中小企業のM&A、まず誰に相談するべき?

近年、中小企業の経営者の間で、事業承継や事業拡大の有効な手段としてM&A(Mergers and Acquisitions)への関心が高まっています。

しかし、M&Aに関心はありつつも、その複雑さから「何から手をつければいいのか全く分からない」と感じ、一歩踏み出せずにいる経営者の方も少なくありません。

M&Aは、企業の未来を大きく左右する重要な決断であり、成功のためには専門家のサポートが不可欠です。

今回は、M&Aの基本的な仕組みから、専門家のサポートを受けることで得られるメリットとデメリット、M&Aに潜む詐欺のリスク、そして最初に相談すべき相手について、税理士の視点から丁寧に解説します。

M&Aを検討し始めたばかりの経営者の方はもちろん、将来的な選択肢として考えている方も、ぜひこのコラムを参考に、M&Aへの理解を深めてください。

M&Aとは?企業の成長戦略と事業承継の選択肢

M&Aとは、Mergers(合併)Acquisitions(買収) の総称であり、企業や事業を統合・取得することで、経営資源を効率的に活用し、企業の成長を加速度的に進めるための戦略的な手法の一つです。

合併は、複数の企業が法的に一つの企業となることで、シナジー効果を生み出し、事業規模の拡大やコスト削減などを目指します。

一方、買収は、ある企業が他の企業の株式や事業の一部または全部を取得し、経営権を獲得することで、新たな市場への参入、技術やノウハウの獲得、組織力の強化などを図ります。

M&Aは、大企業だけでなく、中小企業にとっても有効な成長戦略となり得ます。

例えば、同業他社を買収することで、自社の事業規模を拡大し、市場占有率を高めることができます。

また、異業種の企業を買収することで、新規事業への参入をスムーズに進め、事業ポートフォリオを多様化することも可能です。

さらに、後継者不在に悩む中小企業にとっては、M&Aは事業を存続させ、従業員の雇用を守るための重要な選択肢となります。

第三者に事業を譲渡することで、長年培ってきた技術や顧客基盤を失うことなく、次世代へと引き継ぐことができるのです。

M&Aは、企業の成長戦略と事業承継の両面から、その重要性が増しています。

●併せて読みたい

中小企業向け|M&Aで新規事業を獲得するメリットとデメリット

後継者不足と資金調達問題の解決策:中小企業向け経営者保証不要の融資ガイド

M&Aに専門家の力を借りるメリット:成功への近道とリスク回避

M&Aは、そのプロセス全体を通して、法務、財務、税務、人事、労務、知的財産など、多岐にわたる専門知識が求められる、非常に複雑な取引です。

そのため、M&Aを成功に導くためには、各分野の専門家のサポートが不可欠と言っても過言ではありません。

専門家のサポートを受けることで、M&Aの成功率を大幅に高め、様々なリスクを回避することができます。

専門家のサポートを受けるメリット

専門家のサポートを受けるメリットは多岐にわたります。

まず、M&Aに精通した専門家は、手続きの流れや各段階における注意点、交渉のポイントなどを熟知しており、複雑なプロセスをスムーズに進めるための的確なアドバイスを提供してくれます。

また、M&Aには、契約内容の不備によるトラブル、デューデリジェンス(買収監査)の不足による買収後の問題発覚、さらには悪質なブローカーによる詐欺的な案件など、様々なリスクが潜んでいます。

専門家は、これらのリスクを事前に察知し、回避するための具体的な対策を講じてくれます。

交渉の場面においても、専門家は客観的な視点から、感情論に左右されない冷静な判断を促し、自社にとって有利な条件を引き出すための交渉戦略を立案し、実行をサポートしてくれます。

さらに、M&Aには、多くの書類作成や法的な手続きが必要となりますが、これらの煩雑な業務を専門家に任せることで、経営者は本来の業務に集中することができます。

専門家のサポートのデメリット

一方で、専門家のサポートを受けるデメリット としては、当然ながら費用が発生することが挙げられます。

M&Aの規模や依頼する専門家の種類によって費用は大きく異なりますが、決して安価ではありません。

また、専門家との連携には、情報共有や意思疎通のための一定のコミュニケーションコストが発生します。

しかし、これらのデメリットを考慮しても、M&Aの成功率を高め、潜在的なリスクを最小限に抑えるためには、専門家のサポートを受けるメリットは、費用や手間をはるかに上回ると言えるでしょう。

特に、M&Aの経験が少ない中小企業にとっては、専門家の知識と経験は、まさに成功への近道となり、予期せぬトラブルから企業を守るための重要な盾となるのです。

また、M&Aには、要件を満たせば利用できる補助金が存在し、専門家はこれらの情報を提供し、申請手続きをサポートしてくれる場合もあります。

補助金を活用することで、M&Aにかかる費用負担を軽減できる可能性もあります。

M&Aの相談は誰にするべき?それぞれの専門家の役割

M&Aの相談窓口はいくつかありますが、最初に相談する相手として有力なのは、税理士 です。

税理士に相談する

企業の財務状況を把握している

税理士は、日頃から企業の財務状況を把握しており、M&Aにおける企業の価値評価や税務面のリスクなどを的確に判断できます。

M&Aの初期段階から関与しやすい

顧問税理士であれば、M&Aの検討段階から気軽に相談に乗ってもらうことができます。

他の専門家との連携もスムーズ

必要に応じて、弁護士やM&A仲介業者などの他の専門家を紹介してくれる場合もあります。

もちろん、M&Aの目的や企業の状況によっては、他の専門家に最初に相談することも考えられます。

弁護士に相談する

法務面のリスクをチェックし、契約書の作成やリーガルアドバイスを提供します。

M&A仲介業者に相談する

買い手や売り手を探し、M&Aの交渉や手続きをサポートします。

金融機関に相談する

M&Aの資金調達に関するアドバイスや融資のサポートを行います。

しかし、M&Aの初期段階においては、まず自社の状況をよく理解している税理士に相談し、M&Aの可能性や進め方についてアドバイスを受けるのが、スムーズなスタートを切るための有効な手段と言えるでしょう。

●併せて読みたい

個人事業主・法人必見!失敗しない税理士の選び方7つのポイント

まとめ:M&Aは税理士にご相談ください

M&Aは、企業の成長戦略や、事業承継を実現するための非常に有効な手段となり得ますが、そのプロセスは複雑であり、専門的な知識と慎重な検討が不可欠です。

M&Aを検討し始めたら、決して独断で進めず、まずは信頼できる税理士に相談し、自社の財務状況の分析から、M&Aの可能性、そして具体的な進め方について、客観的なアドバイスを受けることを強くお勧めします。

税理士は、M&Aの初期段階から、お客様の立場に寄り添い、財務、税務の専門知識を活かして、最適なサポートを提供いたします。

M&Aに関する様々な疑問や不安を解消し、成功への第一歩を力強く踏み出すために、ぜひ当事務所にご相談ください。

●外部リンク

中小企業庁 事業承継

事業承継・M&A補助金

author avatar
税理士 山本聡一郎
山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。
無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

0120549514電話番号リンク 問い合わせバナー