数ある補助金制度の中でも最近一番注目を集めているのが「IT導入補助金」です。IT導入補助金の交付を申請し、事務局の審査を経て認められれば、中小企業や小規模事業者は必要なITツール(サービスやソフトウェアなど)の導入に補助金を役立てることができます。
今回は、2024年に実施されたIT導入補助金の概要をはじめ、申請の条件や流れ、申請枠ごとの補助率や補助額、および2025年のIT導入補助金の実施見込みについて、わかりやすく解説します。
このページの目次
IT導入補助金とは?
「IT導入補助金」とは、DXや業務効率化を目指す中小企業や小規模事業者を対象に、ITツール導入に必要な費用を部分的に補助する制度です。
ITツールとは、サービスやソフトウェアなどを指しますが、クラウドサービス利用費や相談対応を含めたサポート費も補助金対象になります。
また、申請にあたり中小企業や小規模事業者などの補助金申請者は、同事務局に登録済みのIT導入支援事業者(ITサービス事業者やITベンダー)とパートナーシップを結ぶことが条件になっています。
IT導入補助金の申請について
IT導入補助金の申請について、詳細を下記の表にまとめます。
IT導入補助金の申請枠
通常枠 |
事業のデジタル化を目指し、ITツール(システム/ソフトウェア)の導入により売上アップや業務効率化をサポート |
インボイス枠(インボイス対応類型) |
インボイス制度対応の会計/決済/受発注ソフトや、PC/タブレット/レジなどのハードウェアを導入することで、労働生産性アップをサポート |
インボイス枠(電子取引類型) |
インボイス制度対応の受発注システム導入する企業をサポート |
セキュリティ対策推進枠 |
サイバー攻撃対策として、サイバーインシデントによる潜在リスクの低減をサポート |
複数社連携IT導入枠 |
サプライチェーンや商業集積地に関わる複数の中小企業/小規模事業者がITツールを効果的に連携して導入する取り組みをサポート |
対象となる企業の条件
日本国内で法人登記されていて、事業を営んでいる下記の法人または個人が対象になります。
■中小企業(資本金か従業員数の一方が指定値以下の場合が対象となる)
業種 |
資本金 |
従業員数 |
製造業/建設業/運輸業 |
3億円 |
300人 |
卸売業 |
1億円 |
100人 |
サービス業 |
5,000万円 |
100人 |
小売業 |
5,000万円 |
50人 |
ゴム製品製造業 |
3億円 |
900人 |
ソフトウェア業/情報処理サービス業 |
3億円 |
300人 |
旅館業 |
5,000万円 |
200人 |
その他の業種(上記以外) |
3億円 |
300人 |
学校法人/医療法人/社会福祉法人 |
― |
300人 |
商工会/都道府県商工会連合会/商工会議所 |
― |
100人 |
中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体 特別の法律によって設立された組合またはその連合会 (一般/公益)財団法人/社団法人 特定非営利法人 |
― |
主たる業種に記載の従業員規模 |
■小規模事業者
業種 |
従業員数 |
商業/サービス業 |
5人以下 |
サービス業のうち宿泊業/娯楽業、製造業その他 |
20人以下 |
申請の流れ
中小企業/小規模事業者および、パートナーシップを結ぶITサービス事業者/ITベンダーは、それぞれ申請手続きが異なります。
また、複数社連携IT導入枠については登録申請の流れが一部違うため、事前に確認しておきましょう。
中小企業/小規模事業者 |
ITサービス事業者/ITベンダー |
① 公募要領を確認 ② 「GビズIDプライム」アカウントを取得 「SECURITY ACTION」宣言を実施 ③ 「みらデジ経営チェック」を実施 ④ IT導入支援事業者を選定 ITツールを選択 ⑤ 交付申請(IT導入支援事業者と共同) |
① IT導入支援事業者の登録申請 ITツールを登録申請
② ITツールを提案
③ 交付申請(中小企業/小規模事業者をサポート) |
IT導入補助金事務局から補助金交付が決定されると、ITツールの発注/契約/支払いなどができます。その後、発注/契約/支払いなどを示す証憑を添付のうえ、共同で事業実績報告を提出します。
確定した補助金額を「申請マイページ」で確認すると補助金が交付されますが、最後にIT導入支援事業者の確認のもと事業実施効果報告を提出します。
IT導入補助金を申請するといくら補助金がもらえる?
スムーズに審査が通れば、補助金の受け取りができます。金額については下記の表を参考にしてみてください。
ITツール導入費用に対する補助金の割合が「補助率」で、ITツール導入費用×補助率を計算した金額が「IT導入補助金」と呼ばれます。
補助率 |
1/2~4/5 |
計算方法 |
受取補助金額=ITツール導入費用×補助率 |
補助額 |
通常枠: 最大450万円 インボイス枠(インボイス対応類型):最大350万円 インボイス枠(電子取引類型):最大350万円 セキュリティ対策推進枠:最大100万円 複数社連携IT導入枠:最大3,000万円(諸経費は最大200万円) |
申請枠ごとに補助率をはじめ、補助下限額と補助上限枠が定められているため、あらかじめ確かめておきましょう。
IT導入補助金は2025年も実施される?
現在、令和6年度向けのIT導入補助金の支援事業者が公募されています。この公募要領では2025年8月末まで事務局業務が継続するので、2025年前半もIT導入補助金が実施されると考えられるでしょう。
補助金についてのご相談は、名古屋市の山本聡一郎税理士事務所へ
中小企業/小規模事業者向けにITツールの導入経費を一部補助して、DXや業務効率化を推進する仕組みが「IT導入補助金」制度です。申請枠ごとに補助率および補助金額が異なるので、申請手続き前にあらかじめ確認しておきましょう。
名古屋市の山本聡一郎税理士事務所では、補助金や助成金についてのご相談も受け付けております。様々な種類のある補助金について詳しく知りたい方、プロの税理士による的確なアドバイスをお求めの方は、ぜひ当事務所にお任せください。無料相談も実施しておりますので、お気軽にご連絡をお待ちしています。