税金対策は、中小企業の経営者や一人社長にとって重要な経営スキルのひとつです。税について正しい知識を身につければ、コストを抑えつつ会社の収益性を高められるでしょう。
本記事では、特に実践しやすい節税策を厳選してご紹介します。
中小企業の経営者や一人社長がすぐに役立てられる内容となっていますので、今日から実行し、経営の安定化を目指しましょう。
このページの目次
一人社長が今すぐ実践すべき節税対策5選
一人社長は、個人事業主とは異なる節税方法を活用できます。特に、法人化することで得られる税制上のメリットは見逃せません。
ここでは、一人社長がすぐに取り組める具体的な節税術を5つご紹介します。
給与所得控除を活用する
一人社長になると給与所得控除が適用されるため、大幅な節税が可能になります。
個人事業主の青色申告特別控除では最大65万円の控除ですが、法人化し役員報酬を支給すれば最大195万円の控除を受けられる点が大きな違いです。
この仕組みを利用して、税負担を効果的に軽減させましょう。
所得を分散して税負担を軽減
所得税は累進課税制度を採用しており、収入が多いほど税率が高くなります。
一人社長として法人化すれば所得を会社と個人に分散できるため、結果的に税率を引き下げることが可能です。
欠損金を長期にわたって繰り越す
法人化すると、赤字が発生した場合にその欠損金を長期間にわたり繰り越すことが可能です。
翌年度以降に利益が出た場合でも、過去の赤字と相殺できるため法人税の負担を抑えられます。
個人事業主に比べて、この制度は大きなメリットといえるでしょう。
消費税の納税義務が一時的に免除されることを活用
法人化した場合、一定の条件を満たせば初年度と翌年度の消費税納税義務が免除される期間があります。
課税事業者となる前年の基準期間が存在しないため、設立初年度と翌年度の消費税納税義務が免除されるのです。
ただし、インボイス登録をした場合や設立後半年間の売上や給与支払額が1,000万円を超える場合など例外的に課税事業者なる場合があるので専門家に相談しましょう。
とはいえ、この免税期間は最大で2年間適用されるため、初期のキャッシュフロー改善に役立つでしょう。
出張日当を経費に計上する
出張時の旅費交通費は、仕組みを整えることで、法人化するとさらに柔軟に経費計上できます。
事前に「出張旅費規程(出張にかかる経費の取り扱いを定めた規程)」を作成すれば、実費を超えた金額を出張日当として計上可能です。
例えば、宿泊費を規程で2万円とすれば、実際の費用が1.5万円でも2万円を経費として計上できます。
中小企業の経営者におすすめの節税対策10選
中小企業の経営者にとって、節税は資金繰りの安定化や利益の最大化に欠かせない要素です。
ここからは、法人経営の特性を活かした効果的な税金対策を10個紹介します。
役員報酬を計上する
役員報酬は「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」のいずれかに該当すれば、経費として認められます。
個人の所得税や住民税、社会保険料が高くならないように、節税とのバランスを考えながら役員報酬の金額を設定しましょう。
決算賞与を支給する
決算賞与(会社の決算業績に応じて従業員に支給する臨時ボーナス)を活用すると、従業員への支払いを経費として計上できるため税負担を軽減できます。
従業員のモチベーション向上にもつながるため、利益が想定以上に出た場合には積極的に検討しましょう。
不要な固定資産を整理する
使われていない固定資産にも税負担が発生するため、これらを処分すれば除却損として経費に計上可能です。
ただし、固定資産を廃棄するまでは除却損は損金に算入できません。処分の証拠として廃棄した資産の写真や依頼した業者の請求書などを保管し、年度内の処分手続きを忘れないようにしましょう。
旅費日当を非課税で支給する
出張時の旅費日当は、非課税所得として経費計上が可能です。
宿泊費や交通費を除く出張中の費用を合理的な額で設定し、社内規程にもとづいて支給することが条件です。
また、消費税の課税仕入れとして扱われるため、消費税節税にも役立ちます。
少額減価償却資産を活用する
30万円未満の資産を取得した場合、取得額全額を経費に計上できる「少額減価償却資産の特例」が中小企業に適用されます。また、資産の取得額が20万円未満の場合は、一括償却資産として計上するとさらに税負担の軽減が可能です。
一括償却資産には償却資産税が課されないため、緊急性に応じて「少額減価償却資産」か「一括償却資産」を使い分けましょう。
急いで所得を圧縮したい場合は「少額減価償却資産」を、そうでない場合は「一括償却資産」を選ぶと税負担を効率的に管理できます。
共済制度を賢く利用する
中小企業退職金共済や経営セーフティ共済は、掛金が全額経費として認められるため、節税とリスク管理の両方に有効です。
また、経営者個人の退職金積立として「小規模企業共済」を併用すると掛金が全額所得控除になるため、さらに節税効果を高められます。
貸倒損失を適切に計上する
取引先の倒産で未回収の売掛金が発生した場合は、貸倒損失として経費に計上できます。
「全額回収不能」や、「一定期間弁済がない場合」などの要件を満たすことが条件です。判断が難しい場合は税理士に相談し、適切に処理しましょう。
福利厚生を充実させる
一定の要件を満たした健康診断や社員旅行を実施すると、福利厚生費として経費に計上できます。
健康診断は全従業員を対象に会社が医療機関に直接支払い、適正な範囲で実施することが条件です。
また、社員旅行は4泊5日以内で半数以上の参加を満たせば経費として認められます。
短期前払費用を経費にする
支払日から1年以内に提供されるサービスの費用は、「短期前払費用の特例」を活用すると支払時に経費計上できます。
例えば、決算直前に1年分の家賃を支払うと全額が当期の経費として認められます。翌年以降も継続して支払うことが条件ですので、長期的な計画を立てて活用しましょう。
別会社の設立を検討する
別会社を設立して利益を分散すると、法人税率の区分を活用して節税できます。交際費の限度額も倍増するため、費用計上の幅が広がるでしょう。
ただし、不自然な設立は税務調査の対象となるため、事業拡大を視野に入れた慎重な計画が必要です。
まとめ
節税対策は中小企業の経営者や一人社長にとって資金繰りを円滑にし、事業の収益性を高める重要な手段です。
本記事では「給与所得控除の活用」「決算賞与の支給」「不要な固定資産の整理」など、すぐに実践できる節税方法を15選でご紹介しました。適切に取り入れれば、税負担を軽減しながら事業の安定化を図れるでしょう。
中小企業の経営者や一人社長が行うべき節税・税金対策についてもっと詳しく知りたい方、具体的なご相談をしたい方は、信頼できる税理士が揃う名古屋市の山本聡一郎税理士事務所までお気軽にお問い合わせください。専門家があなたの事業に最適な節税プランをご提案いたします。