【要注意】あなたが「個人事業主になれない人」かも？5つの特徴と回避策 | Freeeなら名古屋市の山本聡一郎税理士事務所

2025/05/26

「自分は個人事業主になれないかも…」と不安を抱えていませんか？この記事を読めば、個人事業主として成功が難しい人の5つの特徴と、その具体的な回避策が明確に分かります。たとえ特徴に当てはまっても、正しい対策を講じれば道は開けます。独立への一歩を踏み出すための具体的なステップまで徹底解説します。

もしかして自分も？個人事業主になれない人の不安

「個人事業主」という働き方に憧れを抱きつつも、「自分には無理かもしれない…」と一歩踏み出せない。そんな不安を感じて、このページにたどり着いたのではないでしょうか。近年、働き方の選択肢が広がり、個人事業主として活躍する人は増えています。しかし、その一方で「自分は個人事業主になれないタイプなのでは？」と漠然とした不安や具体的な懸念を抱えている方も少なくありません。この記事では、まず、なぜ今個人事業主という働き方が注目されているのか、そして「個人事業主になれない人」と検索してしまうあなたの心の奥にある不安の正体を探っていきます。

個人事業主という働き方への関心の高まり

近年、働き方の多様化が急速に進んでいます。終身雇用制度が揺らぎ、個人のスキルや専門性を活かした柔軟な働き方を求める人が増えているのです。特に、インターネット環境の普及やクラウドソーシングサービスの充実は、個人が企業に属さずに働くことを容易にしました。

個人事業主（フリーランスとも呼ばれます）は、時間や場所に縛られずに自分の裁量で仕事を進められるという魅力があります。また、得意な分野で専門性を高め、努力次第で会社員時代以上の収入を得ることも可能です。こうした自由度の高さや成果が直接収入に結びつく点に魅力を感じ、個人事業主という道を選択する人が増加傾向にあります。実際に、政府の調査でもフリーランスとして働く人の数は増加傾向にあることが示されています（例：内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局 フリーランスに関する取組）。

さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大は、リモートワークの普及を後押しし、企業に所属しない働き方への関心を一層高めるきっかけとなりました。自分のライフスタイルに合わせて仕事を選びたい、より主体的にキャリアを築きたいという思いを持つ人々にとって、個人事業主は魅力的な選択肢の一つとして認識されています。

なぜ「個人事業主になれない人」と検索するのか

個人事業主という働き方に魅力を感じつつも、「個人事業主になれない人」というキーワードで検索してしまうのは、あなたの心の中に様々な不安や疑問が渦巻いているからでしょう。それは、決してあなた一人が抱える特別な感情ではありません。多くの人が、新しい挑戦を前に同様の不安を感じています。

具体的には、以下のような心理が考えられます。

これらの不安は、個人事業主という働き方の「自由」の裏側にある「自己責任」の重さを感じ取っているからこそ生まれるものです。この先を読み進めることで、そうした不安を具体的に分析し、あなたが個人事業主としての一歩を踏み出すためのヒントや、あるいは別の道を選択するための判断材料が見つかるかもしれません。

まずは知っておこう 個人事業主の基本と会社員との違い

個人事業主という働き方に興味はあるものの、具体的なイメージが湧かない、あるいは会社員との違いがよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。ご自身が「個人事業主になれない人」かどうかを判断する前に、まずは個人事業主の基本的な定義と、多くの方が経験しているであろう会社員という働き方との違いを明確に理解しておくことが重要です。この章では、それぞれの働き方の特徴、メリット・デメリットを整理し、あなたがどちらの働き方により適性があるのかを考えるための基礎知識を提供します。

個人事業主とは 自由と責任を負う働き方

個人事業主とは、法人を設立せずに、個人として事業を営む人のことを指します。一般的には「フリーランス」と呼ばれることも多いですが、法的な区分としては「個人事業主」となります。事業を開始する際には、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」（通称：開業届）を提出するのが一般的です。屋号（お店や事業の名前）を自由に設定でき、事業で得た所得は「事業所得」として確定申告を行い、所得税や住民税、場合によっては事業税や消費税を納めます。

個人事業主の最大の魅力は、働く時間、場所、仕事内容、進め方などを自分で決定できる自由度の高さにあります。自分のスキルやアイデアを活かして、直接顧客に価値を提供し、その成果がダイレクトに収入に結びつくため、大きなやりがいを感じられるでしょう。しかし、その自由の裏側には、事業運営に関するすべての責任を自身で負うという厳しさも伴います。収入が不安定になるリスク、仕事の獲得から経理、税務処理まで全て自分で行う必要があること、そして会社員のような手厚い社会保障や福利厚生が基本的にないことも理解しておく必要があります。

個人事業主のメリット：最大限の自由と直接的な成果

• 働く時間や場所、仕事内容を自分で決められる
• 努力や成果が直接収入に反映されやすい
• 自分の得意なことや好きなことを仕事にしやすい
• 定年がないため、健康であれば長く働き続けられる
• 経費として認められる範囲が会社員より広い場合がある

個人事業主のデメリット：不安定さと無限の責任

• 収入が不安定になりやすく、保証がない
• 仕事の獲得から請求、経理、税務処理まで全て自己責任で行う必要がある
• 病気やケガで働けなくなると収入が途絶えるリスクがある
• 社会的信用度が会社員に比べて低いと見なされる場合がある（ローン審査など）
• 国民年金・国民健康保険に加入が基本で、厚生年金や会社の健康保険組合のような手厚い保障は少ない（ただし、業種によっては国民健康保険組合に加入できる場合もある）

会社員との大きな違い 安定と裁量

会社員とは、企業（法人または個人事業主である場合も）と雇用契約を結び、労働力を提供する対価として給与を得る働き方です。労働基準法などの法律によって保護されており、多くの場合、社会保険（健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険）に加入し、企業が提供する福利厚生制度を利用できます。

会社員の最大のメリットは、毎月決まった給与が支払われる安定性と、手厚い社会保障制度でしょう。病気やケガで休業した場合の傷病手当金や、失業した場合の失業保険など、セーフティネットが充実しています。また、業務における責任は組織全体で分担されるため、個人が負うリスクは限定的です。一方で、仕事内容や勤務時間、場所、キャリアパスなどは、基本的に会社の指示や規定に従う必要があり、個人の裁量権は個人事業主に比べて小さいと言えます。組織の一員として働くため、人間関係や社内政治といった要素も無視できません。

会社員のメリット：安定した収入と手厚い保障

• 毎月安定した給与や賞与が得られる
• 社会保険（健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険）が充実している
• 有給休暇や育児・介護休業制度などが整備されている場合が多い
• 教育研修制度が整っている企業も多く、スキルアップの機会がある
• 社会的信用度が高く、ローン審査などで有利な場合がある

会社員のデメリット：制約と組織への帰属

• 働く時間、場所、仕事内容の自由度が低い
• 個人の成果が直接給与に反映されにくい場合がある
• 組織のルールや人間関係に縛られることがある
• 希望しない部署への異動や転勤の可能性がある
• 副業が禁止・制限されている場合がある

個人事業主と会社員の主な違いをより分かりやすく比較するために、以下の表にまとめました。

このように、個人事業主と会社員では、働き方の自由度、負うべき責任の範囲、収入の安定性、社会保障制度など、多くの面で大きな違いがあります。どちらが良い・悪いというわけではなく、ご自身の価値観やライフスタイル、目指す働き方によって最適な選択は異なります。これらの違いをしっかりと理解した上で、次の章で解説する「個人事業主になれない人の特徴」と照らし合わせてみてください。

あなたは大丈夫？個人事業主になれない人の5つの特徴

個人事業主として成功するためには、会社員時代とは異なるスキルやマインドセットが求められます。もし、あなたがこれから挙げる特徴に複数当てはまる場合、個人事業主としての活動は困難を極めるかもしれません。ご自身の状況と照らし合わせながら、じっくりと読み進めてみてください。

特徴1 自己管理能力が著しく低い人

個人事業主は、良くも悪くも自分自身が社長です。日々の業務遂行から体調管理、モチベーションの維持まで、すべて自己責任となります。この自己管理能力が著しく低い場合、事業を継続することは非常に難しくなります。

時間管理が苦手で計画性がない

会社員であれば、始業時間や終業時間、タスクの優先順位もある程度決められています。しかし、個人事業主は時間の使い方を自分でコントロールしなければなりません。時間管理が苦手で、作業に優先順位をつけられず、行き当たりばったりで仕事を進めてしまう人は要注意です。納期遅延を繰り返したり、逆に時間をかけすぎて採算が合わなくなったりする可能性があります。また、仕事とプライベートの境界線が曖昧になり、働きすぎてしまう、あるいは逆にだらけてしまうといった問題も起こりがちです。

具体的には、以下のような傾向がある方は注意が必要です。

• 締め切り間際にならないと作業を始められない
• 日々のタスクリストを作成せず、何から手をつけるべきか迷うことが多い
• 作業時間の見積もりが甘く、常に時間に追われている
• 休憩を取らずに長時間作業し、結果的に効率が落ちる

健康管理やモチベーション維持ができない

個人事業主にとって、資本は自分自身の身体と精神です。体調を崩してしまえば収入は途絶え、モチベーションが低下すれば業務の質も量も低下します。不規則な生活を送りがちな人、ストレスを溜め込みやすい人、孤独に弱く一人で作業することに精神的な負担を感じる人は、個人事業主として長期的に活動するのが難しいかもしれません。特にフリーランスは自宅で作業することも多く、意識的に自己を律し、心身の健康を保つ努力が不可欠です。

例えば、以下のような状態は危険信号です。

• 食事が不規則で栄養バランスが偏っている
• 睡眠不足が続いている、または昼夜逆転している
• 定期的な運動習慣がない
• 仕事の悩みや不安を一人で抱え込み、相談できる相手がいない
• 思うように成果が出ないときに、すぐにやる気を失ってしまう

特徴2 変化への対応力や学習意欲がない人

ビジネスの世界は常に変化しています。特にIT技術の進歩は目覚ましく、新しいツールやサービスが次々と登場します。このような変化に柔軟に対応し、常に新しい知識やスキルを学び続ける意欲がない人は、個人事業主として生き残ることは難しいでしょう。

新しいスキル習得をためらう

「今のスキルだけで十分」「新しいことを覚えるのは面倒」といった考えを持つ人は危険です。現状維持は、変化の速い現代においては相対的な後退を意味します。クライアントの要求も時代とともに変化し、より高度なスキルや新しい技術への対応が求められるようになります。学習を怠れば、徐々に仕事の依頼は減り、市場価値も低下していくでしょう。特に専門性が求められる職種では、継続的なスキルアップが生命線となります。

市場の変化についていけない

自分の専門分野だけでなく、関連する業界の動向や社会全体のトレンドにもアンテナを張っておく必要があります。市場のニーズがどこにあり、今後どのように変化していくのかを予測し、自身の事業戦略に活かしていく視点が求められます。古いビジネスモデルに固執したり、競合の動きを把握していなかったりすると、いつの間にか時代遅れとなり、顧客から選ばれなくなる可能性があります。

特徴3 責任感が乏しく他責思考の人

個人事業主は、事業に関するすべての責任を一人で負います。仕事の成果はもちろん、ミスやトラブルが発生した場合の対応もすべて自分自身で行わなければなりません。この「責任」を負う覚悟がない人は、個人事業主には向いていません。

失敗を他人のせいにする

仕事でミスをしたり、期待した成果が出なかったりした際に、「クライアントの指示が悪かった」「景気が悪いから仕方ない」「使っているツールが良くない」などと、原因を自分以外に求める他責思考の人は成長できません。個人事業主は、すべての結果を自分の行動の積み重ねとして受け止め、失敗から学び次に活かす姿勢が不可欠です。他責思考のままでは、いつまでも同じ失敗を繰り返し、周囲からの信頼も失ってしまいます。

契約や納期に対する意識が低い

クライアントとの間で交わした契約内容は絶対です。納期を守ることはもちろん、成果物の品質を担保することも個人事業主の重要な責任です。「少しくらい遅れても大丈夫だろう」「この程度の品質で問題ないだろう」といった甘い考えは、プロフェッショナルとして許されません。契約違反や納期遅延は、クライアントからの信用を著しく損ない、最悪の場合は損害賠償問題に発展する可能性もあります。

特徴4 コミュニケーション能力が不足している人

個人事業主は、営業活動から顧客との交渉、実際の業務における連携まで、あらゆる場面でコミュニケーション能力が問われます。たとえ高い専門スキルを持っていたとしても、コミュニケーションが円滑に取れなければ、仕事を得たり、継続したりすることは難しいでしょう。

顧客との交渉や関係構築が苦手

新規顧客の開拓、業務範囲や報酬の交渉、既存顧客との良好な関係維持など、個人事業主には主体的なコミュニケーションが不可欠です。自分のスキルや提供価値を的確に伝えられない、相手の要望を正確にヒアリングできない、価格交渉で不利な条件を飲んでしまう、といった状況では事業の安定は望めません。良好な人間関係を築き、信頼を得ることが、継続的な案件獲得に繋がります。

必要な情報伝達ができない

クライアントへの進捗報告、業務に関する確認事項、トラブル発生時の連絡など、「報告・連絡・相談（ホウレンソウ）」は個人事業主にとっても基本中の基本です。必要な情報を適切なタイミングで、分かりやすく伝える能力がなければ、誤解や認識の齟齬が生じ、プロジェクトの進行に支障をきたす可能性があります。また、専門用語を多用しすぎたり、逆に説明が不足していたりすると、相手に意図が伝わらず、無用なトラブルを引き起こす原因にもなります。

特徴5 資金管理やリスク管理の意識が低い人

個人事業主は、会社員のように毎月決まった給料が保証されているわけではありません。収入が不安定になる可能性も常にあり、事業資金の管理や将来のリスクへの備えが極めて重要になります。

どんぶり勘定で収支を把握していない

毎月の売上や経費をきちんと記録・管理せず、「なんとなく儲かっている気がする」「お金が足りなくなったら考えよう」といったどんぶり勘定では、事業の健全な継続は不可能です。正確な収支を把握していなければ、適切な価格設定もできず、資金繰りに窮する可能性が高まります。また、個人事業主は自分で確定申告を行い、所得税や住民税、消費税（該当する場合）、国民健康保険料、国民年金保険料などを納付する必要があります。これらの税金や社会保険料に関する知識が乏しく、計画的な準備ができていないと、後々大きな問題に直面することになります。

中小企業庁の資料などでも、フリーランスが安定して働くための環境整備の一環として、適正な価格交渉や契約の重要性が指摘されています。資金管理はその前提となる基本的なスキルです。

不測の事態への備えがない

個人事業主は、病気やケガで働けなくなった場合の収入保障や、仕事が急にキャンセルになった場合の生活費など、あらゆるリスクに自分で備える必要があります。会社員であれば有給休暇や傷病手当金、失業保険などがありますが、個人事業主には原則としてそのようなセーフティネットはありません（一部、民間の保険や共済制度でカバーできるものもあります）。「自分は大丈夫だろう」と楽観視し、何の備えもしていない状態は非常に危険です。事業が軌道に乗るまでは生活費を切り詰める、あるいは一定期間の生活費を貯蓄しておくなどの対策が求められます。

「個人事業主になれない人」の特徴に当てはまった場合の回避策

もし、あなたが前述した「個人事業主になれない人」の特徴にいくつか当てはまると感じても、決して諦める必要はありません。意識と行動を変えることで、これらの特徴は克服可能です。ここでは、それぞれの特徴に対する具体的な回避策をご紹介します。これらのステップを実践し、個人事業主としての道を切り拓きましょう。

自己管理能力を高めるための具体的なステップ

個人事業主にとって、自己管理能力は事業を継続させるための生命線です。時間、健康、モチベーションを自身でコントロールすることが求められます。以下のステップを参考に、自己管理能力を高めていきましょう。

これらのステップを習慣化することで、自己管理能力は着実に向上します。最初から完璧を目指さず、少しずつ取り組むことが大切です。

変化に対応し学び続けるための習慣づくり

市場や技術は常に変化しています。個人事業主として成功し続けるためには、変化への対応力と継続的な学習意欲が不可欠です。新しい情報やスキルを積極的に取り入れ、自身の事業をアップデートしていく姿勢を持ちましょう。

学び続けることは、時に困難を伴うかもしれませんが、自身の市場価値を高め、事業の可能性を広げるための投資と捉えましょう。

責任感を養い主体的に行動する意識改革

個人事業主は、事業の全責任を自身で負います。他責にせず、あらゆる結果を自分の行動の成果として受け止める強い責任感が求められます。主体的に行動し、問題を解決していく力を養いましょう。

以下の点を意識して行動することで、責任感は育まれます。

• 当事者意識を持つ：事業で起こる全てのことを「自分事」として捉え、問題解決に積極的に取り組みましょう。言い訳を探すのではなく、どうすれば改善できるかを常に考える姿勢が重要です。
• 約束と納期を厳守する：顧客や取引先との約束、特に契約内容や納期は必ず守りましょう。信頼関係の基本であり、事業継続の生命線です。万が一、守れない可能性がある場合は、早めに誠意をもって連絡し、代替案を提示するなどの対応が必要です。
• 失敗から学び、次に活かす：誰にでも失敗はあります。重要なのは、失敗を他人のせいにせず、原因を分析し、次に活かすことです。失敗は成長の機会と捉え、改善点を見つけ出す前向きな姿勢を持ちましょう。
• 自己決定の意識を高める：事業の方向性や日々の業務について、他者に判断を委ねるのではなく、自分で考え、決定する習慣をつけましょう。その決定に責任を持つことで、主体性が養われます。

責任感と主体性は、日々の積み重ねによって強化されます。小さなことからでも「自分で決めて行動し、その結果に責任を持つ」という経験を繰り返すことが大切です。

コミュニケーションスキルを向上させるトレーニング

顧客獲得、取引先との交渉、協力者との連携など、個人事業主の仕事はコミュニケーションの連続です。円滑な人間関係を築き、ビジネスをスムーズに進めるためには、高いコミュニケーションスキルが不可欠です。意識的なトレーニングでスキルアップを目指しましょう。

コミュニケーションスキルは、実践を通じて磨かれます。異業種交流会やセミナーなどに積極的に参加し、様々な人と話す機会を増やすのも効果的です。また、相手に不快感を与えないビジネスマナーも習得しておきましょう。

資金計画とリスク管理の意識を理解する

個人事業主は、会社員のように毎月決まった給与が保証されているわけではありません。事業の収支を正確に把握し、将来を見据えた資金計画を立てること、そして不測の事態に備えるリスク管理は、事業を安定的に継続させるために極めて重要です。

資金管理とリスク管理の意識を高めるために、以下の点を理解し、実践しましょう。

• 収支管理の徹底と見える化： 日々の収入と支出を正確に記録し、どんぶり勘定を避けましょう。会計ソフト（例：freee会計など）を導入すると、効率的に管理できます。定期的に収支状況を確認し、事業の健康状態を把握することが大切です。
• 事業計画と予算策定： 現実的な売上目標と経費の見積もりに基づいた事業計画を立て、それに基づいた予算を策定しましょう。月次や四半期ごとに予実管理（予算と実績の比較分析）を行い、計画との差異があれば原因を究明し、対策を講じます。
• 生活費と事業資金の分離： 個人事業主は、個人の生活費と事業の経費が混同しがちです。事業用の銀行口座とクレジットカードを用意し、明確に区別して管理しましょう。これにより、経費の計上が容易になり、税務調査の際にもスムーズに対応できます。
• 税金や社会保険料の知識習得と準備： 所得税、住民税、消費税（該当する場合）、国民健康保険料、国民年金保険料など、個人事業主が支払うべき税金や社会保険料について理解し、納税資金を計画的に準備しておく必要があります。確定申告の知識も必須です。
• リスクの洗い出しと対策： 収入の不安定化、病気やケガによる就業不能、取引先の倒産、自然災害など、事業継続を脅かす可能性のあるリスクを洗い出し、それぞれに対する備えをしておきましょう。具体的には、十分な運転資金の確保、所得補償保険や賠償責任保険への加入、契約書の内容確認などが挙げられます。
• 専門家への相談： 資金計画や税務、法務など、専門的な知識が必要な場合は、税理士や中小企業診断士、弁護士などの専門家に相談することを検討しましょう。適切なアドバイスを受けることで、リスクを軽減し、健全な事業運営につながります。

資金繰りが厳しくなってから慌てるのではなく、常に先を見越して計画的に資金を管理し、リスクに備えることが、個人事業主として長く活動していくための鍵となります。

それでも個人事業主を目指したいあなたへ 成功への道筋

「個人事業主になれない人の特徴」にいくつか当てはまってしまったとしても、それで個人事業主への道を諦める必要は全くありません。大切なのは、現状を正しく認識し、課題を克服するための具体的な行動を起こすことです。ここでは、それでも個人事業主を目指したいと強く願うあなたへ、成功への具体的な道筋を3つのステップでご紹介します。これらのステップを踏むことで、着実に個人事業主としての道を切り拓くことができるでしょう。

まずは副業から小さく始めてみる

いきなり会社を辞めて独立するのは、大きなリスクを伴います。特に、これまでに挙げたような「個人事業主になれない人の特徴」に心当たりがある場合はなおさらです。そこで、まずは現在の仕事を続けながら、副業として小さくビジネスを始めてみることを強くおすすめします。これは、いわゆる「スモールスタート」と呼ばれるアプローチです。

副業であれば、収入が不安定な初期段階でも生活の基盤を維持できますし、実際に事業を運営する中で、自分に足りないスキルや改善点が見えてきます。時間管理、顧客対応、経費計算、集客方法など、個人事業主として必要な経験を、低リスクで実践的に学ぶ絶好の機会となるでしょう。また、副業で得た収入は、将来の独立資金に充てることも可能です。

副業を始める際のポイント

• 本業に支障が出ない範囲で：勤務先の就業規則（副業規定）を必ず確認し、時間や体力面で無理のない計画を立てましょう。本業をおろそかにしては元も子もありません。
• スモールスタートを意識する：初期投資を極力抑え、まずは小さく始めて徐々に規模を拡大していくのが賢明です。在庫を抱えすぎない、高価な機材はレンタルするなど工夫しましょう。
• 経験やスキルを活かせる分野を選ぶ：これまでの職務経験や趣味で培ったスキルを活かせる分野であれば、比較的スムーズに事業を軌道に乗せやすくなります。
• 確定申告を忘れずに：副業での所得（収入から経費を引いた額）が年間20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要です。開業届の提出や青色申告の検討も視野に入れ、会計ソフトなどを活用して、帳簿付けの習慣も身につけましょう。

例えば、Webライティング、プログラミング、Webデザイン、オンラインでの語学講師やコンサルティング、ハンドメイド作品のECサイト販売など、インターネットを活用すれば初期費用を抑えて始められる副業は数多くあります。自分の強みや市場のニーズを考慮して、最適な副業を選びましょう。

専門家や支援機関を活用する 日本政策金融公庫や商工会議所など

個人事業主として独り立ちするには、事業計画の策定、資金調達、経理・税務処理、法務関連の知識など、多岐にわたる知識やスキルが求められます。これらすべてを一人で完璧にこなすのは非常に困難であり、時間もかかります。そこで、積極的に専門家や公的な支援機関の力を借りることを検討しましょう。

これらの機関は、個人事業主や中小企業の開業・経営をサポートするための様々な支援メニューを用意しています。相談は無料の場合も多く、専門的なアドバイスを受けることで、事業の方向性を見誤るリスクを減らし、スムーズな事業開始・運営につなげることができます。また、融資制度や補助金・助成金などの情報も得られる可能性があります。

主な支援機関とサポート内容

これらの機関に相談する際は、事前に自分の事業内容、現状の課題、相談したいことを明確に整理しておくと、より具体的で的確なアドバイスを得やすくなります。遠慮せずに、積極的にこれらのリソースを活用し、事業の成功確率を高めましょう。

なお、日本政策金融公庫との最適な付き合い方をまとめた記事がこちらです。ご参照ください。

• 創業時に付き合いを考えるべき日本政策金融公庫とは？

同じ志を持つ仲間を見つける

個人事業主は、会社員とは異なり、基本的に一人で意思決定し、仕事を進めることになります。そのため、孤独感を感じたり、モチベーションの維持が難しくなったりすることも少なくありません。特に事業が思うように進まない時や困難に直面した時には、精神的な支えが重要になります。そんな時、同じように個人事業主として頑張っている仲間や、これから目指そうとしている仲間がいると、大きな心の支えになります。

仲間と情報交換をしたり、成功事例や失敗談を共有したり、悩みを相談し合ったりすることで、新たな気づきや解決策が見つかることもあります。また、お互いに刺激し合い、切磋琢磨することで、事業成長の原動力にもなるでしょう。時には、異業種の仲間との交流から新しいビジネスアイデアが生まれることもあります。

仲間を見つける方法の例

• 起業家向けのセミナーや交流会、ワークショップに参加する：同じ目的意識を持った人が集まるため、自然と話が合いやすく、質の高い情報交換が期待できます。
• オンラインコミュニティやSNSグループ（Facebookグループ、Slackコミュニティなど）に参加する：地域を問わず、様々な業種の人と繋がることができます。特定のテーマに特化したコミュニティも多く存在します。
• コワーキングスペースやシェアオフィスを利用する：同じ空間で仕事をする個人事業主やフリーランスと日常的に顔を合わせることで、自然な形で交流が生まれることがあります。イベントが開催される施設もあります。
• 地域の商工会議所や商工会が主催する青年部などの活動に参加する：地元の起業家とのネットワークを築き、地域に根差したビジネス展開に役立つこともあります。
• インキュベーション施設やアクセラレータープログラムを利用する：創業初期の起業家を支援する施設やプログラムでは、メンターだけでなく、同じステージの起業家仲間と出会えます。

ただし、仲間との関係は、お互いを尊重し、建設的でポジティブな関係を築くことが大切です。情報交換は積極的に行いつつも、他者に依存しすぎたり、他人の成功を妬んだりすることなく、健全なコミュニケーションを心がけましょう。良きライバルであり、良き協力者となれるような仲間を見つけることが、個人事業主としての道を長く、そして豊かに歩むための鍵となります。時には、事業で連携できるビジネスパートナーが見つかることもあるでしょう。

まとめ

個人事業主になれない人の特徴を知ることは、自分自身を見つめ直し、適切な対策を講じる第一歩です。本記事で挙げた5つの特徴に心当たりがあっても、悲観する必要はありません。それぞれの回避策を意識し行動することで、個人事業主として成功する道は開けます。不安を乗り越え、必要なスキルとマインドセットを身につけ、あなたらしい働き方を実現しましょう。

税理士　山本聡一郎

山本聡一郎税理士事務所　代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦（伏見駅から徒歩３分）にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。

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