個人事業主にとって節税は重要な課題です。
本記事では、個人事業主の方が税務をおこなう上で押さえておきたい税金対策や節税のポイントについてご紹介します。
青色申告特別控除額として最大65万円の控除が増える青色申告や、経営セーフティ共済などの共済制度、iDeCoやつみたてNISAの活用、ふるさと納税などの寄付や、家賃や保険の支払い方法など、節税につながるさまざまな方法をご説明します。
これから節税対策を考えていきたいとう個人事業主の方は、ぜひ最後までご覧ください。
このページの目次
青色申告と必要経費の計上、確定申告で純損失の繰越しを活用
青色申告を行なって青色申告特別控除を適用しよう
青色申告への切り替えと必要経費の計上は、効果的な節税対策のポイントです。
個人事業主は、青色申告に切り替えることで最高65万円の青色申告特別控除を受けられるため、所得税や住民税の節税効果を得られます。
青色申告のためには複式簿記の利用が必要ですが、最近では使いやすい青色申告ソフトも多く提供されているので、経理などに詳しくない方はそうしたソフトを利用するのも良いでしょう。
会計ソフトについて深掘りしたい方はこちらの記事がおすすめです。
必要経費を適切に最大限に計上しよう
また、必要経費を正確に計上することも重要です。
必要経費を正確に計上すると事業所得が減らすことができるため、所得税や住民税、個人事業税などの節税につながります。
事業収入を得るための支出は必要経費に含まれますので、少額でも詳細に正確に計上するようにしましょう。
例えば、自宅が事業所の場合は、家賃や水道光熱費などの公共料金も必要経費として計上できます。
自宅が事業所の場合に活用できる経費の計上方法を家事按分(かじあんぶん)と言い、その費用の一例は次の通りです。
- 家賃
- 公共料金
- 通信費
- 固定資産
- 自動車関連費用
- 修理費
- 税金
青色専従者給与を利用して家族の給与も必要経費にしよう
青色申告者が従業員に支払う給与も、必要経費として計上できます。
その場合は、税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要です。
青色事業専従者の要件には、青色申告者と生計を共にする配偶者または親族であること や、対象年の12月31日において15歳以上であることなどがあります。
注意点として、配偶者を青色事業専従者にすると、配偶者控除が適用されません。
配偶者控除は38万円なので、専従者の給与が38万円以下であれば、配偶者控除を利用して所得金額を減らしたほうが良いでしょう。
青色専従者給与についてさらに知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
夫婦で一緒に自営業は節税になる?個人事業主が妻や家族を専従者にするメリットと注意点
過去の損失を繰越して節税をしよう
加えて、たとえ赤字であったとしても確定申告をして、純損失の繰越しをするのもおすすめです。
純損失の繰越しとは、事業所得がマイナスになった年に確定申告をすることで、最大3年間損失を繰り越せるという制度です。
例えば、2022年に100万円の赤字、2023年に200万円の黒字と仮定します。
この場合、200万円(黒字)−100万円(赤字)=100万円(所得)となり、黒字所得が300万円から100万円に減少します。
前年も青色申告をしている場合は、遡及して黒字所得を相殺でき、純損失の繰り戻しもできます。
起業したての頃は初期費用がかさみ、赤字になるケースも多いので青色申告を済ませておくと良いでしょう。
所得控除と少額減価償却資産の特例の活用
所得控除の活用と、「少額減価償却資産の特例」を活用するのも節税のポイントです。
所得控除の範囲を理解して、最大限に控除額を増やそう
所得控除には、基礎控除、社会保険料控除、医療費控除、配偶者控除、生命保険料控除などがありますが、申告しないと控除されません。
これらの控除を忘れずに申告することで、課税所得を減らし税金負担を軽減できます。
所得控除について知りたい方は以下の記事がおすすめです。
少額減価償却資産の特例を活用して節税
資産の減価償却の特例などを活用し、資産の減価償却によって固定資産を経費計上することも重要です。
なお、減価償却の基礎について知りたい方はこちらを確認してみてください
少額減価償却資産の特例とは、企業や個人事業主が所得税法に基づいて購入した一定の金額以下の固定資産を短期間で償却するための税制上の特典です。
一般的には、固定資産はその有用生命を考慮して数年または数十年にわたって減価償却されますが、少額減価償却資産の特例では、購入価格が一定の金額以下である場合は、その固定資産を特例的に短期間で償却できます。
少額減価償却資産の特例を活用することで、一括して減価償却をおこなうことができ、節税効果を得られるのです。
その他:前払いすることで大きく節税できることも
そのほかには、年間の家賃や生命保険料を一括支払いすることも節税になります。
なぜ年間の家賃や生命保険料の一括支払が節税になるのかというと、月払いの場合では家賃や保険料は、対象となる月までその年の経費として計上できないケースがあるからです。詳細は以下のコラムを参照してください。
生命保険料は、年払いにすると割安になることも覚えておくと良いでしょう。
小規模企業共済制度やふるさと納税の寄付金、iDeCoや積立NISAなどの活用
小規模企業共済・倒産防止共済(経営セーフティ共済)の活用
共済制度の活用も、節税に役立つ手段です。
個人事業主は、小規模企業共済制度や経営セーフティ共済、倒産に備える中小企業倒産防止共済などに加入すると、掛金が全額所得控除の対象になります。
これにより、将来の退職金を計画的に準備できるでしょう。
ふるさと納税を利用して美味しく節税しよう
自治体から返礼品を受け取れることで知られるふるさと納税では、寄付金の一部が所得税・住民税から全額控除されます。
ふるさと納税には、確定申告の手続きを省略できる「ワンストップ特例」がありますが、この特例は個人事業主は利用できませんので注意しましょう。
ideCoや積立NISAを利用して将来の老後に備えよう
また、iDeCoや積立NISAなども、節税手段として有効です。
私的年金制度のiDeCoでは、掛金の全額が所得控除になり自分で運用できるため、将来的に払った金額よりも多くの給付を受け取ることも期待できます。
小規模投資非課税制度のつみたてNISAでは、非課税投資枠で投資した利益は課税対象外で税金がかからないため、引かれるはずだった税金を再投資に充てられます。
100円からの少額投資ができ、自動買付による資産運用なので、資産運用の初心者の方でも気軽に始められるでしょう。
開業したらまずはお気軽にご相談ください
節税には青色申告への切り替えや必要経費の計上、所得控除や共済制度の活用、寄附やiDeCoなどの活用が有効です。
ただし、節税対策をおこなう際には、法律や税制の変更にも注意が必要です。
税制改正や法的な変更がある場合などは最新の情報を入手し、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
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