節税効果あり!「役員社宅」を経費に計上する方法や否認されるリスクを解説!

節税効果あり役員社宅を経費に計上する 方法や否認されるリスクを解説

会社の一般的な社宅と違って、「役員社宅」について理解している人は多くないかもしれません。

「役員社宅」に何か税法上の決まりごとがあるとすれば、その制度を会社として利用すべきでしょうか?また節税効果は期待できるのでしょうか?

今回は「役員社宅」の定義をはじめ、用いる条件や規定、3つのタイプ、メリット、役員社宅を経費計上して節税するための方法、さらには導入するにあたって注意すべきポイントにいたるまで詳細に解説します。

役員社宅とは?

役員社宅とは、社宅制度の中で役員が利用する社宅を指します。それでは早速その条件、種類、メリットについて詳しくご紹介します。

・役員社宅の条件

役員社宅としての物件が税制上で満たすべき3条件があります。

  • 国税庁が定める規定により、家賃の一定額(賃貸料相当額)を役員本人が負担する
  • 法人名義として賃貸契約を締結する
  • 名義人となる法人自体が大家に対し家賃を直接支払う(役員報酬から自己負担額を天引きする)

・役員社宅の種類

床面積により役員社宅は小規模住宅、小規模でない住宅、豪華住宅の3種類に大別できます。またその種類により、負担する一定額の家賃(賃貸料相当額)はそれぞれ違います。

  • 小規模住宅
  • 賃貸料相当額:面積(㎡)、法定耐用年数、固定資産税の課税標準額で計算
  • 法定耐用年数:30年超は床面積99㎡以下、30年以下は132㎡以下とする

耐用年数30年超

・鉄骨造/鉄筋コンクリート 34年

・れんが/石/コンクリートブロック/無菌コンクリート 38年

・鉄筋コンクリート/鉄骨鉄筋コンクリートなど 47年

耐用年数30年以下

・木骨モルタル/土蔵 20年

・木造 22年

・軽量鉄骨 27年

  • 固定資産税の課税標準額:固定資産税の納税通知書(送付は毎年4~6月予定)で確認する
  • 小規模でない住宅
    • 上記①の条件に該当しない場合
    • 法定耐用年数:30年超は床面積99㎡超、30年以下は132㎡超とする
    • 負担する一定額の家賃(賃貸料相当額)は、自社所有または借り受け住宅かによって計算式が異なる
  • 豪華住宅
  • 床面積240㎡を基準にして、下記の条件に該当するかで豪華住宅と判断される

床面積240㎡超

賃貸料/物件料が高い、内外装が豪華仕様

床面積240㎡以下

住人個人の嗜好が設備に反映、プールなどの特殊設備がある

  • 豪華住宅は役員本人が家賃を全額負担するだけでなく、会社側の一部負担がなくなり経費計上できず損金扱いとならないため、節税効果が一切ない

・役員社宅のメリット

役員住宅には、以下のメリットが挙げられます。

  • 経費計上で節税効果が見込める
  • 家賃一部負担によって社会保険料負担を軽減できる
  • 可処分所得額を増やせる(役員の所得税/住民税などを減税できる)

参照: 国税庁「No.2600 役員に社宅などを貸したとき」

役員社宅を経費に計上する方法と節税対策

役員社宅の家賃は居住する役員が社宅使用料として一部負担します。ただし会社が負担した分は全額を経費として計上でき、損金扱いが可能です。

そして損金とは利益が減ることを表し、法人税が少なくなるため節税にもつながります。

家賃のほかにも、仲介手数料・敷金・引っ越し費用は全額経費として計上できます。

礼金については、家賃と同じ負担割合にした場合は計上が可能です。火災保険料や管理費・共益費なども一部経費扱いにすることができますが、駐車場代や水道光熱費などは除外されます。

なお、家賃の一部負担額(賃貸料相当額)を50%に設定している会社が多いと言われています。実際、50%負担にしておけば税務署から経費扱いで認めてもらえます。ただし、やり方によっては役員負担を20%程度に抑えることもでき、その分会社側の負担が増えるに伴って損金計上も増え、結果として節税効果がアップします。

必ずバランスを考えた負担率を適切に決めるよう心がけましょう。

そのほか、一部で負担する家賃(賃貸料相当額)は社宅使用料とみなされて非課税になる効果もあります。

役員社宅に関する注意点

ここからは、税金対策時に実際に注意すべきポイントを次にまとめます。

ぜひ、今後の参考にお役立てください。

  • 役員名義で契約した場合、会社負担額は住宅手当扱いになり所得税として課税対象になる
  • 家賃を会社が全額負担、または国税庁が定める基準以上を会社負担にすると、経費対象にならず、現物給与と扱われて、税務調査で課税される可能性がある
  • 家賃を役員が個人払いすると、税務調査で否認されるリスクが高まり、経費として計上できなくなる
  • 豪華住宅と判断されるとまったく節税効果がなくなる
  • 個人事業主の場合、事業主名で社宅契約は可能だが、事業主本人を除いた従業員のみ居住可能
  • 契約手続きの段階で初期費用が必要
  • 会社が役員社宅用に物件購入しても住宅ローン控除は適用対象外になる
  • 居住済みの住宅は避けたほうがよい
  • 規定やルールをしかりと社内で整備しておく

まとめ

役員社宅の税法上の規定は、賃貸料相当額の計算を含めて国税庁がしっかりと定めています。

細かい点まで十分に理解したうえで、どのタイプのを選び、節税対策のためにどのような方法で活用すべきか、会社として方針を決めておくことが大切です。国税庁が定める基準ラインに沿って、最大限の節税を目指しながら適正に運用していきましょう。

名古屋市の山本聡一郎税理士事務所では、まずは無料にて節税相談を承ることが可能です。

信頼できるプロの税理士がお客様に寄り添いながら親身なアドバイスを行いますので、ぜひご相談ください。

なお、他の節税を検討している方はこちらの記事がおすすめです。

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税理士 山本聡一郎
山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。
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