赤字でも払うの?今さら人に聞けない法人税を分かりやすく解説します

個人事業から法人にすると、法人税を納付しなくてはいけません。

「法人税という単語はなんとなく聞いたことがあるけれど、どんなものだったかな?」

「個人事業主の所得税と何が違うの?」

今回はそんな方に向けて、法人税の基本的なルールをお伝えしたいと思います。

特に、個人事業主から法人化を検討されている方や、法人化して1-2年の方にはとても参考になるのではないかと思っています。

1・法人税とは、法人(会社)に課される税金のことです

法人税の基本的な仕組み

まず、「法人税とは」何かを簡単に説明しましょう。

法人税とは、会社に対して課される税金のことです。個人事業主が支払う所得税と似ていますが、法人税は会社そのものに対して課税されます。
つまり、あなたの会社が経済活動を行えば、売上の一部を国に納める必要があるというわけです。

課税対象の法人とは

法人税の課税対象となる法人には、数多くの種類があります。
全ての所得に対して課税される「普通法人」「協同組合」のほか、収益事業から生じた所得にのみ課税される「公益法人」など、法人の種類によって違いがあるのです。

普通法人・・・株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、医療法人など

協同組合・・・農業協同組合、漁業協同組合、消費生活協同組合、信用金庫など

公益法人・・・社会医療法人、学校法人、公益社団(財団)法人、社会福祉法人、宗教法人、特定非営利活動法人(NPO法人)など

法人税の種類

法人税にはいくつかの種類があります。主なものには以下のようなものがあります。

  1. 法人税:法人の利益に対して課される税金。(個人の所得税と同じ)
  2. 法人住民税:法人が所在する都道府県や市町村に対して支払う税金。
  3. 法人事業税:法人の事業活動に対して課される税金。

損益計算書では、「法人税等」と表記される部分です。これらを合わせて「法人税」と呼ばれるのが一般的です。

法人税の納付時期と延滞税

法人税の申告と納付は、通常、事業年度終了後2か月以内に行う必要があります。これを忘れると延滞税や加算税が発生するため、しっかりと期限を守ることが重要です。

●国税庁 延滞税の計算方法

2・法人税の計算方法

計算方法の詳細

法人税の計算方法は以下の通りです。

  1. 利益の計算:まず、収益(売上)から経費(仕入れや人件費、その他の運営費用)を差し引いて、利益を計算します。
  1. 課税所得の計算:利益から税務上認められる各種の控除を差し引いて、課税所得を計算します。控除には、繰越欠損金や特別控除などがあります。
  1. 法人税の計算:課税所得に対して、適用される税率を掛け算して法人税額を算出します。

法人の利益は、全部で5つあります。

この5つの利益を正しく理解することも大切ですので、過去のコラムをこちらに紹介しておきます。

法人住民税と均等割

法人住民税には、所得割と均等割があります。
所得割は法人の所得に対して課される税金で、均等割は法人の資本金額に応じて固定的に課される税金です。

3・法人税に関する注意点

赤字でも、法人税を支払う必要がある

個人事業主の場合、確定申告をして赤字であれば税金の支払いは免除されていました。けれども、法人の場合は赤字でも法人住民税の均等割を支払う必要があります。これが法人化した際の大きな違いの一つです。

なお、愛知県名古屋市の場合は、最低でも令和6年度においては愛知県に21,000円、名古屋市に50,000円を納めることになります。なお、この金額は資本金等により変わります。

赤字が続いている法人の場合、これはかなりの痛手となりますので、法人化を検討する際は法人税の支払いも考慮することが大切です。

納付期限を過ぎると延滞税が加算される

法人税の申告と納付期限を守ることは非常に重要です。
期限を過ぎると、延滞税や加算税が発生します。延滞税は利率が高く、納付が遅れるほどに負担が大きくなっていきます。
計画的に準備を進め、期限内に正確に申告・納付するようにしましょう。

4・法人税を節税するには

ここでは誰もが関心を持つ、「節税」についてお伝えしていきます。

法人や事業に関する情報(コラム記事・YouTubeチャンネルなど)は数多くありますが、やはり「節税」をテーマにしたものは人気があります。

法人税を節税するための手段は様々ですが、合法的に行うことが大切です。

節税に関してはこちらでも過去に多くのコラム記事を発信してきましたので、ぜひ参考にしていただければと思います。

●過去コラム 「節税対策」のカテゴリー

5・銀行評価を高めたいのであれば、黒字にすることは必須

多くの方が、法人の節税に強い関心を持っており「法人税をできるだけ支払いたくない」と、節税テクニックを駆使して「意図的に」赤字にされる方も少なくありません。

けれども、今後事業を拡大することを考えているのであれば、「赤字にすること」はお勧めできません。

事業拡大には、自己資金ではとても賄えないような「まとまった資金」が必要です。

そのためには銀行融資を受ける必要がありますが、「赤字の会社」に融資する銀行はほとんどありません。

(十分な自己資金がある・創業5年以内の赤字である・明らかに一過性の赤字だとわかる場合を除く。)

資金調達のためには、銀行評価を高めておく必要があります。

「節税」は大切なことですが、会社の長期的な繁栄を目指すのであれば決算は「黒字」を目指していきましょう。

結論 法人税を正しく理解して、経営に活かしていきましょう

法人税は会社にとって重要な税金であり、その仕組みやルールを理解することは必須です。
法人税の計算方法やルールについてしっかりと把握し、正しく申告・納付することが重要です。

今回の解説で、少しでも法人税についての理解が深まったのではないでしょうか。

法人税に関する疑問や不安がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。

私、山本聡一郎もいつでもご相談をお受けしております。会社の健全な運営をサポートするために、正しい知識を持って行動しましょう!

あなたの会社がより健全に成長するお手伝いができれば幸いです。

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税理士 山本聡一郎
山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。
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