起業3年目までは節税より売上アップに注力すべき理由とは?

起業したばかりの経営者にとって、税金対策(節税)は気になるテーマかと思います。

巷では様々な節税情報が溢れており、何を優先すべきか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

結論から申し上げますと、起業から3年目までは、節税よりも売上アップに注力すべきです。

もちろん、節税が不要というわけではありません。事業で大切なキャッシュフローを安定させるのに節税が有効な手段であることは事実です。
しかし、事業が軌道に乗るまでは、売上を上げ、事業を成長させることの方が、長期的に見て経営を安定させる上で重要です。

今回の記事では、起業初期に節税よりも売上アップに注力すべき3つの理由を詳しく解説します。

売上拡大が事業の基盤を強化する

起業初期の最大の課題は、事業を存続させ、成長させることです。

そのためには、まず売上を確保し、拡大することが最優先となります。

なぜなら、売上は企業の収益の源泉であり、利益を生み出すための原動力となるからです。

売上が安定しなければ、利益も生まれず、結果として節税の効果も限定的です。

① 売上と利益の関係

売上が増加すれば、それに比例して利益も増える可能性が高まります。

利益が増えれば、将来的な節税対策の幅も広がります。

例えば、

利益が増えることで、より多くの経費を計上できるようになり、結果的に課税所得を減らすことができます。

利益が増えることで、より多くの税制優遇措置を活用できるようになり、税負担を軽減することができます。

しかし、売上が低迷している段階で節税に注力しても、節税の効果はあまり期待できません。

低空飛行での節税は事業の成長には直結しないのです。

② キャッシュフローの改善

売上増加は、キャッシュフローの改善にもつながります。

キャッシュフローとは、企業に入ってくるお金と出ていくお金の流れのことです。

売上が増加することで、手元資金が増え、資金繰りが楽になります。

資金繰りが安定すれば、事業の継続性が高まり、将来的な投資や事業拡大にもつながります。

もちろん、利益を無視した売上UP行ってしまうと資金繰りは苦しいままになります。

ここでの「売上アップ」とは利益を確保したものであると認識しておいてください。

③ 市場での信頼性向上

売上が増加することは、市場での信頼性を高めることにもつながります。売上は、企業の実績を示す指標の一つです。

売上が伸びている企業は、顧客や取引先からの信頼を得やすく、より多くのビジネスチャンスに恵まれます。

売上が上がったら事業への投資を優先しよう

売上が徐々に上がってきたとしても、ここで急に「節税」にシフトするのはあまりお勧めではありません。

起業初期には、限られた資金をどのように活用するかが重要な課題です。

この段階で節税に過度に注力してしまうと、本来成長のために必要な投資資金が不足するリスクがあります。

① 成長のための投資

例えば、

・マーケティング

・商品開発

・人材育成

・設備投資

などは、直接的に売上拡大や事業の成長につながる投資です。

これらの投資を怠ると、競合他社に後れを取り、事業の成長が鈍化する可能性があります。

② 投資による長期的な利益

節税は一時的な支出削減に過ぎませんが、適切な投資は長期的な利益をもたらします。

例えば、

新商品の開発や市場拡大のための広告宣伝は、将来的な売上増加に直結します。

人材育成は、従業員の能力向上につながり、生産性向上や品質向上に貢献します。

起業初期には、節税よりもこれらの投資に資金を充てることで、事業の成長スピードを加速させることができます。

投資した分は、事業経費として正しく申告することで、結果的に節税効果が得られます。

大切なのは、起業初期は節税に意識を向けるのではなく、適切な投資をしてビジネスを伸ばす方に意識を向けた方が良いということです。

節税対策のタイミングと優先順位

節税対策は重要ですが、その実施には適切なタイミングと優先順位があります。

起業初期においては、売上拡大と事業の安定化が最優先であり、節税はその後の課題と位置づけるべきです。

① 節税対策の種類と効果

節税対策には、

・経費の適切な計上

・各種控除の活用

・税制優遇措置の利用

などがありますが、これらは利益が出て初めて効果を発揮します。

利益が少ない段階で節税対策を講じても、その効果は限定的であり、むしろ事業資金を圧迫するリスクもあります。

もちろん節税対策を強く意識していない段階でも、経費を正しく計上することは大切です。

② 起業初期に注力すべきこと

したがって、起業初期には節税よりも売上拡大に注力し、利益が十分に確保できるようになってから節税対策を本格的に検討することが賢明です。

具体的には、

・顧客獲得

・商品・サービスの品質向上

・販売チャネルの拡大

・業務効率化

などに注力し、売上と利益の増加を目指しましょう。

まとめ 節税は黒字化の後で!起業初期は売上アップに集中

起業から3年目までは、節税よりも売上の向上に注力することが、事業の安定と成長にとって最も重要です。

起業初期は売上も安定せず、社長自身のお給料も出せない状態であることも少なくありません。

まずは、社長が十分な給料をもらえるようになり、事業を黒字化するまでは、売上アップ・事業拡大に注力するようにしましょう。

売上の拡大は、事業の基盤を強化し、将来的な節税対策の効果を高める土台となります。

限られた資金を成長のための投資に充て、適切なタイミングで節税対策を講じることで、長期的な事業発展が期待できます。

今回は、起業初期における節税と売上アップの優先順位について解説しました。

しかし、実際の経営においては、様々な状況に応じて判断が必要です。
税理士などの専門家に相談し、自社の状況に合わせた適切なアドバイスを受けることをお勧めします。

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税理士 山本聡一郎
山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。
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