経理処理で仕訳作業をしていると、勘定科目の判断に迷うものがいくつも出てくると思います。その中でも「雑費かどうか」の判断に迷い、頭を抱えられている方も多いのではないでしょうか。
- これは雑費にして良いのだろうか…?
- よく分からないものは雑費にしてしまいたい!
- 「雑費」と「雑損失」って何が違うんだろう。
- 「消耗品」なのか「雑費」なのか、いつも迷う!
このようにお悩みの方は、「雑費」について正しい知識をつけることで、仕訳作業の時に迷わずに済みます。
今回は「雑費」について、仕訳時に迷わない明確な判断基準と注意点をお伝えしていきます。
このページの目次
雑費とは?判断基準と「消耗品」との違い
「雑費」とは、他の勘定科目に当てはまらないものを仕訳する時に使います。さらに、少額であり、なおかつ一時的なものであれば「雑費」に仕訳することが可能です。つまり、金額が大きいものは雑費にすることはできません。
「雑費なのか消耗品なのか、いつも迷う。」というお悩みを時々お聞きしますが、雑費と消耗品には大きな違いがあります。
「消耗品」とは、会社で消耗する全ての「物」を対象としています。
さらに細かく分類すると「事務用品」という勘定科目もありますが、特に設定していない場合は「消耗品」の仕訳で問題ありません。この辺りは事前にルール化しておくと混乱を防ぐことができます。
「雑費」と「消耗品」の区別については、「使用することで消耗される物」であるか、そうでないかで判断することができます。
例えば、これらは一般的には「雑費」に仕分けされます。
- 粗大ゴミの処分費(年に1度あるかないか)
- 臨時に発生した清掃費
- お守り代・お札代(元旦の時だけ)
- キャンセル料(常時発生しない)
これらは目に見えないサービスであり「使用することで消耗される物」ではないことが分かります。お守りやお札は「物」ではありますが、一般的なペンやコピー用紙・パソコン周辺機器と違い、「使用することで消耗される物」ではありません。
これらは一時的で少額であれば「雑費」として計上することが可能です。その際は必ず摘要欄に詳細を記録しておくようにしましょう。
雑費はいくらまで大丈夫?
「雑費」の増やしすぎには注意してください。経費全体の5%までにとどめておくようにしましょう。それよりも増えるようであれば、「雑費」の仕訳内容を見直してください。特定の経費が多いようであれば、新しく適切な勘定科目を作りそちらに仕訳する必要があります。※勘定科目を新しく設定する場合は、顧問税理士に相談するようにしましょう。
特に上限が定められているわけではありませんが、「雑費」はお金をどのように使ったかが分かりにくい勘定科目なので、雑費が多すぎると税務署から目をつけられやすくなります。可能な限り最小限に抑えるようにしましょう。
雑費が多いと、決算書を見ても経費の内訳が分かり辛くなります。勘定科目が分かるものについては、本来の科目で仕訳されることをお勧めします。
「雑費」は少ないに越したことはありませんが、あまり神経質になる必要もありません。「雑費」に仕訳する際は、摘要欄に詳細を記録しておくなど、税務調査が入っても問題ないようにしておきましょう。
なお、税務調査についてまとめた記事はこちらとなります。
「雑費」と「雑損失」の違いとは
よく「雑費」と「雑損失」の違いについてもご質問をいただきますが、実は2点の判断基準は驚くほど単純です。
- 雑費 = 事業で使う経費
- 雑損失 = 事業等は関係なく発生した損失
これだけなのです。
「事業等は関係なく発生した損」とは、例えば、災害で受けた被害や盗難・罰金・延滞金などが該当します。遭遇したくないものばかりですね。
このように雑費と雑損失には明確な違いがあります。これを機にぜひ覚えておいてください。
消費税区分に注意しましょう
雑費を計上する際、消費税区分に注意するようにしましょう。
取引には「課税取引」「不課税取引」「非課税取引」「免税取引」の4種類があります。雑費の多くが課税取引ですが、先ほど例に挙げた「お守り・お札」は不課税であるように中には消費税区分が違うものが入っている場合があります。雑費全てを一括で処理してしまわないように注意しましょう。
なお、クラウド会計などではレシートなどをスキャンすることにより、インボイス登録事業者の判別はもちろん、消費税の区分もしてくれます。従前の入力型の会計ソフトを利用の場合には、クラウド会計も検討してみましょう。
まとめ 雑費の判断基準と注意点
最後にまとめておきましょう。
仕訳の際に、どの勘定科目か迷ったら、下記の順番で判断して「雑費」に振り分けていきましょう。
①一時的なもの
②金額が安いもの
③物ではなく目に見えないサービスであるもの
④他の勘定科目にどうしても当てはまらないもの
雑費に仕訳をする際の注意点はこちらの5点です。
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- 雑費の割合は全体の5%までにとどめる
- 雑費に仕訳する際は、必ず摘要欄に詳細を入れる
- 特定の経費が増えるようなら、新たに勘定科目を設定する
- 消費税区分に注意する
- 分からない場合は顧問税理士に相談する
以上のことに注意すれば、迷わず正しく「雑費」に仕訳することができます。
今回紹介した内容をもとにして、経理の仕訳入力をサクサクと進めていってください。