2024年から義務化!電子帳簿保存法に正しく対応する上で欠かせない 4つの保存要件とタイムスタンプ

前回のコラムでは電子帳簿保存法の概要と、違反した時の罰則をテーマに書かせていただきました。

今回は、2024年から義務化する電子帳簿保存について正しく行うために必要な知識をお伝えしていきます。

前回のコラムはこちら⇨ 対応済み?2024年から本格スタートする電子帳簿保存法について解説

電子帳簿保存法・データ保存4つの要件

電子帳簿保存法で定められたデータの保存は正しく行なってこそ意味があります。ここでは、保存の要件について説明していきます。

1.システム概要に関する書類の備え付け

これは、データ作成や保管ソフトに関するマニュアルのことを指します。ほとんどの場合は備わっているので問題はないかと思います。

2.見読可能装置の備え付け

保存したデータをすぐに確認できるように、パソコンやモニター等を準備しておく必要がありますが、これらは常備されているかと思いますので、特別気に留める必要はありません。

ここから先が、重要な部分です。

3.検索機能の確保

保管したデータを必要に応じてすぐに引き出せるように、下記項目ごとに検索できるようにしておく必要があります。

  • 取引年月日
  • 取引金額
  • 取引先

電子帳簿保存に対応する専用会計ソフトを導入して、そちらに保存をすることで簡単に対応可能です。

会計ソフトを使わない、または会計ソフトにそのような機能がない場合は、各種pdfファイルに検索できるように名前をつけて保管しても問題ありません。

その際は、保存先はクラウドがおすすめです。代表者・経理担当者のパソコン本体やUSBメモリ、ディスクなどのハード保存は避けるようにしましょう。保管期間は7年間です。長期の間にパソコンが故障しないという保証はありません。

「クラウドは信用できない」「データが消えるかもしれなくて怖い」という方は、メインをクラウドで、バックアップにハードを使って大切に保管しましょう。

ファイル名をつけて保管する場合は、2024年10月10日に「Aシステム株式会社」から受領した30万円の請求書であれば「20241010_Aシステム_300000_請求書.pdf」、2024年11月28日に「クリエイティブ」という免税事業者の個人事業主から受領した5万円の請求書であれば「20241128_クリエイティブ_50000_請求書_免税.pdf」というような形で保管しましょう。

自身が課税事業者の場合は、課税事業者・免税事業者についても分けるようにしましょう。

ファイル名の付け方は、その時々で変えてしまうと検索の機能を果たさないので、ルール化して統一するようにしましょう。

エクセルで一覧表を作って、リンクを貼ってすぐに検索できるようにしておくと良いでしょう。

保管先に検索機能がありすぐに該当するファイルを出すことができればそれでも問題ありませんが、一覧表があることで、情報管理が容易になります。

※売上高が5,000万円以下の小規模事業者の場合、税務署からのダウンロードの求めに応じることができるようにしておけば「検索機能の確保」は不要であると言われてます。けれども、検索機能を確保していない場合、ダウンロードを求められた際にすぐに対応できない恐れがあります。

自分自身でデータを確認する機会もあるかもしれませんので、必要な時にすぐに情報を引っ張り出せる状態にしておく方がおすすめです。また、決算時に税理士が確認する場合もあります。今後は税理士からデータ保管について「ファイル名をこのようにつけて欲しい」という要望があるかもしれません。電子帳簿保存法の対応については顧問税理士に相談するようにしましょう。

年間課税売上高が5,000万円以下の事業者については、これらの条件を満たす場合は、電子取引における検索要件は一切不要となりました。

  • タイムスタンプが付与され、訂正・削除に対する対応が済んでいる
  • 税務職員がデータのダウンロードを求めた際にすぐに対応可能である

さらに、
・出力書類を日付や取引先ごとに整理して保存する

という条件を満たす場合は、売上高に関わらず、全ての事業者が検索要件不要の対象となります。

つまり、取引先ごとにフォルダを作成して、日付だけ把握した上でファイルを保存していれば検索機能の確保は不要ということです。

けれども、要件を満たす必要がない場合でも、業務の効率化の視点からは対応した方が良いものもあります。電子帳簿保存法は、より顧問税理士との連携が求められますので、相談した上でベストな方法を取るようにしましょう。

4.データの真実性を担保する措置

保存したデータについては、「改ざんされておらず、そのデータが正しい」ことを証明する必要があります。

そのため、以下のいずれかの対応が求められます。

①タイムスタンプの利用

データ作成時または、受領した際にタイムスタンプを利用することで、「その時」にやり取りした紛れもない正しい書類であると証明することができます。タイムスタンプの付与期間は、最長約2か月と概ね7営業日以内と定められています。

②データの訂正・削除の履歴が残るまたは、訂正や削除ができないシステムの利用

データの内容を修正した際にそれが記録されるようになっている、または、データの修正ができないシステムでデータを保存することで、真実性を証明することが可能です。ただし、別途システム利用料がかかることと、この場合はデータ保存だけでなく、やり取りもシステムで行う必要があります。

③不当な訂正・削除の防止に関する事務処理規定を整備・運用する

自社で事務処理規定を作成します。作り方が分からないという場合は顧問税理士に相談しましょう。インターネットでも雛形はありますが、ざっくりとした内容なので、自社に合わせて作る必要があります。この事務処理規定を作る場合は顧問税理士のアドバイスをもらうようにしましょう。設定したら、もちろん規定を遵守することが必要です。

こちらは、スキャナ保存には対応していません。スキャナ保存は現時点では任意なので、スキャナ保存を行わない方針であれば、この③でしばらく対応することも可能です。

国税庁 電子帳簿保存法関係 参考資料(各種規程等のサンプル)

2024年から義務化される「電子帳簿保存法」に対応していきましょう

2回に分けて電子帳簿保存法の概要についてお伝えしてきました。コラムで書かせていただいている内容は最低限の情報です。「対策準備について具体的にどのようにすれば良いのかが分からない」「もっとしっかりした説明が聞きたい」そのような場合は、顧問税理士に確認するようにしてください。また、税理士契約をされていない場合は、ぜひ一度、山本聡一郎税理士事務所にご相談ください。

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