新型コロナウイルス感染症に端を発する緊急事態宣言の影響により、中小企業や個人事業主の売上や事業継続そのものに大きな影響を与えています。新型コロナウイルスの影響の出口が見えないなか、今後どのような経営をするべきなのか、資金繰りをどうすべきかなど頭を悩ませる経営者も多いのではないかと思います。
経済を取り巻く「ヒト」「モノ」「カネ」のうち、2つが回っていない中で、資金繰りが大きな課題になるのは明白です。金融機関は、企業の資金繰りが厳しくなってからは、企業融資に踏み込むのをためらいます。そのためにも、早期に現状を把握し、資金調達を行い、さらなる厳しい経済環境に万全の準備をすることが重要となります。
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新型コロナウイルスによる資金繰り対策の王道は特別融資
持続化給付金により個人事業主には最大100万円、法人には最大200万円が支給されていますが、事業を行う上では十分とは言えず、資金繰り改善までには至らないのではないでしょうか?そこで、資金繰り解決策の王道となるのが特別融資です。主な特別融資として主に3つあります。
① 民間金融機関による保証協会の保証付き融資
・セーフティネット保証融資4号(前年同月比、売上20%減)
突発的事由(今回の新型コロナウイルス含む)により経済の安定が難しい中小企業者への資金供給の円滑化を図るため、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務の100%を保証する制度です。
・セーフティネット保証融資5号(最近3か月間の売上高等が前年同期比5%減)
売上高などが減少している中小企業/小規模事業者の資金繰り支援措置として、信用保証協会が一般保証とは別枠で融資額の80%を保証する制度です。令和2年5月1日より一部例外業種を除く原則全業種の人が利用できるようになりました。
・危機関連保証制度(前年同月比、売上15%減)
危機等で実際に売上等が減少している中小企業者を支援するための措置です。
② 日本政策金融公庫
・新型コロナウイルス感染症特別貸付
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一時的な業況悪化を来たし、下記のいずれに該当する者が対象となります。
- 最近1ヶ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少した
- 業績3か月以上1年1ヶ月未満の場合等は、最近1ヶ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している場合
- 過去3か月(最近1ヶ月を含む)の平均売上高
- 令和元年12月の売上高
- 令和元年10月から12月の平均売上高
・マル経融資(小規模事業者経営改善資金)
商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者の商工業者が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で利用できる制度です。対象者は、新型コロナウイルス感染症の影響により、最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少している人となります
③ 商工組合中央金庫
日本政策金融公庫と同じく政府系金融機関である商工組合中央金庫でも、新型コロナウイルス感染症による影響を受け業況が悪化した事業者に対し、危機対応融資による資金繰り支援を実施しています。
新型コロナウイルス感染症を機に顧問税理士を見直すきっかけに
今回のコロナ禍のように、持続化給付金や特別融資の受給を受けようとしたとき、売上などの経理資料が求められます。普段から経理をキッチリとやっていない、または顧問税理士との関係性が薄いとなると受給に必要な書類を添付できないなどの支障がでます。新型コロナウイルスを機に経理体制の見直しを考えてみてはいかがでしょうか
実際に新型コロナウイルス感染症の有事をきっかけに顧問税理士の見直しを行った人が多くいるようです。その理由としては以下の通りです。
- 緊急事態宣言による業務体制により、連絡がつかないまたは対応が遅い
- 融資や給付金・助成金・補助金などの相談ができない
- コミュニケーションがとれない
特に今回のコロナ禍のような有事の中では、単に手続きをするだけでなく、融資や給付金・助成金・補助金に精通し、積極的にアドバイスや提案をしてくれるかが、企業経営をしていくうえで重要だと考える人も多かったと思います。
単に報酬が安いから、知り合いが紹介してくれたからとかの安易な理由で顧問税理士を選択していると有事の際に乗り越えられるかわかりません。新型コロナウイルスを機に顧問税理士の見直しを考えてみてください。