皆さんは、老後の備えはどのようにされていますか?
個人事業主や一人社長にとって、将来の資産形成は非常に重要です。
なぜなら、公的年金だけでは老後の生活を十分に賄うことが難しいからです。
今回は、個人事業主・法人化したばかりの一人社長のために、老後の資産形成についてお話しします。
このページの目次
一人社長や個人事業主には退職金制度がない
自営業や個人事業主、一人社長は、企業に雇われているサラリーマンとは違い、退職金制度がありません。
つまり、老後の生活を支える資産を自分で形成する必要があります。
また、健康保険や年金制度も異なり、公的なサポートが限られているため、早いうちから資産形成を始めることが重要です。
一人社長・個人事業主は急に病気になって働けないリスクも
「突然病気になり、働けなくなってしまった!」
自分自身がある日突然病気になったり、家族の健康問題で急に多額の費用が必要になったりすることは誰にでも起こり得ます。
そんなとき、公的年金だけでは十分なカバーができず、老後の生活に大きな不安を抱えることになりかねません。
ですから、一人社長や個人事業主の方々は、特に計画的な資産形成が求められるのです。
経営不振になった際の備えとしても資産形成は必要である
さらに、個人事業主や一人社長の場合、事業が不調になったときのリスクも考慮しなければなりません。
事業の成長や安定性に依存するため、収入が安定していないこともあります。
こうした不安定な収入状況に対応するためには、早期に資産形成を始め、リスク分散を図ることが重要です。
将来への備えはどうしても後回しにされやすい
また、個人事業主や一人社長の中には、事業の成功を追求するあまり、老後の準備を後回しにしてしまう人も少なくありません。
しかし、老後の生活を豊かに過ごすためには、今から計画的に資産を積み立てることが不可欠です。
そこで、具体的な資産形成の方法を知り、自分に合ったプランを立てることが大切です。
個人事業主や一人社長におすすめの資産形成
では、具体的にどのような方法があるのかを見ていきましょう。
ここでは、代表的な4つの方法と1つの考え方について詳しく説明します。
① 小規模企業共済
小規模企業共済は、個人事業主や一人社長が老後の資産を積み立てるための制度です。
小規模企業共済とは | 共済制度 | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 HP
毎月一定額を積み立て、退職時に受け取ることができます。
例えば、毎月3万円を20年間積み立てた場合、総額720万円の積み立てになります。
退職時にこれを一時金として受け取れば、大きな資金として活用できるでしょう。
メリット
- 掛金が全額所得控除の対象となり、節税効果が高い。
- 退職時に一時金として受け取れるため、まとまった資金が手に入る。
- 企業年金としての機能も持ち、安心感がある。
デメリット
- 掛金を途中で引き出すと、一定の条件を満たさない限り損をする可能性がある。
- 長期間の積み立てが必要で、流動性が低い。
- 将来的な制度変更リスクがある。
過去コラム
②つみたてNISA
つみたてNISAは、長期の資産運用を目的とした制度で、年間40万円までの積立金が非課税で運用できます。
例えば、つみたてNISAで毎月3万円を20年間積み立てた場合、元本だけでも720万円になります。
運用益が非課税になるため、運用がうまくいけばさらに資産を増やすことができます。
メリット
- 投資の利益が非課税となるため、税金の負担が軽減される。
- 少額からの積立が可能で、手軽に始められる。
- 長期的な資産形成に向いている。
デメリット
- 投資信託の運用結果によっては元本割れのリスクがある。
- 20年間の非課税期間終了後は課税口座に移行する。
- 投資商品選びに知識が必要。
③ iDeCo(個人型確定拠出年金)・401k(企業型確定拠出年金)
iDeCoは、個人型確定拠出年金のことで、毎月の掛金を自分で積み立て、老後に受け取る年金制度です。
例えば、iDeCoで毎月2万円を30年間積み立てた場合、元本だけでも720万円になります。
節税効果もあるため、積極的に活用する価値があります。
似たもので、401kと呼ばれるものがあります。
こちらは企業型確定拠出年金のことで、掛金は企業が負担することになります。
それ以外の基本ルールは iDeCoと同じなので、一人社長はご自身の状況に応じてベストな方を選ぶのが良いでしょう。
また、「企業型」と聞くと個人事業主は入れないのではと思われるかもしれませんが、社会保険に加入しているなど一定の条件を満たす場合は加入することができます。
詳しくは一度ご相談ください。
メリット
- 掛金が全額所得控除の対象となり、節税効果が高い。
- 自分のライフプランに合わせて掛金額を設定できる。
- 長期的な資産形成が可能。
デメリット
- 60歳まで引き出すことができないため、資金の流動性が低い。
- 投資信託の運用結果によっては元本割れのリスクがある。
- 手数料が発生することがある。
個人型・企業型確定拠出年金についてはこれまでも数多く紹介してきました。
過去のコラムを載せておきますので、ぜひ一緒にチェックしてみてください。
- 「個人型・企業型確定拠出年金を運用成功させるためのポイントとは?」
- 「確定拠出年金とは?個人型・企業型について解説」
- 「節税もできる!個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)を使った老後に向けた資産形成のメリットと注意点」
- 「一人社長のための企業型確定拠出年金(401k)導入メリットと注意点」
④ 個人年金保険
個人年金保険は、保険会社と契約し、一定期間保険料を支払うことで、老後に年金を受け取ることができる商品です。
例えば、毎月1万円を25年間積み立てた場合、保険会社から毎月一定額の年金を受け取ることができます。
契約内容によっては、病気や障害が発生した場合にも保障が受けられることがあります。
メリット
- 保険料の一部が所得控除の対象となるため、節税効果がある。
- 契約内容により、確実な年金を受け取ることができる。
- 保障機能も兼ね備えているため、安心感がある。
デメリット
- 保険料が高額になることがある。
- iDeCoやNISAほど利率が良くない。
- 契約内容によっては、解約返戻金が少ない場合がある。
考え方: 健康は、全ての人にとって大切な資産である
資産形成というと、つい金融商品や積立に目が行きがちですが、実は健康も大切な資産の一つです。
従業員がいない個人事業主や一人社長は特に、「自分一人の体力勝負」でもあります。
また、健康維持のための様々な実践は、結果的に「仕事のパフォーマンスを向上させる」とも言われています。
健康が、事業の成功に大きく関わると言われているのはそのような理由からです。
健康であれば、経営者や個人事業主は何歳でも働き続けられますし、病気や怪我のリスクを減らすことで、医療費の節約に繋がります。
病気にならないための身体作りに時間やお金を投資することは、長期的に見て非常に重要なのです。
経営者の中には、スポーツジムに通って積極的に運動をする方も多くいます。
食生活を整えることに意識を向けている方も少なくありません。
それだけ「健康寿命を延ばす」ことは、仕事だけではなく、人生そのものを充実させる大切な要素だということです。
結論 今から老後に備えた資産形成を始めましょう
一人社長や個人事業主にとって、老後の資産形成は非常に重要です。
公的年金だけでは不十分なため、早いうちから小規模企業共済、つみたてNISA、iDeCo、401k、個人年金保険などを活用し、しっかりとした資産形成を行いましょう。
自分に合った方法を選び、計画的に資産を積み立てることで、安心した老後を迎えることができます。
何か質問があれば、いつでもお気軽にご相談ください!
資産形成を始めることで、将来の不安を減らし、安心して事業に集中できる環境を整えることができます。
私たち税理士は、そのサポートを全力で行いますので、どうぞお任せください。
最後に、資産形成についてどのような流れで考えていくと良いかお伝えします。
1. 自分のライフプランを立てる
まずは、自分のライフプランを立てることが重要です。
家族がいる場合は、家族を含めたプランを考える必要があります。
どのような老後を過ごしたいか、何歳まで働きたいか、どのくらいの資産が必要かを考えましょう。
特に個人事業主や一人社長には定年がないため、サラリーマンのように「◯歳まで働く」という基準がなく引退時期について決めにくいこともあります。
けれどもライフプランを立てる場合は、目安の引退時期を決めておきましょう。
何歳まで働くかにより、必要な資産額や積立額が見えてきます。
2. 資産形成の目標を設定する
ライフプランに基づいて、具体的な資産形成の目標を設定します。
例えば、60歳までにいくらの資産を積み立てたいか、毎月どのくらいの額を積み立てる必要があるかを決めます。
現在所有している資産がある、または相続の予定がある場合は、それらも一緒に考える必要があります。(不確定なものに関しては、一旦「ないもの」として目標を立てるようにしましょう。)
3. 各種制度を活用する
目標に合わせて、小規模企業共済、つみたてNISA、iDeCo、個人年金保険などの制度を活用します。
それぞれの制度の特徴やメリット・デメリットを理解し、自分に合ったものを選びましょう。
4. 定期的に見直す
資産形成の計画は、定期的に見直すことが重要です。
事業の状況、自分自身や家族の健康状態、ライフスタイルの変化に応じて、計画を柔軟に調整することで、より確実な資産形成が可能になります。
5. 専門家に相談する
資産形成に不安がある場合や、具体的なアドバイスが欲しい場合は、専門家に相談することをおすすめします。
税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家が、あなたの状況に応じた最適なアドバイスを提供してくれます。
以上、一人社長や個人事業主の方々に向けた老後の資産形成についてのご紹介でした。
計画的に資産を形成することで、安心した老後を迎えることができますので、ぜひ早いうちから取り組んでみてください。
山本聡一郎事務所でも、資産形成に関する相談を承っております。
どうぞお気軽にご相談ください。