在宅ワークなら自宅の家具・家電は経費?税理士が教える家事按分の正解とNG

個人事業主やフリーランスにとって、自宅は「オフィス」でもあります。
最近では在宅ワークだけで仕事が完結する方も珍しくありません。
そこで気になるのが、自宅で購入したデスクやエアコン、空気清浄機などは経費にできるのか?という点です。
在宅ワークの場合、「家賃や電気代は家事按分できる」というのは共通認識かと思います。

結論から言えば、「仕事に必要であること」を客観的に証明できれば経費になります。
ただし、何でもかんでも按分すればOKというわけではありません。

1. 経費に「できるもの」と「できないもの」の選別

判断の基準は、そのアイテムが「仕事の遂行に直接関連しているか」です。

① 経費にできる可能性が高い家具・家電

家具: ワークデスク、オフィスチェア、資料保管用の棚など。

家電: 仕事用のパソコン、モニター、プリンター、撮影用ライトなど。

空調: 仕事部屋に設置したエアコンや暖房器具。

② 経費にするのが難しい家具・家電(家事按分もNGな例)

家賃や電気代を按分しているからといって、家の中の物すべてが按分対象になるわけではありません。

家事用家電: 洗濯機、冷蔵庫、電子レンジなどは、生活に不可欠なものであり、仕事に直接必要とは説明しにくいため、原則として経費(家事按分)は認められません。

娯楽用品: リビングのテレビやゲーム機、マッサージチェアなど。

寝具: 「仕事で疲れるから良いベッドを買う」というのは個人の健康管理の範囲とみなされます。

家具や家電も、家賃みたいに家事按分は可能か?

家具や家電の家事按分は理論上は可能ですが、実務では「使い分け」が重要です。

家賃や光熱費と違うのは、「100%仕事専用」と言い切りやすいアイテムが多いという点です。

「按分」して計上すべきもの 

1台のパソコンやタブレットを、日中は仕事、夜はプライベートの動画視聴などで兼用している場合。

この場合は、使用時間の割合(例:仕事7割、私用3割)で按分します。

「100%仕事用」として計上すべきもの

仕事部屋に設置したワークデスクやオフィスチェアなど。

これらは「仕事をするために購入したもの」であり、仕事をしていない時間にわざわざその椅子に座ってくつろぐことは考えにくいため、中途半端に按分せず、100%仕事用として計上するのが自然です。

結論として、家具や家電にも家事按分の概念はあります。

ただし、実務上は按分して計上するよりも仕事専用として100%計上する方が、税務署への説得力が高いという特徴があります。

◼︎山さんの補足:金額に注意!
1つ10万円を超える家具・家電を購入した場合、その年に一括で経費にはできず、減価償却(数年間に分けて経費にする)が必要になります。

ただし、青色申告なら40万円未満まで一括で経費にできる特例があるので、高価なオフィスチェアやPCを買う際は覚えておきましょう。

国税庁:No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示

国税庁:主な減価償却資産の耐用年数表

2. 税務調査で問われる「空間の独立性」

家事按分を正当化するために最も重要なのは、物理的に空間を分けることです。

税務署は、生活の場と仕事の場が混ざっている状態を非常に厳しく見ます。

① 理想は、仕事専用の部屋を作ること

物理的に生活空間と仕事空間を分けてしまうのが最も良いとされています。
その部屋の面積をベースに家賃や光熱費を按分すれば、税務署も納得するでしょう。

② ワンルームの場合は、分かりやすく明確に

ワンルームの場合は、誰が見ても分かるようにパーテーションで区切る、あるいは「このデスクの一角だけは仕事専用」と明確に分ける工夫が必要です。
生活のついでにダイニングテーブルで仕事をしているだけでは、「プライベートとの区別がついていない」と判断され、按分そのものを否定されるリスクがあります。

3. 家事按分のルール:納得感のある「根拠」を

100%仕事専用でない場合、全額を経費にすることはできません。
「仕事で使っている割合」を算出して計上します。

使用面積で分ける

家の総面積のうち、仕事部屋が占める割合が20%だから、家賃の20%を経費にする。

使用時間で分ける

1日のうち仕事をしている時間の割合で電気代や通信費を算出する。

職種別:家事按分の具体例と計算シミュレーション

出張カメラマン(移動と機材管理がメイン)

移動が多いため「車両関連」を厚めに、自宅は「機材保管場所」として計算するのが合理的です。

車両費(ガソリン・保険・税金・駐車場)

 根拠: 使用日数(週5日撮影に使用など)

 計算例:月の維持費合計が50,000円。

     週5日撮影、週2日プライベート利用の場合。
     50,000円 × 5日 ÷ 7日 = 約35,700円(按分率 約71%)

家賃・光熱費

 根拠: 機材保管スペース + 編集作業の面積

 計算例:家賃 100,000円(40㎡)

     撮影機材(防湿庫やバック紙)の保管と編集デスクで計6㎡を使用。

     100,000円 × 6㎡ ÷ 40㎡ = 15,000円(按分率 15%)

在宅ライター(自宅作業がメイン)

家賃や通信費は高く設定できますが、車の按分は「仕事で使った時だけ」に絞るのが安全です。

家賃・光熱費

 根拠: 仕事部屋の面積 + 仕事時間

 計算例:家賃 80,000円(30㎡)。

     仕事部屋が6㎡。

     80,000円 × 6㎡ ÷ 30㎡ = 16,000円(按分率 20%)

     電気代: 月10,000円。1日10時間仕事(週5日)。

     10,000円 × 10時間/24時間 × 5日/7日 = 約2,900円(按分率 約29%)

通信費(ネット・スマホ)

 根拠: 仕事での使用時間

 計算例:月の通信費12,000円。起きている時間の半分はリサーチや入稿作業。

     12,000円 × 50% = 6,000円(按分率 50%)

車両費

 根拠: 取材や打ち合わせの走行距離

 計算例:月のガソリン代10,000円。総走行距離500kmのうち、取材先への往復が50km。

     10,000円 × 50km ÷ 500km = 1,000円(按分率 10%)

◼︎山さんのワンポイントアドバイス:税務署を納得させる「一行」

確定申告書や帳簿の摘要欄には、単に「家賃」と書くのではなく、「家賃(面積按分20%)」や「ガソリン代(走行距離按分10%)」と、計算の根拠を一言添えておきましょう。

これだけで「ちゃんと計算しているな」という印象を与え、税務調査の呼び出しリスクを下げることができます!

まとめ:領収書と一緒に「現場の写真」を残そう

税務調査で「これ、本当に仕事で使っていますか?」と聞かれた際、最も強い証拠になるのは、「実際にそのデスクや空間を使って仕事をしている風景の写真」です。

物理的に分けられた仕事空間を見せることができれば、説得力は一気に高まります。

当事務所では、あなたの職種や住環境に合わせた最適な按分比率のアドバイスを行っています。「これは経費になる?」と迷ったら、お気軽にご相談ください。

山本聡一郎税理士事務所でもYouTube発信を行なっております。 

ぜひチャンネルをご覧ください。 

【創業支援】税理士の山さん https://www.youtube.com/channel/UCVJNYZOHxKC6axaCeq8GxZQ

 

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