起業するなら加入しよう!小規模企業共済への加入の7つのメリット

小規模企業共済とは?

小規模企業共済とは、小規模事業者(中小企業の経営者や役員、一人社長、個人事業主)のための退職金制度です。決まった額を長期間積み立てて、退職時や廃業時に「退職金」として受け取ることができます。以前のコラムで紹介した経営セーフティ共済と同じく、中小機構という国の機関が運営しています。

起業をされた方には、この小規模企業共済の加入をお勧めします。

今回は「小規模企業共済に加入する7つのメリット」をお伝えしていきます。

加入するメリット①高い節税効果がある

小規模企業共済の1番の魅力は、掛金を全て控除できることです。

例えば、小規模企業共済に毎月5万円の掛金を納付したとしましょう。トータルの金額は年間60万円ですが、この60万円を全て所得から控除できるということです。

所得が300万円の場合、(300万円-60万円で)課税所得を240万円まで下げることができます。

一方、毎月5万円を銀行預金にまわした場合、1円も控除の対象にはなりません。そのため、課税所得は300万円になります。

また「貯蓄+備え+節税」目的で、貯蓄型保険に加入する方法もありますが、保険の控除額には上限があります。

もちろん保険の場合は、死亡保障があるため、共済と全く同じ条件での比較はできませんが、単純に「控除額」だけ考えると、貯金や保険よりも小規模企業共済の利用は圧倒的に有利ということになります。

加入するメリット②掛金額の自由度が高い

共済の掛金額は1,000円~70,000円の間であれば500円単位で自由に設定可能です。

収入が増えた場合は、節税も兼ねて増額すれば良いですし、収入が減ったときは、減額することもできます。

もちろん減額すればそれだけ積立の金額は下がりますが、また収入が上がった時に増額すれば良いだけの話です。

臨機応変に掛金額を調整していきましょう。

加入するメリット③掛金納付方法を選ぶことができる

共済では、掛金納付について「月払い・半年払い・年払い」から選ぶことができます。これは節税テクニックとして上手に活用できます。

例えば、思ったよりも所得が多かった年は、掛金の納付を「半年払い」や「年払い」にして控除額を増やすことができます。ただし、これは次の年の控除分が減ることを意味します。例えば11月分から年払いを行った場合は、翌年の10月分までの控除枠を使い切ってしまったことになりますので、注意が必要です。

また、上記のように1年分・半年分「前納」をした場合、わずかですが、掛金が割引されます。

資金に余裕がある場合は、少しでもお得にするために前納もお勧めしています。ただし、前納は一気にキャッシュが出ていきますので、計画的に行うことが重要です。

加入するメリット④受け取りは「一括」「分割」好きな方を選べる

共済金を受取る際には、一括か分割かを選ぶことができます。

どちらも受取り時には税金がかかりますが、受取り方によって税金の取り扱いが変わります。

一括受取りの場合は「退職金」扱いになります。「退職所得」は通常の所得よりも所得税の負担が軽くなります。

また、分割受け取りの場合は公的年金などの「雑所得」扱いになり、公的年金等控除を受けられますので、同じく税負担は軽くなります。

公的年金控除では、60歳から64歳までは70万円、65歳以上は120万円は差し引かれるため、この範囲内であれば税金はかかりません。けれども、あまりに分割受取りの金額が大きい場合は、税金や健康保険の負担が上がりますので注意が必要です。

共済金のベストな受取り方は、お一人お一人異なりますので、税理士などの税金に関する専門家に相談されることをお勧めします。

加入するメリット⑤事業の資金繰りで強力な味方になる

共済では、納付した掛金の範囲内(掛金納付月数により掛金の7~9割)ではありますが、低金利で貸付を受けることができます。(借入ができるということです。)即日で受けられることが何よりも大きなメリットです。

「低金利の借入」といえば、銀行や国民政策金融公庫からの融資を誰もが思い浮かべるかと思いますが、これらは時間がかかります。また、これらの融資は、創業時や事業拡大を目的として受けるものであり、資金が急に必要になったタイミングでは借りられないことが大半です。

事業の資金繰りで一時的に資金調達をしたいという場合、共済の貸付は非常に有効な手段です。

「自分が納めたお金なのに、低いとはいえ金利を支払うの?」と思われるかもしれませんが、

金利は年1.5%と低めですし、一時的な調達であれば早めに返済することでほとんど影響を受けずに済みます。

やはり経営の世界は何が起こるか分かりません。時間をかけて自己資金を積み立て、もしもの時に備えておくことはやっておいて損はありません。

慌ててファクタリングをしたり、フリーローンや消費者金融を利用するようなことがないように、「備え」という意味でも共済に加入してコツコツ積立していくことをお勧めします。

小規模企業共済は、個人の将来への備えだけでなく、事業の資金繰りの強力な味方になってくれることも覚えておいてください。

加入するメリット⑥仕事を続けたままでも、共済金を請求できる

共済金の受取りは「退職・廃業後」が原則ですが、「老齢給付」では、仕事を続けたままでも共済金を受取ることができます。

老齢給付は、65歳以上で180か月(15年)以上掛金を払い込んだ方が対象です。

つまり、65歳になってすぐに受取ろうと思うと、50歳から加入すればOKということです。

もちろん受取る額は掛け金と加入期間に応じたものになりますので、少しでも早く加入されることをお勧めします。

加入するメリット⑦共済は資産形成にもなる

小規模企業共済に掛金を納付することは資産形成にも繋がります。

納付されたお金は中小機構が運用します。運用実績は中小機構のホームページで確認できますが、長期に渡った運用実績として2%とという数字を出しています。銀行預金の利息と比較するとその差は明らかです。もちろんこれは実績であり、今後も同じ数字が保証されるわけではありません。

けれども、大手銀行普通預金の利息が年0.0010%ほどであることを思うと、単純に1000倍以上の数字です。これが長期になれば、どれだけ差が生まれるでしょう。

①でもお伝えしましたが、共済の掛金は全額控除の対象ですが、銀行預金は控除対象外です。

小規模企業共済資産 令和4年度の運用状況

ここまでで、小規模企業共済の魅力を一通りお伝えしました。
とても魅力的な共済ですが、もちろん全ての方が加入できるわけではありません。

小規模企業共済・加入資格について

さて、これだけ魅力的な小規模企業共済。誰もが加入したいと思うでしょうが、もちろん加入資格があります。

個人事業主の加入資格

基本的に開業届を提出している個人事業主は加入できます。

例えば、美容院経営・エステティシャン・占い師・代理店業・小売やアパレルの店舗経営・飲食店・音楽教室などです。農業を営む方や、法人化していない士業も加入できます。

一方、個人事業主でも加入資格がない場合もあります。

従業員数が一定数を超える事業者は共済に加入できません。(※従業員数の規定は業種によって違うため、中小機構のホームページをご確認ください。)

もう一つは、企業との間で雇用契約を結んでいる場合です。個人事業主として開業届を出しているものの、会社員としても働いているのであれば加入対象外です。つまり「サラリーマン副業」では加入できないということです。

また、個人事業主でも特定の企業と専属契約を結び、固定給に近い報酬を受け取っている場合も加入できません。個人事業主として業務委託を受けるのならば完全歩合であることが必要条件です。

他にも、個人事業主であっても、生命保険の外交員・小規模事業に該当しない事業を兼業している・学生起業家も残念ながら加入できません。

それでは共同経営者の場合はどうでしょうか。

共同経営者の場合、一人の個人事業主に対し、二人まで加入することができます。共同経営者と認められれば、血縁関係・婚姻関係は問いません。

ただし、主となる個人事業主が加入要件を満たしていない場合は、共同経営者も加入はできません。
共済加入を検討されている方は、まずは主となる個人事業主が加入資格があるかどうかを確認するようにしましょう。

法人経営者の加入資格

法人経営者で、下記に該当する場合は共済に加入することができます。

・株式会社、有限会社の役員・監査役

・合名会社・合資会社の業務執行社員

・合同会社で業務執行社員としてと記されている社員

・企業組合、協同組合の理事・監事

・営利目的である農事組合法人の理事または監事

・士業法人の業務執行社員

逆に以下の場合は、加入資格の対象外となります。

・営利目的ではない法人の役員(協同組合、医療法人、学校法人、宗教法人、社会福祉法人、社団法人、財団法人、NPO法人など)

・学生

・給与所得のあるサラリーマン(サラリーマン副業)

・常勤役職員(使用人兼務役員)

詳しい加入資格については、公式ホームページや取扱機関に確認してみましょう。

中小機構 共済サポート navi  小規模企業共済に加入をご検討中の方へ

起業・創業するならすぐに小規模企業共済に加入しましょう

今回は小規模企業共済7つのメリットについて紹介いたしました。

冒頭でもお伝えしましたが、起業すると、会社員であれば受けられる様々な保障を手放すことになります。だからこそ、小規模企業共済は、起業された方々を支える重要な役割を果たすのです。

起業・創業で、小規模企業共済の加入を検討されている方は、山本聡一郎税理士事務所までお気軽にご相談ください。

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