クリエイティブな仕事をしている人にとって、ゲームやマンガ本・ガチャの課金はただの娯楽ではなく、インスピレーションやリサーチのための重要なツールになることがあります。
ただし、これらの費用を経費として計上するには、仕事との関連性を明確にする必要があります。今回は、クリエイティブな仕事をする上で、これらの経費がどこまで認められるかについて解説します。
このページの目次
1. 経費とは?
そもそも「経費」とは、仕事に関連して必要な支出を指します。
仕事に必要なものであれば、どのようなものでも経費として計上できるわけではなく、その用途が明確に仕事に関係していることが条件となります。
2. ゲーム・マンガ本・ガチャの課金は経費にできる?
ゲームソフトやマンガ本・ガチャの課金は、職種によっては業務に直結している場合があります。
特に以下のような業務内容の場合、経費として認められる可能性があります。
ゲームクリエイター・デザイナー
ゲームクリエイターは、他のゲームのデザインやキャラクター、シナリオを研究するために、ゲームを購入してプレイすることがあります。
このような場合、ゲームの購入費用が業務上のリサーチやインスピレーションの一環として必要とされるのであれば、経費として認められる可能性が高くなります。
マンガ家・イラストレーター
マンガ家やイラストレーターは、他の作品からインスピレーションを得たり、トレンドや技術を学ぶためにマンガを購入することがあります。
このように、仕事に関連する場合には、マンガ本の購入費が経費として認められることもあります。
ライター・シナリオライター
ゲームやマンガを題材にした記事やレビューを書いているライターや、ストーリー制作を手がけるシナリオライターにとって、ゲームやマンガ本は業務に直結しているため、経費として計上できることがあります。
ゲーム実況YouTuber
ゲーム実況YouTuberの場合、例えば「レアアイテム出現までに何回ガチャを回したか」「ガチャを1000回したらどうなるか」などの企画動画のためであればガチャの課金も経費として認められる場合があります。
経費にできないケース
一方で、業務と直接関係のない趣味やプライベートのための購入は、経費として認められません。たとえクリエイターであっても、「ただ楽しみたいから」といった理由で購入したゲームやマンガ本・ガチャの課金は経費にできません。
3. 経費として認められるための条件
ゲームやマンガ本・ガチャの課金が経費として認められるためには、それが明確に業務に関連していることを証明できる必要があります。
これらがどのように仕事に役立っているかを具体的に説明できるようにしておくと良いでしょう。
購入・課金の目的を明確にする
何のためにゲームやマンガ本を購入したのか、ガチャ課金の目的・必要性を明確にしましょう。
実際に制作した作品(ゲームやデザイン、webサイト記事、YouTube動画など)も提示できるようにしましょう。
企画書も残しておくと、より仕事との関連性を証明することができます。
領収書や使用履歴を残す
ゲームやマンガ本・ガチャの課金を経費として計上する場合、領収書や購入履歴をしっかりと残しておくことが重要です。
ゲームの場合、プレイ時間や内容が仕事にどう役立ったかを記録することで、税務調査の際にも説得力を持たせることができます。
仕事とプライベートの区別を明確に
業務用とプライベートの使用を区別することも大切です。
たとえば、業務用のゲームやマンガ本・ガチャの課金が実際にどのように仕事に使われているか、記録を残しておくことで、税務署に対して正当性を示すことができます。
購入したものをプライベートで使用すること自体は問題ありませんが、その場合は必ず家事按分するようにしましょう。
これらは、どうしてもプライベートとの境界線が曖昧になりがちです。
不安な場合は税務の専門家に相談するようにしましょう。
4. 従業員のためのゲームやマンガ本
従業員の休憩時間に利用させるために、会社としてゲームやマンガ本を購入することがあります。
この場合も、福利厚生費として経費に計上できる可能性があります。
福利厚生の一環として、従業員がリフレッシュするために会社で提供するゲームやマンガ本は、業務の一部として認められることがあるためです。
※この場合は、もちろんガチャの課金は対象外です。
ただし、全従業員が利用できるようにすることが前提であり、一部の人だけが対象となる場合は経費として認められにくい場合もあるため注意が必要です。
●過去コラム
社長一人の食事は福利厚生費で落とせる?福利厚生費とは何か
5. 必要経費にする際の勘定科目と仕訳例
ゲームやマンガ本・ガチャの課金を経費として計上する際には、適切な勘定科目を使用することが大切です。
一般的な勘定科目と仕訳例を合わせて紹介していきます。
研究開発費
新しいゲームやマンガの制作に向けてリサーチや調査が必要な場合。
【仕訳例】
借方 / 貸方 / 摘要(※詳しく書くようにしましょう)
研究開発費 10,000円 / 現金 10,000円 / 〇×ネットショップ 〇〇ゲーム開発
資料費
ゲームやマンガ本が業務に役立つ資料として使用される場合。
【仕訳例】
借方 / 貸方 / 摘要(※詳しく書くようにしましょう)
資料費 8,500円 / 未払金(VISAカード) 8,500円 / △△書店 レビューコラムの資料
福利厚生費
従業員が休憩時に使用するために会社が購入した場合、この科目を使用します。
【仕訳例】
借方 / 貸方 / 摘要(※詳しく書くようにしましょう)
福利厚生費 12,000円 / 現金 12,000円 / 〇△ショップ デザインチーム休憩室用
通信費
ガチャの課金はオンラインゲームのため、一般的には通信費に該当しますが、消耗品費として計上される場合もあります。
※今回の仕訳例は通信費にします。
【仕訳例】
借方 / 貸方 / 摘要(※詳しく書くようにしましょう)
通信費 120,000円 / 未払金(VISAカード) 120,000円 / ※◯システム 「〇〇チャンネル」制作のガチャ代
まとめ
ゲームやマンガ本が経費として認められるかどうかは、クリエイターにとって重要なポイントです。
業務に直接関連しているかどうかを明確にし、適切な経費処理を行うことが求められます。
また、従業員の福利厚生としても活用できる場合があるため、使い方次第で大きなメリットを得ることができるでしょう。
けれども、今回紹介した内容は、仕事とプライベートの境界線が曖昧なものであり、よく分からないまま自己判断して経費計上することはリスクがあります。
正しく経費処理を行うためには、専門家に相談し、適切な手続きを踏むことが重要です。
特にガチャの課金を経費にする場合は、ゲームやマンガ本と比較して金額が大きくなることが多いため、頻度や金額の妥当性を税理士や会計士に相談して決めることをお勧めします。
クリエイティブな業界に携わる人々にとって、経費の賢い使い方をしっかり学び、税務面での最適な処理を目指していきましょう。