近年、働き方が多様化する中、フリーランスやサラリーマンでも不動産投資や資産運用、副業が当たり前になりつつありますよね。
このように、さまざまな形で収益を得る人が増えたことで、節税対策としてプライベートカンパニーの設立に注目が集まっています。
そこで今回は、プライベートカンパニーとは何なのか、本当に節税対策や資産運用に効果的なのかを解説していきます。
このページの目次
プライベートカンパニーとは何か?
プライベートカンパニーとは、「資産管理会社」や「個人が所有する会社」のことです。
ちなみに、英語でも「private company」という言葉はありますが、こちらは民間会社や非上場会社という意味で少々使い方が異なります。
また、一般的な会社と同様ではなく、不動産投資や資産運用、副業をしている人が節税対策の目的で設立する場合がほとんどです。
日本では所得税の税率が非常に高く、個人事業主の場合、最高税率が所得税+住民税で55%と、売上の半分以上を税金で持っていかれるケースも考えられます。
これではどれだけ利益を上げても残る金額は目に見えていますよね。そこで、次章ではプライベートカンパニーをさらに知ってもらうために、設立のメリットやデメリットを解説していきます。
なお、株式会社の設立の流れについて細かく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
プライベートカンパニー設立のメリット・デメリット
まず、主に考えられるメリット4つを以下でご紹介します。
①所得税より法人税の税率が低かった場合は節税対象になる
個人所得にかかる所得税は累進課税ですので、所得に応じて5~45%の税金を支払わなくてはなりません。
一方、法人税は非累進課税で税率は15~23.2%となっており、プライベートカンパニーの場合、所得が多い人ほど節税効果を期待できるでしょう。
②経費で落とせる範囲が広がる
副業をしている場合、家賃や広告宣伝費など個人事業主として経費で落とせる項目はありますが、プライベートカンパニーを設立することで経費に計上できる範囲が広がり、節税に効果的な場合があります。
例えば、役員報酬や退職金、福利厚生費などがそれにあたります。
なお、役員報酬の決め方について、さらに知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
③家族を役員にすることで所得を分散できる
例えば夫が事業主の場合、妻を役員にすれば夫婦で所得を分散でき、手取り額を増やすことが可能です。
また、給与所得控除を活用することで節税効果も期待できるでしょう。
④青色申告の場合、利益と損失を10年繰り越せる
事業によって生じた利益と損失を最大10年間繰り越すことが可能です。
利益と損失を相殺して計算することにより所得を抑制できるため、節税対策にも効果的です。
そしてここからは、デメリットについてご紹介します。
①設立に費用がかかる
設立するためのコストとして、少なくとも定款認証印紙代(4万円)、定款認証手数料(資本金100万円~300万未満の場合4万2000円、300万円以上の場合5万2000円)、登録免許税(15万円)などが必要になります。
さらに、定款や登記についての書類を法務局に提出しなければならず、複雑な手続きは専門家に任せるケースも多いです。
②所得や個人情報が知られる
プライベートカンパニーを設立すると、法人としての住所もしくは自宅の住所、氏名を登記することが必要になります。
これらの個人情報は会社の登記簿に記載されるため、請求されれば誰でも閲覧できる状態になるリスクを認識しておいてください。
③会社のお金を自由に使えない
個人事業主であれば、事業で得た利益を生活費の補填や旅行代金などに使えます。
その一方、プライベートカンパニーを設立した場合はこうした事業のお金を自由に使えなくなることに注意が必要です。
ちなみに会社の利益は役員報酬として支給すると、個人が自由に使うことが可能になるので、頭に入れておきましょう。
④決算手続きが複雑になる
個人事業主の場合は、決算時に確定申告のみで済みましたが、プライベートカンパニーを設立すると決算報告書と法人税の確定申告書類を作成しなくてはなりません。
これらの作業は複雑なうえ、労力もかかることを知っておく必要があります。
法人の決算書の作成においては、税理士にお願いすることが懸命です。税理士の探し方についてはこちらの記事がおすすめです。
節税や資産運用に効果的なポイントとは?
設立するには初期投資として20万円以上のコストがかかることが分かりましたが、長期的に考えると節税効果があるといえるでしょう。収入が高いほど節税効果が高くなるのもポイントです。
1年間に1000万円程度の所得が見込めるのであれば、ぜひプライベートカンパニーの設立を検討してみてください。