事業を営んでいると、さまざまな取引が発生します。その中でも帳簿は取引の内容を正確に記載することが求められますが、仕訳数が多いと記帳の時間や手間がかかることも多いでしょう。そのような時に、非常に役に立つ方法が、税理士に記帳代行を依頼するということです。
本記事では、税理士がどこまで記帳代行の対応をしてくれるのかや、依頼することのメリット・デメリット、注意点などについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。
このページの目次
税理士に記帳代行を依頼したらどこまで対応してもらえる？
記帳代行を行うには簿記の知識が必要となるため、専門的なスキルが求められます。税務書類の作成や申告手続きは税理士にのみ許可された独占業務であるため、記帳代行は税理士に依頼することが効果的ですが、どこまで対応できるかは税理士により異なります。
領収書やレシートの整理作業を行わずに、すべての業務を税理士に委託することのできるサービスもあります。また、仕訳入力のみを税理士に依頼し、領収書の整理は企業が行うパターンもあります。税理士に記帳代行を依頼する際には、どの範囲まで業務を引き受けてくれるかを確認することが重要です。
・記帳とは？
記帳とは、大まかにいうとレシートや領収書を整理して帳簿に記録することです。会計用語では、事業を営む上で日常的に発生する金銭のやり取りを 「取引 」と呼び、その取引内容を帳簿に記録することを 「記帳」と呼びます。事業を行っているとさまざまな取引が発生しますが、法人であっても個人事業主であっても、取引を正確に記録した帳簿を作成することは必要不可欠と言えます。
・記帳代行とは？
当事者ではなく、記帳業務を請け負うアウトソーシングサービスが記帳代行です。税理士がすべて行う「丸投げプラン」など、税理士により行うサービスはさまざまで、レシートや領収書の量によっても料金が変わる可能性があります。
税理士は、記帳代行のほかに税務申告書の作成や税務に関する相談、税務署への届出などの業務を請け負うことも可能です。税務署への手続きや確定申告書の作成といった税務関連業務をまとめて頼みたい場合には、税理士に依頼すると良いでしょう。
・記帳代行を税理士以外に依頼する注意点とは？
記帳代行は、税理士のほかに行政書士や記帳代行業者にも依頼ができますが、注意点があります。それは、非税理士が税理士の独占業務を実施していないかという点です。税理士ではない者が「税務の代理」「税務書類の作成」「税務相談」といった税理士の独占業務を行うと、税理士法違反で処分の対象となる可能性があるので注意が必要です。
税理士に記帳代行を依頼するメリット
税理士に記帳代行を依頼するメリットには、以下のような点が挙げられます。
・手間や時間を節約できる
記帳には専門的で複雑な作業が必要で、準備にも手間と時間がかかります。しかし、記帳作業は急ぎの仕事ではないため、つい後回しになる傾向があるようです。
確定申告直前に慌てて取り組んだり、質問したいのに税務署が混んでいて長時間待たされたりした方もいらっしゃるのではないでしょうか。税理士に記帳代行を依頼すれば、こうした煩雑な手間や時間を節約できるため、ビジネスに集中できるという点は大きな魅力です。
・経済的にもメリットがある
経理担当の従業員やパートを雇って人件費をかけるのではなく、税理士に記帳代行を依頼するほうが安上がりになるというメリットもあります。例えば、経理担当の従業員を雇うと月額十数万円以上の費用がかかりますが、税理士の顧問料は月数万円で済むことが一般的です。
また、従業員を雇うと経験不足や知識不足により指導や管理に時間を費やす必要がありますが、税理士は専門知識を持ち、法令順守に関するアドバイスもしてくれます。
さらには節税に関するサポートを受けられるのも大きなメリットです。税理士は税制改正に対応し、最新の節税手法を提供してくれます。特に、税法上の特例や優遇措置を活用する際に、税理士のアドバイスは重要です。税理士に依頼すれば、効率的に経理業務を遂行できるうえに、節税効果を最大限に引き出せるでしょう。
・より的確な記帳ができる
記帳作業を正しく行うには、単純に入出金を記録するだけではなく、経費の判断や売上の計上時期など複雑な仕分けが必要です。税の専門家である税理士なら的確な記帳作業をしてくれます。領収書や請求書の控え、通帳のコピーなど必要な書類を税理士に渡すと、適切に記帳代行をしてくれることでしょう。
税理士に記帳代行を依頼するデメリット
税理士に記帳代行を依頼すると、以下のようなデメリットも考えられます。
・費用がかかる
記帳代行を税理士に依頼すると、費用は当然かかります。記帳業務の手間や時間を省けるのは良い点ですが、その代わりにコストが必要となってくるのは念頭に入れておきましょう。
・業績をリアルタイムで把握できない
税理士に記帳代行を依頼した場合、書類の提出から実際に帳簿を確認するまでに時間がかかるため、基本的にはリアルタイムでの業績を把握することが難しくなります。特に、請求書の控えを提出するタイミングは支払完了後となるため、業績の把握が遅れる可能性が生じます。
・ノウハウの蓄積やスキルアップにつながらない
記帳代行を頼むと、従業員のスキルアップにつながる記帳業務のノウハウを得る機会が失われる可能性があります。そのため、記帳業務に関する従業員のノウハウの習得やスキル向上についてはあまり期待できないというデメリットもあります。
まとめ
税理士による記帳代行は信頼性が高く安心して任せられる上、税務関連業務もまとめて依頼できるというメリットがあります。ただし、どこまで対応してくれるかは税理士によって異なるので確認が必要です。
そのほか税務署への手続きや確定申告書の作成といった税務関連業務をスムーズに一括で頼みたい場合には、税理士に依頼すると良いでしょう。
山本聡一郎税理士事務所では、2020年7月開業時から積極的にクラウド会計の大手であるfreeeをメインの会計ソフトとして利用しています。クラウド会計を導入してみたいけれど自社で対応できるか不安な方は、無料相談も実施しておりますのでお気軽にお問合せください。
