開業医がクリニックを経営する際は、適切な節税対策を考える必要があるでしょう。収入が高くなるほど大きくなる税負担を軽減し、経費を最適化することで手取り収入を増やすためです。
しかし、具体的にどのような節税対策をすれば良いのか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、開業医が利用できる節税策を8つ紹介します。また、経費で購入できる可能性のある車種や、7割以上の経費率を達成するための具体的な方法も解説いたします。ぜひ最後までお読みいただき、クリニックの運営にお役立てください。
このページの目次
クリニックの開業医におすすめの節税・税金対策8選
開業医が活用できる効果的な節税策を8つ紹介します。無駄な税金を減らし、経営を安定させるためにぜひご検討ください。
① 中小企業倒産防止共済に加入
中小企業倒産防止共済は、万が一の経営リスクに備えながら節税もできる制度です。
加入すると、取引先が倒産したとしてもその影響で倒産してしまう「倒産連鎖」のリスクを回避できる可能性があります。
掛金は全額経費として計上でき、さらに将来的には解約返戻金として戻ってくるため、経営の安全性を高めると同時に税負担を軽減できるでしょう。
中小企業倒産防止共済についてさらに知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
② 小規模企業共済に加入
小規模企業共済は、開業医が退職金や老後資金を準備しながら節税できる制度です。
掛金は全額所得控除となり、将来の生活資金を積み立てられます。退職金のない個人事業主である開業医には、将来の資金を準備するための有効な手段となるでしょう。
小規模企業共済についてさらに知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
③ 従業員を対象とする生命保険に加入
従業員を対象とする生命保険に加入することも、節税に役立つ方法の一つです。
保険料を経費として計上できるため税金を抑えると同時に、従業員の病気や怪我にも備えられるでしょう。
ただし、保険金の受取人は従業員の家族にする必要があります。
④ iDeCoを活用する
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、国民年金や厚生年金といった公的年金とは別に給付を受けられる私的年金制度です。
加入者は自分で掛金を拠出(積立)し運用方法を決め、成果を自分で受け取ることができます。
iDeCoを活用すると掛金が全額所得控除となるため、課税対象の所得を減額できますが、元本割れのリスクもありますので注意しましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)についてさらに知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
⑤ 償却資産を廃棄する
償却資産とは土地や家屋以外の事業用に使う資産のことで、固定資産税の対象となる資産です。
クリニック事業なら医療設備やパソコン、空調設備やコピー機などが挙げられます。
例えば、古くなった医療機器や設備を廃棄すれば未償却残高を一度に経費として計上でき、税負担を軽減できるでしょう。
⑥ 所得分散する
所得分散とは家族を従業員として雇用し、給与を支払うことで所得を分散させ税負担を軽減する方法です。
所得税の累進課税の影響を抑えられるため、特に高収入の開業医には有効な節税手段です。
1人の所得とするのではなく、家族内で分散すれば所得税を引き下げられる可能性があります。
⑦ 租税特別措置法の特例を利用する
租税特別措置法とは特定の政策を実現するために、期間を限定して適用する特例規定を定める法律のことです。
「保険診療収入が5,000万円以下」「総収入が7,000万円以下」といった一定の条件を満たしていれば、医療機器の購入費用を特別償却や税額控除として扱えます。
⑧ クリニックの法人化を検討する
法人化すると給与所得控除や経費計上の範囲が広がるため、結果的に税負担が軽減されます。
個人開業のクリニックでは最大税率が55%ですが、法人化すれば一定で17.59%です。
また、法人化により社会保険料の負担も分散できるメリットがあります。
ただし、倒産防止共済には加入できないといったデメリットもあるため慎重に検討しましょう。
クリニックの開業医が経費で購入するのに最適な車種とは
開業するとクリニックへの通勤や往診に必要な車を経費として購入できるようになるため、高級車を購入しやすくなるでしょう。
例えば、プリウスやアクアといったハイブリッド車は燃費が良く環境に優しいため、経費として認められやすいと言われています。
また、レクサスやメルセデス・ベンツといった高級車も、クリニックの信用を高めるための投資として経費計上できる可能性があります。
ただし、プライベートでの利用が多い場合は、その部分を経費として計上できない点に注意が必要です。
スポーツカーやRV車などの車両は税務署から娯楽目的と見なされる可能性があり、申告が難しくなるかもしれません。クリニックの経営状況や使用目的に合わせて、最適な車種を選びましょう。
開業医のための具体的な節税方法
高級車を購入し、その費用を経費として計上することで、クリニックの売上から差し引いた利益に対して課税が行われます。これにより、課税される金額が少なくなり節税効果を得られるでしょう。
また、購入した車は資産として扱われるため、人気のある車を所有していれば必要なときに現金に換えることも可能です。以下に具体例を紹介します。
<例>
事業所得が1,000万円のクリニックが600万円の新車を購入し、その車を減価償却資産として計上した場合、1,000万円の売上から毎年100万円の経費(減価償却資産の法定耐用年数:新車【乗用車の場合】6年)を引いた900万円が課税対象。(もし車を購入していなければ、1,000万円全額が課税対象)
医師に人気の車種は?
開業医などの医師に人気の車種には、以下があります。
- メルセデス・ベンツ
- ポルシェ
- アウディ
- BMW
- ボルボ
- ジャガー
- レクサス
- プリウス
- アコード
- アルティス
特に、メルセデス・ベンツ、ボルボ、アウディ、BMWなどが人気のようです。医師共同組合の入会特典として、医師向けに新車購入費の割引が受けられることも理由の一つでしょう。
購入後は車両の使用記録を詳細に保管し、税務署からの確認に備えてください。
参考:東京都医師協同組合連合会| ボルボ特別斡旋販売のご案内
7割以上の経費率を目指すには
クリニック経営では7割以上の経費率を達成すると、課税所得を減らせる可能性があるため税負担の軽減につながりやすくなります。経費率を高めるには、経費として認められる項目をしっかりと把握して漏れなく計上するように心がけましょう。
例えば、医療機器や薬品の購入費、クリニックの家賃や光熱費、スタッフの給与などが主な経費となる可能性があります。研修費用や専門書の購入費、さらには会議費や福利厚生費なども経費として認められるためこれらも積極的に計上しましょう。
また、定期的に経費項目を見直し、資産の更新や不要なものを廃棄することも経費率を維持するのに効果的です。
まとめ
開業医に効果的と考えられる節税対策には中小企業倒産防止共済や小規模企業共済への加入、iDeCoの活用などがあります。
また、開業医に人気のメルセデス・ベンツやレクサスといった高級車もクリニックの信用を高める投資として経費計上できる可能性があります。ただし、プライベートの使用が多い場合や、スポーツカーやRV車は経費として認められないケースがあるため注意しましょう。
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