起業家向けチェックリスト:個人事業主としての開業メリット、デメリットと必要書類

創業する際には、「個人事業主」か「法人」かを選ぶ必要があります。

また、創業してからも必要な手続きが複数あります。

この記事では、個人事業主として創業するメリットとデメリットをご説明した上で、個人事業主として創業する際に必要な手続きや、税金に関する書類について解説します。個人事業主として創業する際に、何をすればいいかチェックリストなどを作成する時の参考になれば幸いです。

個人事業主として創業するメリットとデメリット

個人事業主として開業することのメリットには、「手続きが簡単」という点が挙げられます。

個人事業主の場合は、開業届を税務署に提出するだけですぐに事業を始められ、開業にともなう手続き費用が発生することはありません。

また、確定申告をおこなう際も経理ソフトを使えば、専門的な簿記の知識がなくても簡単に申告書を作成できます。

個人で小規模な事業を始めたい場合は、まずは個人事業主として開業するのを検討するのも良いでしょう。

一方、個人事業主として開業するデメリットには、社会的信用が低い点が挙げられます。

起業しやすいというメリットはありますが、法人に比べて取引先からの信用度が低く、銀行での融資審査もチェックが厳しい傾向にあります。

取引先によっては法人としか契約しないところもあるので、融資を受けて大きなプロジェクトを受注したい場合や、顧客層を広げたい場合は、法人化を検討したほうが良いケースもあります。

個人事業主の創業時の手続きの流れ

個人事業主として事業を始める手続きは、主に以下のステップに沿っておこないます。

【ステップ1】 開業の計画

最初に事業計画を立て、必要な資金やリソースを確保し、事業の名前や住所などの基本情報を決定します。

【ステップ2】「個人事業の開業・廃業等届出書」提出と身分証明書の確認

「個人事業の開業・廃業等届出書」を、開業から1ヶ月以内に管轄する税務署に提出します。

提出時には本人確認のため、身分証明書が必要です。以下の書類を忘れずに持参しましょう。

  • マイナンバーカード
  • 顔写真付きの身分証明書(運転免許証、パスポート、健康保険証など)

また、開業届は、郵送や税務署の時間外収受箱に投函して提出することもできます。

その際のステップは、以下のとおりです。

【ステップ1】「個人事業の開業・廃業等届出書」を入手する

最寄りの税務署で入手するか、国税庁のホームページから「個人事業の開業・廃業等届出書」をダウンロードします。

【ステップ2】「個人事業の開業・廃業等届出書」の記入

ダウンロードしたフォームは、同ホームページ内にある「書き方」に従って記入します。

「個人事業の開業・廃業等届出書」は「廃業届」と兼用になっているので、「開業」の部分にマルをつけることが必要です。

開業届は、用紙に手書きする方法と、パソコンでフォーマットに入力する方法があります。

税務署で入手した用紙の場合は、手書きとなります。

PDFデータの場合でも、空欄のまま印刷した後に手書きで記入できます。

PDFデータのフォーマットへ入力する場合は、パソコンで入力できます。

必要事項を入力し、印刷して氏名欄に押印します。

【ステップ3】開業届と必要書類の投函

必要事項を記入後、開業届、本人確認に必要な書類(マイナンバーカード、運転免許証など)のコピーを貼った所定の台紙、控えを返送してもらうための返信用封筒を同封します。

これを投函すれば、手続きは完了です。

参考:個人事業の開業・廃業等届出書(提出用・控用)(PDF/746KB)

参考:書き方(PDF/155KB)

個人事業主の創業時に関する税金の書類

個人事業主が開業後に提出する税務関係書類は、次のとおりです。

ただし、人によっては提出する必要がない場合もあります。

  • 都道府県税事務所に提出する開業関係書類
  • 青色申告承認申請書
  • 青色事業専従者給与に関する届出書
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

【都道府県税事務所に提出する開業関係書類】

管轄する税務署とは別に、国税を管理する都道府県の税事務所にも提出する必要があります。

ただし、所得税の確定申告をする場合には提出は不要。

【青色申告承認申請書】

青色申告承認申請書を提出すれば、最高65万円の青色申告特別控除を受けることができます。

また、後述する「青色事業専従者給与に関する届出書」の手続きをおこなえば、家族の給与を必要経費にしたり、純損失の赤字を3年間繰り越したりすることも可能です。

青色申告をするには複式簿記形式で記帳し、貸借対照表と損益計算書を提出する必要がありますが、利用しやすい会計ソフトもあります。

提出期限は受ける年の3月15日までで、提出先は税務署です。

【青色事業専従者給与に関する届出書】

「青色事業専従者給与に関する届出書」は、青色申告で確定申告をしている事業者が家族に支払う給与を経費として計上するための書類です。青色事業専従者として認められるには、特定の条件を満たす必要があります。詳細は国税庁のサイトに記載されています。

参考:国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」

【源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書】

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」は、毎月支払う源泉所得税を年2回まとめて支払うための書類です。手続きを行うことで事務作業が軽減されますが、まとめて支払うためにはまとまったお金が必要です。資金に余裕がある場合は検討してみると良いでしょう。

まとめ

個人事業主として創業するには、提出期限を確認し、必要な書類を適切に作成・提出することが重要です。

これらの手続きや税に関する書類作成が難しいと感じる場合は、税理士など専門家に相談してサポートを受けると安心して創業の手続きをおこなえるでしょう。

山本聡一郎税理士事務所では、2020年7月開業時から積極的にクラウド会計の大手の会計freeeをメインの会計ソフトを利用しています。

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税理士 山本聡一郎
山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。
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