インターネット環境が整備されたことで、パソコン1台あればビジネスができる時代になりました。それに伴い、場所に縛られない働き方をする「ノマドワーカー」が急増しています。
よくスターバックスなどのカフェで、パソコン作業をされている方を見かけます。フリーWi-Fiが使用できる・電源が使えるなど、ノマドワーカーが働きやすい環境が整備されているカフェが増えてきました。
今回のテーマは、ノマドワーカーのカフェ代についてです。
打ち合わせなど、2人以上でカフェを使った場合は、カフェ代を「会議費」として計上できます。
それでは、作業のために一人でカフェを利用した場合は、いかがでしょうか。経費として認められるのか、疑問を持たれている方は多くいらっしゃるかと思います。
そこで、今回の記事で「一人カフェ代が経費として計上できるか」「どこまでの範囲を経費に扱いできるか」についてお伝えしたいと思います。
ノマドワーカーに限らず、アポの合間にカフェで仕事をされる方、仕事でよくカフェを利用される方はぜひご参考にしていただければ幸いです。
このページの目次
仕事利用なら、一人カフェ代は会議費として計上できる
結論からお伝えしますと、仕事のためであれば「1人カフェ代」は経費にすることができます。
そもそも「経費」というものは、「事業で売り上げを作るために行なっている活動に関する費用」です。カフェでの作業が「売上を作るための活動」であれば、当然経費として認められるということです。
事務所がある場合でも、外出先でアポの合間の時間を有効活用するためにカフェで仕事をすることはあるかと思います。そのような場合も、もちろん経費として認められます。
カフェでの作業代は、「会議費」として仕訳処理します。「雑費」でも問題はありませんが、金額が多いと中身を疑われるため、日常的にカフェ利用をするのであれば「会議費」にされることをお勧めします。
※雑費の注意点については過去の記事で解説しています。
一人での食事代は経費にはできない
それでは、カフェで一人作業をしていて、そのまま食事をした場合はどうなるでしょう。こちらも同じくよくご質問いただきます。
仕事での一人カフェ代が経費として認められるなら、作業している合間に食事をしても、経費として認められるのではないか…と、思われるかもしれませんが、残念ながら食事代は経費として認められません。
一人カフェ代が経費として認められるのは「ドリンク代」だけです。なぜなら「食事」というのは仕事に関係なく、日常生活で誰もが必ずとるものだからです。
そのため、「2人以上の打ち合わせで、一緒に食事をとる」ということであれば、会議費として認められますが、1人で作業している際の食事代は、経費にすることはできません。
もしも、カフェでの作業中に「ついでに食事をした」場合は、ドリンク代だけを経費計上するようにしましょう。
スターバックスのフラペチーノは経費にできるか
それでは、カフェのスイーツはいかがでしょうか。
カフェで作業をするためにコーヒー(ジュースなどのドリンク)を注文した場合は「カフェの利用代金」として妥当だと言えます。
けれども、ケーキやパフェは嗜好品の要素が強く、仕事をするためのカフェ代とは言えません。(2人以上で、打ち合わせのためのカフェ利用であればスイーツも経費にできます。)
それでは、スターバックスのクリームがたっぷり乗ったフラペチーノの場合はいかがでしょう。これをドリンクと考えるか、スイーツと考えるか、意見は分かれるかと思います。多少クリームが乗っているだけのものはドリンクとして認められますが、あまりにトッピングが多いものは、一人作業の際は避けた方が良いでしょう。
「経費」として認められるかどうかは、最終的には税務署が判断することです。不安な方は、顧問税理士に確認されることをお勧めします。
余談ですが、国税庁が定めた指針に従って社内規定を設けることで、月3,500円までであれば食事代を会社の経費にすることができます。(個人負担分も有。)これに関しては、また別のコラムで解説したいと思います。
法人の場合、出張先の一人の食事代を経費にできる
少し話は逸れますが、出張先の食事代についても解説していきます。
食事代については、よく質問をいただきますので、ここで解決してしまいましょう。
出張先でも、一人でカフェ仕事をしたり、食事をすることがありますよね。これらの費用を経費にできるかどうかは、法人か個人かで違ってきます。(もちろん出張先で、顧客や取引先と会議・打ち合わせをした場合は、カフェ代も食事代も会議費・接待交際費として経費にできます。)
結論から言いますと、法人は「旅費規定」を設けていれば、出張先のカフェ代はもちろん、 1人の食事代も「出張の日当」に含めることで経費にすることができます。
けれども、個人事業主の場合はそれができません。個人事業主が出張旅費として認められるのは、現地までの交通に関する費用だけです。事業主本人には日当を出すことはできません。(従業員がいる場合は、従業員には日当を出すことができます。)そのため、個人事業主が食事代を経費にする場合は、関係者と一緒である必要があります。
出張にかかる費用の扱いは、法人・個人で違いがあるため、経費利用や仕訳の際は十分注意が必要です。頻繁に出張する場合は、旅費規定を設けておくことをお勧めします。
最後に 最終的に税務署が納得するかどうかが一番のポイント
ここまでで「仕事のためのカフェ利用であれば経費にできる・最低限のドリンク代であれば問題はない」とお伝えはしていますが、税務署に認めてもらえるかは、また別問題となります。
一人でのカフェ利用の回数があまりに多い場合、プライベート利用も含めていないか、疑われることもあります。また、自宅や事務所近くの店舗を利用するのであれば、「そこを利用しなければいけない正当な理由」を説明できるようにしておく必要があります。レシートの裏に利用目的・業務内容などメモしておくと、いざ税務調査が入った時に慌てずに済みます。(特別な理由がなければ、近所の一人カフェは避けた方が無難です。)
ノマドワーカーの上手な節税は、山本聡一郎税理士事務所にご相談ください
「税務調査」と聞くと恐ろしいイメージがありますが、税理士のサポートを受けていれば何も怖いことはありません。
なお、税務調査についてまとめた記事はこちらです。
間違った節税の知識は、税務署から指摘を受けるリスクがあります。場合によっては追徴課税の対象になることもありますので、安心して仕事をするためにも、早い段階でプロのサポートを受けるようにしましょう。
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