資本金は増やした方がいい?増資のメリット・デメリット

資本金の増資は、会社を成長させたり、事業を広げたり、会社の信用力を上げたりしたいときに行う重要なステップです。

ただし、増資には良い面と悪い面があるので、しっかりと考えた上で決断することが大切です。

ここでは、資本金を増やすことのメリットとデメリットを、分かりやすく解説します。

資本金の増資とは?

資本金の増資とは、会社にある「資本金」を増やすことです。

オーナー社長が自己資金を投入して自社の資本金を増やす方法もありますが、一般的には、株主や新たな出資者からお金を集めたり、会社が稼いだお金を資本金に回す方法が主流です。

増資を行うことで会社は新たな資金を手に入れますが、同時に株式の割合や経営への影響が生じる場合もあります。

●過去コラム
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資本金増資のメリット

1. 信用力が上がる

資本金増資の最大のメリットは、取引先や銀行から信頼されやすくなることです。

「この会社は財務基盤がしっかりしている」と見られるため、融資を受けやすくなる可能性があります。

特に、2006年に会社法が改正され、資本金1円でも株式会社を設立できるようになったことで(それまでは資本金1,000万円が必要でした。)資本金1円、1万円、10万円の小さな会社が増えてきました。
そのような会社が多い中で増資を行えば、取引先に対して大きな信用を与えることができます。

2. 新しい事業にチャレンジできる

増資によって得た資金を使えば、新しい事業を始めたり、設備投資(新しい機械やシステムの購入)をすることができます。

これにより、会社を成長させるチャンスが広がり、次のステージに進むための大きな一歩となります。

3. 増資で得た資金は返済不要

融資とは違い、増資によって得た資金は返済義務がありません。

融資の返済は会社のキャッシュフローに負担をかけますが、増資で得たお金は返済不要のため、安心して新たな事業に投資できます。

4. 財務体質が強化される

増資を行うと、会社の「資本」が増えるため、借金と資本のバランスが良くなります。

このバランスは、貸借対照表(バランスシート)で確認でき、負債と純資産のバランスが整うことで、外部の人から「安定した会社」と評価されやすくなります。

●過去コラム:

決算書を正しく読むために押さえたいポイント・貸借対照表の読み方(基礎編)

資本金増資のデメリット

1. 株式の価値が分散される(株式の希薄化)

増資によって新たな株式を発行すると、既存の株主の株式割合が減少します。
特に外部の投資家に株式を売却する場合、会社の経営権に影響が出ることがあります。

それは、株式の保有割合によって、経営権の強さが変わるためです。

株式を50%以上保有している場合、会社の通常の経営において発言権を確保できます。

66.7%以上保有していれば、特別決議事項を含め、会社の重要な意思決定に対しても完全なコントロールが可能です。

100%の株式を保有していれば、全ての経営権を独占できることになります。

確実に経営権を保持するためには、増資後も自分で66.7%以上の株式を保有することが重要です。
気が付いたら「会社を乗っ取られていた」ということがないように注意しましょう。

2. 税金が増えるリスク

資本金が1,000万円を超えると、消費税の免税措置が使えなくなります。
さらに1億円を超えると、中小企業の法人税軽減措置も受けられなくなります。(資本金1億円を超えると、中小企業と定義されなくなるため。)

その結果、税金の負担が増えることがあります。

3. 配当負担が増える恐れも

資本金が増えることで、株主への配当(利益の分配)が求められるケースがあります。
特に外部から出資を受けた場合、株主への利益還元が必要となり、現金を確保する負担が増えるかもしれません。

4. 増資にはコストがかかる

増資を行うには、手続きや法務、税務の専門家(司法書士・税理士)のサポートが欠かせません。
また、増資に伴う手続きや登記には費用がかかるため、そのコストも考慮する必要があります。

国税庁4 資本金等の額及び資本等取引

会社は増資することで資金調達ができますが、メリットと同じくらいデメリットもありますので、両方を正しく理解することが必要です。

資本金の増資はした方が良いのか?

増資のメリット・デメリットを踏まえて、増資をするかどうかは、会社の現状や将来の計画によって判断することが重要です。
以下のポイントを考慮して決定しましょう。

1. 事業を広げたいか、新しい事業を始めたいか?

事業を拡大したい、新しいプロジェクトを始めたい場合、増資による資金が必要になることがあります。
その資金をどのように使うかをしっかり計画し、増資が将来的に利益をもたらすかを慎重に検討しましょう。

2. 会社の信用力を高めたいか?

資本金が増えると、取引先や金融機関からの信頼が高まり、融資を受けやすくなるメリットがあります。
取引先との信頼関係を強化したい場合や、スムーズに資金調達をしたい場合、増資が有効です。

3. 税金とのバランスを考える

増資によって税負担が増えることがあります。
消費税や法人税の優遇措置が使えなくなるリスクもあるため、増資が会社の利益にどう影響するか、税金とのバランスを考えることが大切です。

まとめ

資本金の増資は、会社の成長を後押しする強力な手段ですが、株式の希薄化や税金負担の増加といったリスクも伴います。
会社の状況や将来の計画を踏まえ、メリットとデメリットをしっかりと検討することが大切です。

増資に関して悩んでいる場合や、手続きが分からない場合は、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。
御社の状況に合わせた最適なアドバイスを提供いたします。

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税理士 山本聡一郎
山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。
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