新しい働き方に対応する!副業と税金に関する注意点

働き方の多様化が進む中、副業を始める人が増えています。

副業は、収入を増やす手段として魅力的であり、スキルの向上や新たなビジネスチャンスを探る場としても注目されています。

しかし、副業を始める際には、税金に関する知識をしっかりと身につけることが重要です。

適切な処理を行わないと、後で大きなトラブルにつながることがあります。

この記事では、副業を始める際に注意すべき税金のポイントや、申告方法について詳しく解説します。

副業と税金の基本

副業で得た収入にも、当然のことながら税金がかかります。

副業による所得が一定の金額を超える場合、確定申告を行う必要があります。

特に、副業で得た所得が年間20万円を超える場合は、所得税の確定申告が必要です。

また、20万円以下であっても、住民税の申告が必要なケースもあるため、注意が必要です。

所得の種類と申告の必要性

副業で得た所得は、その内容によって分類され、それぞれ異なる税務処理が求められます。

主な所得の種類とそれに対応する税務処理について説明します。

1・事業所得

事業所得とは、総収入金額(売上)から経費を差し引いたものを指します。
副業が継続的かつ一定規模で行われている場合、それは「事業所得」として扱われます。

例えば、フリーランスとして仕事を受ける場合や、ネットショップを運営している場合が該当します。

●国税庁 No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)

2・雑所得

副業が一時的なものであったり、規模が小さい場合は「雑所得」として扱われます。

ブログの広告収入やアンケートモニター報酬などが該当します。

雑所得も、事業所得と同様に経費を差し引いた後の所得が課税対象となりますが、経費の計上に関しては事業所得よりも制約が多い場合があります。

●国税庁 No.1500 雑所得

3・給与所得

副業先から給与として支払われる場合は、主たる給与所得とは別に、もう一つの「給与所得」として扱われます。

副業先が源泉徴収を行っている場合は、その金額に基づいて確定申告が必要になる場合があります。
ただし、給与所得に関しては、経費の計上は認められていないため、受け取った金額がそのまま課税対象になります。

「副業を会社に黙っておきたい」という場合、住民税額が増えることで発覚する恐れもありますので十分注意が必要です。

副業で確定申告が必要なケース

副業で得た収入が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。

これには、事業所得、雑所得、給与所得が含まれます。

例えば、フリーランスとしての副業で30万円の売上があり、これに対応する経費が10万円だった場合、20万円の所得に対して確定申告が必要となります。

また、給与所得者であっても、副業による所得が20万円を超える場合は、確定申告を行う義務があります。

ここで、大切なことをお伝えします。
副業による所得が20万円以下の場合、確定申告は不要ですが、住民税の申告は別途必要です。

そのため、お住まいの市区町村で確認を取ることをお勧めします。

年間数万円の所得でも住民税は課税対象になります。
住民税の申告を行わないことは、「脱税」に該当しますので、ご注意ください。

経費の計上と節税対策

副業においても、事業を運営する上で発生した経費は、総収入金額(売上)から差し引くことができます。
正しく経費を計上することで、課税所得を減らし、節税につなげることができます。

副業に関連する経費として、以下のような項目が考えられます。

通信費

インターネット回線や電話料金など、業務に必要な通信費用。

旅費交通費

打ち合わせや取材など、副業に関連する移動にかかる交通費。

事務用品費

パソコンやプリンター、文房具など、業務に使用する道具や消耗品。

外注費

業務の一部を外部に委託した場合の外注費用。

家賃や光熱費の一部

在宅で業務を行っている場合、家賃や光熱費の一部を按分して経費として計上することが可能です。(家事按分)

ただし、業務に使用した分だけを適切に計上する必要があります。

この他にも、経費として認められるものは数多くあります。

経費を計上する際には、必ず領収書やレシートを保管しておきましょう。

税務署からの指摘があった場合に、経費を証明するための書類として必要です。

もっと詳しく知りたいという方は、一度税理士などの専門家に相談してみてください。

経費計上には税法の基本的なルールや勘定科目の知識が必要になります。

また按分に関しても、(後ほど紹介はしますが)慣れないうちは正しく判断できないこともあります。

本業もあるので忙しい。

副業の税務まで時間は割けない。

そのような場合は、思い切って専門家に頼るのも一つの方法です。

経費按分の考え方

ここでは「按分」について簡単に解説します。

経費として認められる項目の中には、業務以外でも使用しているものがあります。

例えば、自宅の一部を仕事部屋として使っている場合、家賃や光熱費の全額を経費にすることはできません。

このような場合は、業務に使用した割合に応じて経費を「按分」します。

例えば、家賃が10万円で、そのうち30%を仕事に使っている場合、経費として計上できるのは3万円となります。

この按分の割合を合理的に決定し、計上することが大切です。

節税対策のポイント

個人事業主でも可能な業務改善助成金でアルバイトを支援しよう

適切に経費を計上することで、所得を減らし、結果的に税負担を軽減することができます。

特に、青色申告を行っている場合、最大65万円の特別控除を受けることができるため、積極的に活用しましょう。

青色申告を行うためには、複式簿記を採用し、毎年3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。

複式簿記に慣れていない場合は、会計ソフトを利用することをお勧めします。

また、青色申告では、損失を3年間繰り越すことができるため、副業が赤字になった場合でも、翌年以降の所得と相殺することが可能です。

●過去コラム これから事業を始められる方に伝えたい。青色申告と白色申告の特徴とメリット・デメリット

確定申告の手順

副業で得た収入を申告する際の手順を説明します。

申告方法を理解し、適切に処理することで、税務リスクを回避しましょう。

確定申告の流れは以下の通りです。

1・収入と経費の整理

副業で得た収入と、それにかかった経費を整理します。

所得区分ごとに分け、経費を正しく計上します。

2・申告書の作成

国税庁の確定申告書作成コーナーや申告用ソフトを利用して、必要事項を入力し、申告書を作成します。

事業所得や雑所得、給与所得に分けて収入と経費を記載します。

3・申告書の提出

申告書が完成したら、税務署に提出します。

e-Taxを利用すれば、インターネットからも申告が可能です。

書面での提出を希望する場合は、税務署の窓口に持参するか、郵送で提出します。

4・納税

申告書を提出した後、計算された税額を納付します。

納付方法には、振替納税、クレジットカード納付、コンビニ納付などがあります。

●過去コラム 今年こそオンライン化!e-Taxで確定申告をするメリット

副業と住民税に関する注意点

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副業で得た収入がある場合、住民税の納付方法も確認しておきましょう。

副業の収入が住民税の課税対象となる場合、本業の給与から天引きされる「特別徴収」と、自分で納付する「普通徴収」の2つの方法があります。

会社に副業を知られたくない場合は、普通徴収を選択することが可能です。

確定申告書の「住民税の納付方法」の欄で、「自分で納付」を選択すれば、会社に副業の収入が知られるリスクを回避できます。

けれども、以下に紹介している過去のコラムにも記載している通り、自治体によっては給与所得者の「普通徴収」を認めていないところもあります。

また、突然「普通徴収」を希望することで会社から怪しまれるケースもありますので、注意が必要です。

●過去コラム 「サラリーマン副業」会社にバレないための5つの対策

20万円以下の副業収入でも住民税の申告が必要?

社長一人の食事は福利厚生費で落とせる福利厚生費とは何か

副業で得た収入が年間20万円以下の場合、所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告が必要になる場合があります。

先ほども書いた通り、住民税の無申告は「脱税」となってしまうので、数万円でも所得があれば必ず申告するようにしましょう。

副業を始める前に考えておくべきことと注意点

副業を始める際には、税務以外にも考慮すべき点があります。

例えば、会社の就業規則や労働契約書に副業禁止の規定があるかどうかを確認しましょう。

また、副業が本業に悪影響を及ぼさないよう、時間管理や健康管理にも注意が必要です。

さらに、確定申告の際には、税務署からの問い合わせに対応するための書類をきちんと保管しておくことも大切です。

特に、経費に関する領収書や契約書は、後々のトラブルを避けるためにも整理しておきましょう。

最後に 副業を始めたい方は、ぜひご相談ください

副業は、収入を増やす手段としてお勧めである一方で、税務の面での注意が必要です。

所得の種類や経費の計上方法、確定申告の手順を理解し、適切に処理することで、税務リスクを回避しながら副業を成功させることができます。

新しい働き方として副業を検討している方は、ぜひ今回のポイントを参考にし、税務に関する知識をしっかりと身につけてください。

税務に関して不安がある場合や、副業の収入が増えてきた場合には、ぜひ一度当事務所にご相談ください。

専門家のアドバイスを受けることで、安心して副業を続けることができるでしょう。

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税理士 山本聡一郎
山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。
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