クラウド会計ソフトは近年、多くの企業で導入が進んでいる一方で、メリットだけでなくデメリットも存在します。本記事ではクラウド会計ソフトの具体的な利点と注意点について詳しく解説します。
このページの目次
クラウド会計ソフトの概要
クラウド会計ソフトとは
クラウド会計ソフトとはインターネット経由で利用できる会計ソフトのことです。
データをクラウド上に保存し、どこからでもアクセス可能な点が特徴です。
従来の会計ソフトとの違い
従来型のインストール版会計ソフトとは異なり、クラウド会計ソフトはソフトウェアのインストールやアップデートの手間が省けます。
クラウド会計ソフトの基本機能
一般的にクラウド会計ソフトは、帳簿管理、請求書作成、経費精算、レポート生成などの機能を備えています。
クラウド会計ソフトのメリット
どこからでもアクセス可能
インターネットさえあれば、場所を問わずにデータアクセスができ、リモートワークに最適です。クラウド会計ソフトは、オフィスだけでなく、自宅や外出先など、あらゆる場所からアクセスできます。
そのため、従業員がオフィスに出勤しなくても、いつでもどこでも会計業務を行うことが可能です。これは、近年増加しているリモートワークやフレックスタイム制導入の企業にとって大きなメリットとなります。
また、出張や海外駐在など、場所を移動する機会が多い企業にとっても、クラウド会計ソフトは非常に便利です。従来の会計ソフトでは、オフィスに設置されたサーバーにアクセスする必要があり、場所を選ばずに業務を行うことは困難でした。
しかし、クラウド会計ソフトであれば、インターネット環境さえあれば、場所を問わずにデータにアクセスできます。そのため、従業員の移動時間やコスト削減にも貢献できます。さらに、外出先でも顧客情報や取引履歴を確認できるため、営業活動の効率化にも役立ちます。
常に最新のソフトを利用可能
クラウド会計ソフトは常に最新バージョンが提供されるため、法改正にも即座に対応できます。
クラウド会計ソフトは、ソフトウェアの開発会社が常に最新バージョンを開発し、提供しています。そのため、ユーザーは常に最新の機能を利用することができ、法改正にも迅速に対応できます。
従来の会計ソフトでは、最新バージョンへのアップデートには、ソフトウェアのダウンロードやインストールが必要でした。そのため、アップデート作業に時間がかかったり、古いバージョンのまま使用せざるを得ない場合もありました。
しかし、クラウド会計ソフトは、ソフトウェアの開発会社が自動的にアップデートを行うため、ユーザーはアップデート作業を行う必要がありません。常に最新のバージョンが利用できるため、法改正に対応するだけでなく、セキュリティ対策も万全です。
また、最新機能の利用により、業務効率の向上や経費削減にもつながります。
バックアップの手間が不要
データは自動的にクラウド上に保存されるため、バックアップの手間が省けます。
クラウド会計ソフトは、データをクラウド上に保存するため、ユーザーはデータのバックアップ作業を行う必要がありません。従来の会計ソフトでは、データのバックアップを定期的に行う必要があり、ユーザーにとって大きな負担となっていました。
バックアップ作業には、データの保存場所の確保や、バックアップソフトの購入、バックアップ作業の実施など、多くの手間と時間がかかります。また、バックアップデータの管理も必要で、データの紛失や破損のリスクもありました。
しかし、クラウド会計ソフトは、データのバックアップを自動的に行うため、ユーザーはバックアップ作業の手間から解放されます。データはクラウド上に安全に保存されるため、データの紛失や破損のリスクも軽減されます。
経理業務の効率化
自動仕訳やデータ連携機能があり、業務の効率化が図れます。クラウド会計ソフトは、自動仕訳機能やデータ連携機能など、経理業務を効率化する機能を備えています。
自動仕訳機能は、取引データを入力すると、自動的に仕訳処理を行う機能です。これにより、人為的なミスを減らし、仕訳作業にかかる時間を大幅に短縮できます。
また、データ連携機能は、銀行口座やクレジットカードなどの外部サービスと連携し、取引データを自動的に取り込む機能です。これにより、手動でデータ入力する手間を省き、データ入力のミスを防ぐことができます。
さらに、クラウド会計ソフトは、様々な機能を組み合わせることで、経理業務の効率化をさらに推進できます。例えば、請求書発行機能とデータ連携機能を組み合わせることで、請求書発行から入金管理までを自動化できます。
また、経費精算機能とデータ連携機能を組み合わせることで、経費精算の自動化を実現できます。
リアルタイムのデータ確認
経営状況をリアルタイムで確認できるため、迅速な意思決定が可能になります。クラウド会計ソフトは、リアルタイムでデータを確認できるため、経営状況を把握し、迅速な意思決定を行うことができます。
従来の会計ソフトでは、データの更新には時間がかかり、最新のデータを確認するためには、定期的にデータの更新作業を行う必要がありました。そのため、経営状況を把握するまでに時間がかかり、迅速な意思決定が難しくなっていました。
しかし、クラウド会計ソフトは、データがリアルタイムで更新されるため、いつでも最新のデータを確認できます。そのため、経営状況を把握し、迅速な意思決定を行うことが可能です。
また、リアルタイムのデータ分析機能により、経営状況を詳細に分析し、経営戦略の策定に役立てることもできます。
クラウド会計ソフトのデメリット
インターネット接続が必要
インターネット接続がないと利用できないため、環境によっては不便さがあります。
クラウド会計ソフトは、インターネット接続がないと利用できません。そのため、インターネット環境が不安定な場所や、インターネット接続ができない場所では利用することができません。
また、災害時など、インターネット接続が途絶えてしまう場合も、クラウド会計ソフトを利用することができません。そのため、インターネット環境が不安定な場所や、災害時にも利用できるよう、対策を検討する必要があります。
例えば、モバイルWi-Fiルーターや、オフラインで利用できる会計ソフトなどを用意しておくことが考えられます。
コストの問題
月額や年額の利用料金が発生するため、予算計画に影響を与えることがあります。クラウド会計ソフトは、月額や年額の利用料金が発生します。
そのため、従来の会計ソフトと比べて、初期費用は安くても、ランニングコストがかかります。利用料金は、機能やユーザー数によって異なります。
そのため、導入前に、自社の予算計画に合うかどうかを検討する必要があります。また、クラウド会計ソフトの中には、無料版やトライアル版が用意されているものもあります。
無料版やトライアル版を利用することで、実際にクラウド会計ソフトを試用し、自社に適しているかどうかを確認することができます。
セキュリティの懸念
データをクラウド上に保存するため、セキュリティ対策に注意が必要です。
クラウド会計ソフトは、データをクラウド上に保存するため、セキュリティ対策が重要になります。クラウド上のデータは、不正アクセスやデータ漏洩のリスクがあります。
そのため、セキュリティ対策として、パスワード管理や、データの暗号化、アクセス権限の管理などを徹底する必要があります。また、クラウド会計ソフトを提供する会社が、どのようなセキュリティ対策を行っているのかを確認することも重要です。
セキュリティ対策が不十分なクラウド会計ソフトを利用すると、データ漏洩などのリスクが高まります。そのため、導入前に、セキュリティ対策について十分に検討する必要があります。
使い方の習得
新たなソフトウェアの使い方を身につける必要があり、初期の習得に時間がかかることがあります。
クラウド会計ソフトは、従来の会計ソフトとは異なる操作方法や機能を持つため、使い方を習得する必要があります。そのため、初期の導入時には、操作方法の習得に時間がかかることがあります。
また、クラウド会計ソフトは、機能が豊富で、すべての機能を理解するには、ある程度の時間が必要です。そのため、導入前に、操作方法や機能について、十分に理解しておく必要があります。
クラウド会計ソフトの導入をスムーズに行うためには、導入前に、操作方法や機能に関する研修を受けることが有効です。また、導入後も、操作方法や機能に関するサポートを受けることができるように、サポート体制を整えておくことが重要です。
クラウド会計ソフトを選ぶ企業
クラウド会計ソフトが適している企業
リモートワークが多い企業や、ITリテラシーが高い企業にとっては非常に便利です。
クラウド会計ソフトは、リモートワークやフレックスタイム制導入の企業にとって非常に便利です。また、ITリテラシーが高い企業にとっても、クラウド会計ソフトは使いやすく、導入しやすいと言えるでしょう。
クラウド会計ソフトは、場所を選ばずに利用できるため、リモートワークやフレックスタイム制導入の企業にとって、業務効率の向上に役立ちます。
また、ITリテラシーが高い企業であれば、クラウド会計ソフトの操作方法をすぐに習得できるため、導入のハードルが低くなります。
クラウド会計ソフトが適していない企業
インターネット環境が不安定な場所で業務を行う企業には向かないことがあります。
クラウド会計ソフトは、インターネット接続が必須です。そのため、インターネット環境が不安定な場所や、インターネット接続ができない場所では利用することができません。
また、災害時など、インターネット接続が途絶えてしまう場合も、クラウド会計ソフトを利用することができません。そのため、インターネット環境が不安定な場所や、災害時にも利用できるよう、対策を検討する必要があります。
例えば、モバイルWi-Fiルーターや、オフラインで利用できる会計ソフトなどを用意しておくことが考えられます。
クラウド会計ソフトの導入手順
データ移行の準備
既存のデータをクラウド会計ソフトに移行するための準備が必要です。
クラウド会計ソフトを導入する際には、既存の会計ソフトからデータを移行する必要があります。データ移行には、データの形式変換や、データの整合性チェックなど、様々な作業が必要になります。
そのため、データ移行の準備をしっかりと行うことが重要です。データ移行の準備には、以下の作業が含まれます。
1.データの確認:
既存の会計ソフトにどのようなデータが保存されているのかを確認します。
2.データの形式変換:
既存の会計ソフトのデータ形式を、クラウド会計ソフトのデータ形式に変換します。
3.データの整合性チェック:
データ移行後に、データの整合性をチェックします。
4.データ移行の実施:
データ移行の準備が整ったら、実際にデータを移行します。
データ移行は、専門知識や経験が必要な作業です。そのため、データ移行を専門業者に依頼することも検討できます。
利用権限の設定
社員の利用権限を適切に設定し、データの管理を徹底する必要があります。クラウド会計ソフトを導入する際には、社員の利用権限を適切に設定する必要があります。利用権限の設定には、以下の項目が含まれます。
1.アクセス権限:
社員がどのデータにアクセスできるのかを設定します。
2. 操作権限:
社員がどの操作を実行できるのかを設定します。
3.データの閲覧権限:
社員がどのデータを見ることができるのかを設定します。
4.データの編集権限:
社員がどのデータを編集できるのかを設定します。
利用権限を適切に設定することで、データの不正アクセスやデータ漏洩を防ぐことができます。また、社員の業務効率を向上させることもできます。
税理士との連携
顧問税理士がいる場合、クラウド会計ソフトへの対応可否を確認しましょう。
クラウド会計ソフトを導入する際には、顧問税理士がいる場合は、クラウド会計ソフトへの対応可否を確認する必要があります。顧問税理士によっては、クラウド会計ソフトに対応していない場合があります。
そのため、導入前に、顧問税理士に相談し、クラウド会計ソフトへの対応可否を確認することが重要です。顧問税理士がクラウド会計ソフトに対応している場合でも、クラウド会計ソフトの種類によっては、対応していない場合があります。
そのため、導入前に、顧問税理士に相談し、対応可能なクラウド会計ソフトを確認することが重要です。
クラウド会計ソフト導入のまとめ
クラウド会計ソフトの導入は多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。
自身のビジネスに最適なソリューションを選ぶことが重要です。クラウド会計ソフトは、多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。そのため、導入前に、自社のビジネスに最適なソリューションかどうかを検討することが重要です。
クラウド会計ソフトの導入を検討する際には、以下の点を考慮する必要があります。
1.自社のニーズ:
自社の業務内容や規模、経営状況などを考慮し、クラウド会計ソフトの機能や価格が適切かどうかを検討します。
2.インターネット環境:
インターネット環境が安定しているかどうかを確認します。
3.セキュリティ対策:
クラウド会計ソフトのセキュリティ対策が十分かどうかを確認します。
4.税理士との連携:
顧問税理士がいる場合は、クラウド会計ソフトへの対応可否を確認します。
5.導入費用:
クラウド会計ソフトの導入費用が予算に合っているかどうかを確認します。
クラウド会計ソフトの導入は、企業にとって大きなメリットをもたらす可能性があります。しかし、導入前に、自社のビジネスに最適なソリューションかどうかを検討することが重要です。
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