このページの目次
開業届を出す・出さないで悩まれている方へ
これから個人で事業や副業を始めようと考えられた方の中には「開業届をいつ出すか。」「そもそも開業届を出すべきか出さないべきか。」で悩まれている方も少なくないでしょう。
ここでお伝えしたいことは一つだけです。
開業届はすぐに出しましょう。
「本当は届けなくてはいけないことは分かっているけれど、メリット・デメリットがあるから迷っている。」
というお気持ちも分かります。
実際に、
・売上が少ないうちは開業届を出す必要はない
・開業届を出さなければ確定申告をしなくて良いので楽だ
・開業届を出したら夫の扶養を外れるので、出さない方が良い
という情報も多く、
開業届を出したくないと思われる方も多くいらっしゃることでしょう。
開業届はすぐに出しましょう
けれども税理士としては、
例え月の売上が2-3万円しかないとしても、この先本気で事業をやるのであれば開業届はすぐに出すことをお薦めします。
開業の届出をしないことでの罰則は特にありません。
しかし、決まりを守るべきというよりは、開業届をすぐに出す方が出さないよりもメリットが大きいため、すぐに届け出ることをお薦めしています。
今回は、開業届をすぐに出す5つのメリットをお伝えしていきます。
開業届をすぐに出す5つのメリット
- 開業届を出すことは一つのケジメであり、個人事業主である認識を持ち覚悟が決まる
- 補助金・助成金等が利用できるようになる
- 事業者向けのサービスが利用できる
- 開業届を出すことで、社会的に「事業者」と認められる
- 個人事業主になると青色申告控除が受けられる
・開業届を出すことは一つのケジメであり、個人事業主である認識を持ち覚悟が決まる
入学式・卒業式・入社式など、私たちは社会生活を営む間に数多くのセレモニーに参加してきました。
これらは「節目」ということで、気持ちを切り替える場としても必要とされています。
開業届を出すということで、同じような効果が期待できます。
税務署まで実際に足を運び、書類を記入します。
職員からは、「事業の代表者」として対応されますし、どんな事業をするのかなど、詳細を聞かれることでしょう。
開業届を出すことで個人事業主としての自覚が生まれ、自分自身の覚悟が決まるのです。
自分で事業を行いお金を稼ぐというのは、誰にとっても新しい挑戦です。
個人事業主の自覚を持って新しい気持ちで一歩を踏み出す為にも、開業届を出す機会を上手に活用していきましょう。
開業届はただの書類ですが、起業家としてのマインドセットとして一役を買ってくれることでしょう。マインドセットとして以下のサイトがおすすめです。
『仕事・人生・自分』 を変える学びのメディアLife and Mind+
コミュニケーション能力を上げたい方へ: 日本コミュニケーション能力認定協会
「NLPについて知りたい、 学びたい人のためのNLP学び方ガイド」
・ 補助金・助成金等が利用できるようになる
開業届を出せば、どんなに小規模であっても「事業」であることには変わりありません。
「事業」と認められれば、補助金・助成金が利用できたり、場合によっては融資が受けられるなど、資金繰りが有利になります。
「補助金・助成金なんて、自分のような小さなところは関係ない。」
そのように思われがちですが、規模は関係なく、事業計画書・必要書類を作成して採択されれば補助金の交付を受けることができます。
また、不定期に自治体が特別な補助金制度を打ち出すこともあります。
これらは主に中小企業や個人事業主を応援するためのものなので、開業届を出してさえいれば交付を受けることが可能です。
その際、条件として過去の確定申告書Bの提出を求められることがあります。開業したばかりの個人事業主は対象外となる場合もあります。
つまり、開業届は早めに出した方が資金繰りでも有利になるのです。
個人事業主向けの補助金でよく活用される「小規模事業者持続化補助金」
・事業者向けのサービスが利用できる
個人事業主には、会社員では利用できない様々なサービスがあります。
ここではお金に関する代表的なものを2つだけ紹介します。
個人事業主向けのクレジットカードと退職金積立制度です。
クレジットカードは個人向けよりも豊富なサービスが付随しているものが多く、利用しない手はありません。
ガソリン代が値引きされたり、ポイント還元率が高かったり、(カード会社によって違いはありますが)特典が多く、上手に活用すれば得することも多くあります。
また個人事業主の退職金積立ができる「小規模企業共済」というものがありますが、掛金が全額所得控除できるという最大のメリットがあります。
「将来の為に」と銀行に貯金したものは課税されますが、この共済を利用した積立の全額が非課税になるのは「個人事業主」にしか受けられない恩恵の一つです。
他にも個人事業主だからこそ利用できるサービスは数多くあり、これらを知れば知るほど開業届を早めに出すメリットを実感できるかと思います。
・開業届を出すことで、社会的に「事業者」と認められる
社会的に「事業者」であると認められることは、公的サービスを利用する上でとても重要です。
公的機関は、開業届を出していない個人事業主について「働いている」とみなしません。
つまりそれは、就労していることで利用できるはずの公的サービスが利用できないということです。
一番身近な例は、認可保育園や学童・放課後デイサービスの利用です。
就労証明の提出を求められるケースが多くありますが、個人事業主でない場合は提出ができません。
これは子育てをされている方にとって、非常に切実な問題です。
子育て中の主婦がフリーランスになる時に、開業届を出さないでやっていこうと考えられる方は多くいらっしゃいますが、このような形でデメリットを受けることになります。
「仕事時間が短いので、売上がほとんどない。事業として認められないのでは…。」
「売上額が少ないので書類を出すのが恥ずかしい。」
その辺りを気にされる方は多いですが、売上金額が少ないから事業として認められないということはありません。
個人事業主になると青色申告控除が受けられる
「開業届を出して個人事業主になると税金を取られる。出さなければ税金を支払わなくて良い。」
という情報もあるかも知れませんが、
どちらにしても、稼いだ金額に応じて、税金を納めなくてはいけません。
個人事業主が余分に税金を支払わなくてはいけないということもありません。
むしろ節税だけの視点で考えると、会社員やパート勤務よりも個人事業主の方が有利なのです。
開業届を出す時に、青色申告の申請をすれば青色申告の控除が受けられます。
青色申告の詳細やメリットについてはこちらの記事を参考にしてください。
これから事業を始められる方に伝えたい。青色申告と白色申告の特徴とメリット・デメリット
確かに確定申告は手間です。
けれども、事業をしていくのであれば、確定申告を含む、事業のお金の流れについてしっかり学んでおいた方が良いでしょう。
売上が少ないスタートのタイミングで学んでおけば、いざ仕事が増えて忙しくなった時にも余裕を持って対応することができます。
補足・開業届を出すと扶養を外れるのではと心配されている方へ
開業の届出を躊躇される理由の一つとして「扶養を外れてしまう」というものがあります。
しかし、ただ開業届を出すだけで扶養から外れることは滅多にありません。
基本的に個人事業主であっても所得が48万円を超えなければ扶養の範囲として認められます。
健康保険組合によって基準は様々で、個人事業主というだけで扶養を外れなくてはいけなくなることもあるため、事前に確認することは必要です。
けれども多くの場合は、年収が基準値を超えていないこと、事業が極めて小規模であること、これらが認められれば被扶養者になることはできます。
開業届を出して、個人事業主のメリットを存分に活かしましょう
ここまでで紹介した通り、開業届を出して社会的に「事業主」と認められることにはメリットがたくさんあります。
もちろん、お一人お一人置かれている状況は違います。
この記事を読まれた上で、「自分の場合はメリットよりもデメリットが大きいのではないか」と不安に感じられている場合は、一度税理士にご相談ください。
数多くの事業をサポートしてきた税理士目線で、
事業を始めるタイミングや、資金繰り、事業計画など、幅広い面でお役に立てるアドバイスが可能です。
個人事業・フリーランス・独立をご検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
You Tube「【創業支援】税理士の山さん」にて最新の税務・経営の情報発信
山本聡一郎税理士事務所では、ホームページにおけるコラムによる情報発信のみならず、2023年10月よりYou Tubeチャンネル【創業支援】税理士の山さんをスタートしております。
最新の税務はもちろん、経営など役にたつ情報を発信しておりますので、ぜひチャンネル登録のほどよろしくお願いいたします。