合同会社と株式会社と個人事業主の税金の違いと節税ポイント

合同会社と株式会社の税制上の違いについて理解することは、適切な会社形態選択や節税対策に役立ちます。この記事では、各会社形態が負担する税金の種類や節税ポイントを詳しく解説します。

合同会社と株式会社と個人事業主の税金の種類

法人税と所得税の違い

合同会社と株式会社の双方において法人税が課されますが、個人事業主の場合には所得税が課されます。

その計算方法や節税のポイントに違いがあります。法人税は、企業がその事業活動によって得た利益に対して課される税金です。一方で所得税はその個人の事業における利益や給与による所得に課される税金です。

まず、合同会社は、法人税の計算において、利益によって税率が異なります。具体的な税率は以下の通りです。

区分 課税される所得金額 税率

普通法人

資本金等が1億円以下の法人

年800万円以下の部分 15%
年800万円超の部分 23.2%

一方で個人事業主の場合は以下の通りとなります。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

国税庁HP No.2260 所得税率 参照

以上の税率を踏まえると、所得が900万円を超えるか超えないかで法人税と所得税の税率が逆転することがわかります。

ただし、法人の場合には、法人事業税や法人県民税、法人市民税も考慮する必要があり、一方で、個人事業主の場合には、個人事業税や住民税も考慮して検討する必要があります。

また、合同会社は、株式会社に比べて、法人税の申告方法が簡素化されている場合もあります。合同会社は、株式会社と比べて、設立手続きが簡素化されているため、法人税の申告手続きも簡素化されている場合があります。ただし、合同会社の申告方法が簡素化されている場合でも、税務申告の義務は免除されません。なお、個人の所得税はさらに申告がシンプルなものとなります。

さらに、合同会社は、株式会社に比べて、税務上の優遇措置を受けられる場合があります。合同会社は、株式会社に比べて、設立費用が低く抑えられるため、税務上の優遇措置を受けられる場合があります。ただし、税務上の優遇措置は、会社設立時の状況や事業内容によって異なります。

このように、合同会社と株式会社では、法人税の計算方法や申告方法、税務上の優遇措置などに違いがあります。そのため、会社設立前に、それぞれの会社形態の税務上の特徴を理解しておくことが重要です。

初期費用と設立後の維持費

設立にかかる費用の比較

  株式会社 合同会社
定款の収入印紙代

4万円(紙)

※電子定款の場合 0円

0円
定款の認証手数料

資本金100万円未満:3万円

資本金100万〜300万円未満:4万円

資本金300万円以上:5万円

0円
定款の謄本交付手数料 2,000円 0円
登録免許税

15万円または資本金✖️0.7%

のどちらか高い方

6万円または資本金✖️0.7%

のどちらか高い方

 実印の作成や各種証明書

の発行手数料の実費

約1万円 約1万円
合計 約23万2,000円 7万円

合同会社と株式会社の設立費用は、大きく異なります。合同会社は、株式会社に比べて、設立手続きが簡素化されているため、設立費用が低く抑えられます。

設立費用には、登記費用、司法書士費用、印紙税などが含まれます。合同会社は、株式会社に比べて、登記費用や司法書士費用が低く抑えられます。また、合同会社は、株式会社に比べて、印紙税の負担も軽くなります。

このように、合同会社は、株式会社に比べて、設立費用が大幅に低く抑えられます。そのため、創業資金が限られている場合や、設立費用を抑えたい場合には、合同会社を選択することが有効です。

設立後に必要となる維持費

維持費については合同会社や株式会社の会社組織により経費にできるかできないなどの差はありません。ここでいう維持費には、一般管理費や税理士費用、会計ソフト費用、事務所賃料なども含まれます。

一方で、個人事業主と会社では、維持費が大きく異なることがあります。その代表格が経営者自分自身の役員報酬が、法人格の場合には経費になる一方で、個人事業主においては経費にはなりません。

また、生命保険も法人契約であれば、内容次第により経費化することが可能となります。

役員報酬についてさらに知りたい方はこちらの記事がおすすめです。

節税効果の違い

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給与所得控除の適用

上述の通りに個人事業主の場合、自分自身の給与を経費化することができません。一方で、合同会社や株式会社では、役員報酬にすることにより給与所得控除を活用することで節税効果を高めることができます。

給与所得控除は、会社員が会社から給与を受け取る際に、その給与から一定額を控除できる制度です。給与所得控除は、会社員が会社から給与を受け取る際に、その給与から一定額を控除できる制度です。

なお、合同会社と株式会社では、給与所得控除の適用方法に違いはありません。どちらも、会社員が会社から給与を受け取る際に、その給与から一定額を控除することができます。

給与所得控除の金額は、扶養家族の数によって異なります。扶養家族が多いほど、給与所得控除の金額は大きくなります。

給与所得控除は、会社員にとって、大きな節税効果をもたらす制度です。そのため、会社員は、給与所得控除を積極的に活用することで、税金を節約することができます。

赤字繰越の取り扱い

個人事業主や合同会社、株式会社において赤字繰越制度を利用できますが、その年数や条件に差があります。

赤字繰越制度は、企業が事業活動によって赤字が発生した場合、その赤字を翌年度以降に繰り越して、利益と相殺することができる制度です。赤字繰越制度は、企業が事業活動によって赤字が発生した場合、その赤字を翌年度以降に繰り越して、利益と相殺することができる制度です。

個人事業主と合同会社または株式会社では、赤字繰越制度の適用方法に違いがあります。合同会社や株式会社は、赤字を最大で10年間繰り越すことができます。一方、個人事業主の場合は、赤字を最大で3年間繰り越すことができます。

赤字繰越制度は、企業にとって、大きな節税効果をもたらす制度です。そのため、企業は、赤字繰越制度を積極的に活用することで、税金を節約することができます。

消費税の納税義務

消費税は、企業が商品やサービスを販売する際に、その販売価格に課される税金です。消費税は、企業が商品やサービスを販売する際に、その販売価格に課される税金です。

個人事業主や合同会社や株式会社では、細かな違いはありますが、消費税の納税義務の考え方に差はありません。原則は、個人事業主、株式会社、合同会社において設立後2年間は、消費税の納税義務が免除されます。

ただし、設立時からインボイス登録をする場合には、消費税の納税義務は免除されないので注意が必要です。

消費税の納税義務は、企業にとって、大きな負担となります。そのため、インボイス登録をするかしないかは、その事業の内容を踏まえて検討していきましょう。

会社形態の適切な選択基準

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企業規模に適した形態

どの会社形態がより適しているかは、事業の規模や目的によって異なります。会社形態は、企業の規模や目的によって異なります。

中小企業や個人事業主の場合には、合同会社が適している場合があります。合同会社は、株式会社に比べて、設立費用が低く抑えられ、維持費も安く済む傾向があります。また、合同会社は、株式会社に比べて、経営の自由度が高いというメリットもあります。

一方、大企業や成長を志す企業の場合には、株式会社が適している場合があります。株式会社は、合同会社に比べて、資金調達力が高く、信用力も高いというメリットがあります。また、株式会社は、合同会社に比べて、経営の安定性が高いというメリットもあります。

このように、会社形態は、企業の規模や目的によって異なります。そのため、会社設立前に、それぞれの会社形態の特徴を理解しておくことが重要です。

事業内容と将来の展望

将来的な事業拡張や資金調達の計画に基づいて最適な会社形態を選びましょう。会社形態は、事業内容や将来の展望によって異なります。

事業内容が複雑で、将来的な事業拡張を計画している場合には、株式会社が適している場合があります。株式会社は、合同会社に比べて、資金調達力が高く、信用力も高いというメリットがあります。また、株式会社は、合同会社に比べて、経営の安定性が高いというメリットもあります。

一方、事業内容がシンプルで、将来的な事業拡張を計画していない場合には、合同会社が適している場合があります。合同会社は、株式会社に比べて、設立費用が低く抑えられ、維持費も安く済む傾向があります。また、合同会社は、株式会社に比べて、経営の自由度が高いというメリットもあります。

このように、会社形態は、事業内容や将来の展望によって異なります。そのため、会社設立前に、それぞれの会社形態の特徴を理解しておくことが重要です。

専門家のアドバイスを活用

税理士や専門家に相談して、自分に最適な会社形態や節税対策を見つけることが重要です。会社形態は、企業にとって重要な要素です。そのため、会社設立前に、税理士や専門家に相談して、自分に最適な会社形態や節税対策を見つけることが重要です。

税理士は、税務に関する専門知識を有しており、会社設立に関するアドバイスや節税対策の提案を行うことができます。また、専門家は、会社設立に関する手続きや書類作成をサポートすることができます。

税理士や専門家に相談することで、会社設立に関するリスクを回避し、スムーズに事業をスタートさせることができます。

まとめ

本記事では、合同会社と株式会社の税金や設立費用の違いについて解説しました。各会社形態の特徴を理解し、自分のビジネスに最適な形態を選ぶ参考にしてください。合同会社と株式会社は、それぞれにメリットとデメリットがあります。そのため、会社設立前に、それぞれの会社形態の特徴を理解し、自分のビジネスに最適な形態を選ぶことが重要です。

合同会社は、設立費用が安く、経営の自由度が高いというメリットがあります。一方、株式会社は、資金調達力が高く、信用力も高いというメリットがあります。

自分のビジネスに最適な会社形態を選ぶためには、事業内容、規模、将来の展望などを考慮する必要があります。また、税理士や専門家に相談することで、より適切な会社形態を選択することができます。

会社設立についてのコラム

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税理士 山本聡一郎
山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。
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