いま、巷ではTBSドラマの「半沢直樹」が注目されています。ドラマ内の中でもよく出てくるキーワードの「メインバンク」。個人事業者、法人に関わらず事業を行う上で、必ず金融機関とお付き合いをしていくこととなります。
そこで、考えていく必要があるのが、事業を行う上でどこの金融機関と取引をしていくかです。近くにあるからと金融機関を安易に選んでしまうと、今後、事業を拡大していく、突然の資金が必要となったなど大きな転換期において、支障をきたす可能性があります。今回は創業時に考えるメインバンクの選び方を紹介します。
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知名度だけで金融機関を選んではいけない
事業を行っていくうえで重要なのがどこの金融機関とお付合いをしていくかです。多くの方が近いからという理由で、「半沢直樹」のモデルとなっているメガバンクをメインの金融機関にしているのではないでしょうか?
この安易な考えにより金融機関を選んでしまうことは、とても残念な考え方といえます。なぜなら、戦略的に金融機関を選ぶことで将来、事業を拡大する際に必要となる融資を受けるうえでとても有利に働く可能性があるからです。
例えば、近いからという理由でメガバンクを主の金融機関として選んだとしましょう。たしかに全国にATMがあることは利便性を考えるといいかもしれません。しかし、ドラマからもわかるようにメインバンクは何億という金額を常に動かしている状況です。中小企業の多くは資本金が1千万円以下の状況で創業するわけですから、メインバンクにとっては、創業したての中小企業は残念ながら興味がない可能性が高いです。もしかすると、新設法人の場合は信用力の問題で銀行口座すら作らせてもらえない可能性があります。では、創業時に金融機関を選ぶならどこがいいのでしょうか?
創業時に金融機関を選ぶなら信用金庫を検討しよう
創業時に金融機関を選ぶなら信用金庫をまず検討をしていきましょう。ここで気になるのが、信用金庫と地方銀行やメガバンクは何が違うのか?信用金庫は「信用金庫法」、地方銀行などは「銀行法」と管理される法が違うのも一つですが、取引する対象や業務も大きく違ってきます。
信用金庫法では信用金庫が所在する地域に住む人、仕事をしている人、事業所だけが会員として信用金庫を利用することができます。地方銀行などは、銀行法に基づきそのような制約はなく、どんな人でも利用可能となります。
また、信用金庫は非営利団体であり、事業により生じた利益は地域経済の発展のために使われます。一方で、地方銀行などは株式会社であるため、利益追求を目的として設立しています。このように考えると創業時には、地方銀行などよりも信用金庫の方が味方になってくれると考えられます。
信用金庫は地域の発展が目的ですので、その地域にて起業したばかりでもメガバンク・地方銀行に比べ親身になって対応をしてくれます。万が一、今回のような新型コロナウイルスの影響などにより業績が大きく悪化したとしても、信用金庫が融資などで応援をしてくれるはずです。
なお、地方銀行は、メガバンクと信用金庫の中間の立ち位置となります。信用金庫ほどではありませんが地域の発展に力を入れている地方銀行もあります。事業拡大の更なるステージへの足掛けとして利用していくのも手でしょう。
日本政策金融公庫からの融資の着金は信用金庫の口座にしよう
創業をするにあたって、融資を受ける際に真っ先に利用すべき金融機関は日本政策金融公庫となります。この日本政策金融公庫は政府系の金融機関で中小企業の創業・発展のため、無担保無保証という有利な条件で貸出をしてくれます。
この日本政策金融公庫は貸出すことがメインで独自で口座を持つことはできません。必ず、他の金融機関に貸出資金を着金させる必要があります。その着金先は信用金庫の口座にしましょう。
なぜなら、信用金庫の口座に着金をさせることで、その企業が政府系の金融機関である日本政策金融公庫から信用された会社であると認識していただくことができます。
また、信用金庫に限らずですが、金融機関にとって自社の口座に顧客の資金がたくさんあることは経営の安全性などを踏まえて非常に喜ばしいことです。ですので、借入資金を入金してくれるだけで信用金庫は感謝してくれるでしょう。
さらに、その信用金庫の口座から日本政策金融公庫から借り入れた資金をちゃんと期限内に返済を見せることで、しっかりとした会社であるということをアピールすることもできます。
まとめ
創業して事業を継続して行っていく上では、資金力が重要となります。いくら毎年、利益を生み出していても、「黒字倒産」という言葉があるとおりに、資金を回収することができなければ、事業を継続することができません。
資金力をつけるためには金融機関との関わり方がとても重要になります。一度取引を開始してしまった金融機関から他の金融機関へメインバンクを変えていくことは大変苦労します。創業時だからこそ、あなたの事業をバックアップしてくれる金融機関を選んでいきましょう。
最後に山本聡一郎税理士事務所では、税務のみならず資金調達のサポートをさせて頂いております。創業時などの資金調達など是非ご相談ください。