現在、無担保無保証の政府系融資には、代表的なものとして日本政策金融公庫の「新創業融資」と各都道府県や市町村が取り扱う制度融資の一部の「創業融資」があります。愛知県では「愛知県経済環境適応資金『創業等支援資金』」、名古屋市では、「新事業創出資金『マル新出』」のような制度です。いずれにしても相談から始まって最終的に融資を受けることは同じですが、その途中の流れはそれぞれ異なります。
それぞれの手続きの流れと、それに要する時間の目安をお伝えします。2020年の新型コロナウイルスなどの外的要因により融資実行までの時間が大幅に伸びていますので参考目安としてご参照ください
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日本政策金融公庫の場合
① 相談
一般的な流れとして、まずは最寄りの支店の融資相談係へ相談します。愛知県の場合、名古屋市内に２支店（名古屋支店・熱田支店）・岡崎市に１支店あります。このときに借入申込書・創業計画書などの用紙を渡されます。なお、日本政策金融公庫と提携している税理士であれば、借入申込書・創業計画書の作成からサポートしてくれます。
② 申込
借入申込書・創業計画書又は企業概要書など以下の資料を準備して、自分の事務所を管轄する日本政策金融公庫の窓口に提出して融資を申込みます。
- これから事業を始める方 → 創業計画書
- すでに事業を始めている方 → 創業計画書＋決算書や営業状況がわかる資料
- 設備資金を含む場合 → 見積書
これから事業を始める方は創業計画書の出来次第で融資の可否が左右されます。また、すでに事業を始めている方は創業計画書のみならず実績を示す決算書や営業状況が分かる資料（試算表）の提出が求められます。日本政策金融公庫の担当者が融資したいと思える資料を提出できるかがカギとなります。融資に強い税理士であれば、日本政策金融公庫側を考慮した資料作成を手掛けてくれます。
③ 書類の審査、面談
提出された書類な支店の内部で審査され、申込１～２週間後、担当者から面談や訪問予定日について連絡があります。原則、面談は提出した書類に基づいて行われますが、追加で書類の提出が求められる場合もあります。面談時に具体的にどんなことが聞かれるか税理士に確認することで事前準備と気持ちにゆとりをもって面談に臨むことができます。
④ 結果についての通知
面談終了後、1週間～10日で融資の結果の見通しについて通知がされます。この段階では正式な確定ではありませんが、この通知でOKの場合にはほぼ間違いなく通知された額の融資が実行されます。
また、審査の結果さらに確認書類が必要あるので、手配の上、送付するようにします。
⑤ 融資の実行
審査が正式にOKとなった場合には、決定された条件に基づいて融資の実行（入金）が行われます。
制度融資（愛知県『創業等支援資金』・名古屋市『マル新出』）の場合
① 金融機関の決定
制度融資を利用する場合には政策公庫の場合と異なり、あらかじめ融資申請の窓口となる金融機関を自分で決める必要があります（保証協会経由で申請する場合は除きます）。
原則、制度融資の管轄内の金融機関であれば問題ありませんが、一般的に、メガバンクよりも地方銀行や信用金庫の方がその後の面倒見がよく、また融資の取り上げにも積極的なため創業者にはお勧めです。税理士からの紹介の金融機関であれば、担当者とのやりとりもできるためスムーズに手続きをすすめることができます。
② 相談
窓口とする金融機関が決まった場合には、できれば事前に金融機関の担当へ「○○の制度融資を使いたい」と相談し、その承諾を取っておくと後の処理がスムーズにすすみます。なお、税理士経由であれば、税理士と担当者でそのやりとりをします。
③ 書類の作成、申込み
作成した制度融資の申込書等は、金融機関または管轄の保証協会を経由して提出します（通常は金融機関経由）。
④ 書類の審査、面談
提出された書類は管轄の保証協会で保証の可否につき審査されます。この段階で、保証協会の担当が申込み企業に出向き、簡単な調査（事務所が実在するか・申込と相違ないか）や面談を行います。審査の結果、保証がOKとなった場合には窓口の金融機関に対し、保証協会から「信用保証書」が送付されます。
その後、金融機関ではこの結果を受けてさらに独自の審査を行い、最終的に融資を行うかどうかを決定します。信用保証協会による保証の承諾があれば、融資されるのが通例ですが、まれに金融機関での審査で否決されることもありますので、注意しましょう。
⑤ 融資の実行
金融機関による審査がOKとなった場合には、保証協会が指定した条件（金額や金利など）に基づいて融資の実行（入金）が行われます。
