を迎える準備を進めます。
⑶届出・許可申請
管轄の自治体(保健所など)に書類を提出し、届出を完了させます。
③ 初期投資を抑えるには
⑴DIY(Do It Yourself)の活用
リフォームの費用は大きな負担となりますが、壁の塗装や床の張り替えなど、簡単な作業は自分で行うことで大幅なコスト削減が可能です。
⑵サブスクリプションサービスの利用
高額な家具や家電は、購入する代わりにレンタルサービスやサブスクリプションサービスを利用しましょう。
初期費用を抑えられるだけでなく、故障時の交換などもスムーズに行えます。
⑶リサイクル品や中古品の活用
まだ使える家具や家電は、リサイクルショップやフリマアプリで探してみましょう。
状態の良いものが格安で手に入ることも多く、コンセプトに合ったユニークな空間作りにも繋がります。
⑷既存設備の最大限の活用
放置されていた空き家でも、水回り(キッチン、バスルーム)やエアコンなどがまだ使える場合があります。
これらを無理に交換せず、清掃や一部の修理で対応することで、費用を大きく抑えられます。
⑸内装業者との交渉
複数の業者から相見積もりを取り、価格やサービス内容を比較検討しましょう。
また、予算をあらかじめ明確に伝え、その範囲内でできる工事内容を提案してもらうことも有効です。
これらの工夫を凝らすことで、初期投資の負担を抑えつつ、魅力的で快適な民泊施設を開業することが可能になります。
3・税理士が解説!民泊経営で知っておくべきお金の話
① 収益シミュレーション
ここでは、一般的な民泊新法での運営を想定した簡易的なシミュレーションを行います。
売上(年収)
・1泊の単価: 2万円
・宿泊率: 50%
・運営日数: 180日(民泊新法の上限)
・年収 = 2万円 × 180日 × 50% = 180万円
経費(年間)
・清掃代: 2,000円 × 90日 = 18万円
・管理手数料(Airbnb等): 180万円 × 3% = 5.4万円
・光熱費・消耗品費: 20万円
・固定資産税: 15万円
・経費合計 = 約58.4万円
所得(利益)
180万円 – 58.4万円 = 121.6万円
※これはあくまで一例であり、立地や運営方法によって大きく変動します。
また、ここには載せていませんが、民泊事業を始めるための初期投資分(リフォーム代、家具・家電代など)を正確に把握して、何年で初期投資を回収できるか(ROI)を把握しておくことも重要です。
② 税務上の注意点
民泊で得た収入は、所得税の課税対象となります。
事業所得か雑所得か
・民泊の規模や継続性、事業性が認められれば事業所得となり、青色申告による税制優遇(特別控除、赤字の3年繰り越しなど)を受けられます。
・副業として小規模に行う場合は、雑所得に区分されるのが一般的です。
経費として計上できるもの
・リフォーム代
・家具・家電購入費(減価償却)
・清掃代
・光熱費
・インターネット代
・消耗品費
など、民泊運営に直接かかった費用は経費として認められます。
4・民泊事業で活用できる補助金・助成金
空き家活用や観光振興を目的に、国や地方自治体が様々な補助金・助成金制度を設けています。 「〇〇市 空き家 活用 補助金」や「〇〇県 民泊 助成金」などで検索してみましょう。
自治体のホームページや相談窓口で、最新情報を入手することが重要です。
また、小規模事業者持続化補助金も民泊事業のための広告宣伝費やウェブサイト費用などに活用可能です。
5・避けて通れないトラブル対策
不特定多数の人が利用する民泊では、事前に起こり得るトラブルを予想して対策を打つことが必要です。
① 近隣住民とのトラブル
騒音やゴミ出しの問題など、事前に近隣住民への配慮が必要です。
② 宿泊客同士のトラブル
備品の破損や喫煙など、ハウスルールを明確にし、宿泊客に周知徹底させましょう。
また、日本語が分からない外国人観光客のために分かりやすく伝える工夫も必要です。
③ 清掃・管理の手間
遠方に住んでいる場合、清掃や鍵の受け渡しを代行する業者と契約するのがおすすめです。
まとめ
空き家を活用した民泊ビジネスは、社会問題の解決と収益化を両立できる魅力的な事業です。
しかし、成功には、事業計画の策定、法的な要件の遵守、そして適切な税務処理が不可欠です。
特に、副業としての民泊は、所得区分や経費計上について複雑な判断が求められます。
また、民泊の届出・許可申請は、旅館業法や民泊新法など、複数の法令が関わる複雑な手続きです。
「どの制度で始めれば良いか」「届出書類の作成が大変そう」「税金はどのように計算すれば良いか」といったご不安があれば、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。
届出や許可申請の手続きに関しては、提携している行政書士をご紹介することも可能です。
私たちは、あなたの空き家を有効活用し、安定した収益を生み出すための最適なプランを、専門家の視点からご提案させていただきます。
WizBiz Note様の記事を監修しました
この度、WizBiz Note様の記事「不動産担保ローンのおすすめランキング20選!審査は甘い?法人・個人事業主向けローン比較」の監修を行ないました。
不動産という“リアルな担保”を活かして、法人や個人事業主が資金を調達しやすくなる──そんな不動産担保ローンを、銀行系からノンバンクまで20社厳選し、金利・審査・使い勝手まで徹底比較したガイド。【不動産担保ローンの選び方】を知りたい人に最適な記事となっております。
よろしければ、ぜひご覧ください。
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不動産担保ローンのおすすめランキング20選!審査は甘い?法人・個人事業主向けローン比較
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