自己破産したら滞納した税金はどうなる?知っておくべき税金のルール

自己破産したら滞納した税金はどうなる 知っておくべき税金のルール

「借金が膨らんでどうにもならない…」そんな状況に追い込まれ、自己破産を検討する方もいらっしゃるかもしれません。

自己破産は、借金から解放されるための最終的な手段の一つであり、「自己破産すれば、借金だけでなく、税金の支払いからも解放される!」とイメージされている方も少なくありません。

しかし、結論から申し上げますと、自己破産をしても、原則として税金の支払いが免除されることはありません。

今回は、自己破産における税金の取り扱いについて、税理士の視点から詳しく解説していきます。



自己破産で免責される借金と免責されないもの

自己破産の手続きでは、「免責許可の決定」を受けることで、多くの借金の支払い義務が免除されます。

しかし、すべての債務が免責の対象となるわけではありません。

法律(破産法)では、以下の債務は原則として免責されないと定められています。

破産しても支払い義務が残るもの

税金は、破産しても支払い義務がある非免責債権に該当します。

その他の非免責債権は下記の通りです。

  • 税金
  • 社会保険料
  • 罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金
  • 故意または重過失による不法行為に基づく損害賠償請求権(交通事故の慰謝料など)
  • 養育費、婚姻費用
  • 従業員の給料、退職金
  • 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった債権

このように、税金は非免責債権の代表的なものとして明確に定められています。



なぜ税金は免責されないのか?

税金が自己破産で免責されない主な理由は、大きく3つ挙げられます。

①公共性の高さ

税金は、国や地方公共団体の運営に必要な財源であり、公共サービスの提供を支える重要な役割を担っています。

その支払いを免除することは、社会全体の公平性を損なうと考えられています。

一人一人が税金を納めることで、社会の治安が維持され、質の高い福祉や医療サービスを受けられる体制が整っています。
個人の都合で納税を免除していたらそれらの仕組みが破綻してしまいます。

②国民の義務

納税は、国民の基本的な義務の一つとされています。(日本国憲法 第30条にも、国民の納税の義務について定められています。)

個人の経済状況によってその義務が免除されることは、そもそも憲法の趣旨に反することになるのです。

③強制徴収の必要性

税金は、法律に基づいて強制的に徴収されるべきものであり、個人の意思によって支払いを免れるべきではないという考え方があります。

個人の経済的な困窮を理由に、社会全体で支えるべき公共サービスの原資である税金の支払いを免れることは、制度の趣旨として認められていないのです。



税金を滞納したまま自己破産した場合

税金を滞納したまま自己破産の手続きを進めた場合でも、税金の支払い義務は残ります。

自己破産の手続き自体は進められますが、免責許可決定が出ても、滞納している税金については、引き続き支払う必要があります。

税金の滞納が続くと、延滞税が発生したり、財産の差し押さえなどの強制執行が行われる可能性もあります。

延滞期間によって利率は異なり、最大で年14.6%となる可能性がありますが、現在は特例によりそれより低い利率が適用されています。

詳しくは国税庁のサイトをご確認ください。

●国税庁 延滞税の割合



税金の滞納で困った場合の相談先

自己破産を検討するほど経済的に困窮している状況で、税金の滞納がある場合は、一人で悩まずに早めに専門機関に相談することが重要です。

①税務署・市町村役場の税務課

納税の猶予や分割納付など、状況に応じた相談に乗ってくれる場合があります。

できるだけ早めに相談に行くようにしましょう。
税金を滞納したまま放置すると、預貯金や土地建物・車など差し押さえを受ける場合があります。

②税理士

税金の専門家として、個別の状況に応じたアドバイスや、納税に関する手続きのサポートを受けることができます。

一人で抱え込まずに、早めに専門家に相談するようにしましょう。

③弁護士

債務整理全般の専門家として、自己破産の手続きだけでなく、税金を含めた債務全体の解決策を検討してくれます。

また弁護士と税理士が連携することで、より最適な提案が可能になります。

もちろん、全ての自己破産案件で弁護士と税理士の連携が必須というわけではありませんが、税金の問題が絡む場合や個人事業主の場合など、事案が複雑になればなるほど、両専門家が連携することで、よりスムーズかつ適切な手続き進行が期待できます。

●併せて読みたい

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自己破産と債務整理、何が違う?家族はどうなる?



まとめ

自己破産は、多重債務から解放されるための重要な手段ですが、税金は原則として免責の対象外です。

税金の滞納がある場合は、自己破産を検討している段階で、税務署や専門家への相談を検討することが大切です。

税金の支払いは国民の義務であり、その公共性の高さから免責されないということを理解し、適切な対応を取りましょう。



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税理士 山本聡一郎
山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。
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