事業を行ううえでは、成功のみならず、残念ながら失敗する方もいます。そこで検討されるのが自己破産です。自己破産は借金問題を根本から解決するための手段として知られています。しかし、それにはさまざまなメリットとデメリットが存在します。今回の記事では、自己破産の基本情報、メリットやデメリットなど注意点を詳しく解説します。
なお、事業を行う上で黒字倒産も意識する必要があります。黒字倒産について知りたい方はこちらの記事がおすすめです。
このページの目次
自己破産とは?自己破産の基礎知識
自己破産の定義と種類
自己破産とは、借金返済が不可能になった人が、裁判所に申し立てを行い、借金を免除してもらう手続きです。借金問題を抱える人にとって、最後の手段ともいえる方法です。自己破産には、管財事件と少額管財事件の2種類があります。
管財事件は、債務者の財産を管財人が管理し、債権者に対して配当を行う手続きです。債務者は、裁判所から破産宣告を受け、財産をすべて失うことになります。一方、少額管財事件は、債務者の財産が少なく、管財人が不要と判断された場合に適用される手続きです。管財人が選任されないため、手続きが簡素化され、迅速に借金が免除されます。
自己破産と他の債務整理方法の違い
自己破産は、任意整理や個人再生といった他の債務整理方法と比べて、借金をすべて免除できるという大きなメリットがあります。しかし、同時に、クレジット機能の制限や職業制限など、デメリットも存在します。
任意整理は、債権者と交渉して借金の利息や元金の減額、返済期間の延長などを図る方法です。自己破産と比べて、手続きが比較的簡単で、信用情報への影響も小さいため、借金の額が少なく、返済能力がある程度見込める場合に適しています。
個人再生は、裁判所に申し立てを行い、借金を減額したり、返済期間を延長したりすることで、借金の返済を可能にする方法です。自己破産と比べて、財産を失うリスクが少なく、信用情報への影響も小さいですが、一定の収入や財産が必要となります。
自己破産、任意整理、個人再生のいずれが最適な方法かは、借金の状況や収入、財産など、個々の事情によって異なります。そのため、弁護士などの専門家に相談し、最適な方法を選択することが重要です。
自己破産することのメリット
借金から解放される
自己破産最大のメリットは、借金から解放されることです。自己破産が認められると、すべての借金の支払い義務が免除されます。借金返済に追われる日々から解放され、心身ともにリフレッシュすることができます。借金返済のために働いていた時間やエネルギーを、新たな目標に向かって使うことができるようになります。
生活に必要な財産は保護される
自己破産手続きでは、生活に必要な財産は保護されます。例えば、住宅、生活必需品、仕事に必要な道具などは、原則として手元に残すことができます。そのため、自己破産によって生活基盤が大きく崩れることはありません。ただし、高額な財産や、借金の原因となった財産は、原則として売却され、債権者に配当されます。
取り立てや法的手続きからの解放
自己破産手続き中は、債権者からの取り立てや法的手続きが停止されます。そのため、借金返済のプレッシャーから解放され、安心して生活できる環境が整います。借金問題に悩んでいた人にとって、精神的な負担が軽減される大きなメリットです。ただし、自己破産後も、債権者から連絡が来る場合があるため、弁護士などの専門家に相談し、適切な対応をすることが重要です。
自己破産することのデメリット
クレジット機能が制限される
自己破産後は、クレジットカードやローンの利用が制限される可能性があります。自己破産の情報は、信用情報機関に登録されるため、金融機関は自己破産者に対して、融資やクレジットカードの発行をためらう傾向があります。自己破産から数年は、クレジット機能が制限されることを覚悟しておく必要があります。ただし、近年では、自己破産後でもクレジットカードを発行してくれる会社も増えてきています。
一部の職業に就くことができない
自己破産は、一部の職業に就くことができない場合があるというデメリットがあります。例えば、金融機関や弁護士などの職業では、自己破産歴があると就職が難しい場合があります。また、資格取得にも影響が出る可能性があります。自己破産を検討する際には、将来の職業プランを考慮する必要があります。
官報への掲載
自己破産をすると、名前と住所が官報に掲載されます。官報は、誰でも閲覧できる公的な情報誌です。そのため、プライバシーの観点から、自己破産を周囲に知られたくない場合は、注意が必要です。ただし、官報への掲載は、自己破産手続きの公開性を確保するために行われるものであり、違法ではありません。
自己破産するための条件とは
支払い不能の状態とは
自己破産が認められるためには、支払い不能の状態であることを証明する必要があります。支払い不能とは、借金の返済が不可能な状態を指します。具体的には、収入が少なく、借金の返済に充てることができず、生活費もまかなえない状態などが挙げられます。支払い不能の状態を証明するためには、収入や支出の状況を明確に示す必要があります。
非免責債権や免責不許可事由について
自己破産手続きでは、すべての借金が免除されるわけではありません。非免責債権と呼ばれる、免除されない借金が存在します。非免責債権には、税金、養育費、損害賠償金などが含まれます。また、免責不許可事由に該当する場合は、自己破産が認められないことがあります。免責不許可事由には、虚偽の申告、悪意のある財産の隠蔽、ギャンブルによる借金などが含まれます。
自己破産の手続きの流れと注意点
自己破産手続きの全体像
自己破産手続きは、弁護士などの専門家に依頼するのが一般的です。弁護士に依頼することで、手続きをスムーズに進めることができます。自己破産手続きの流れは以下のとおりです。
1.弁護士への相談
2. 自己破産申立の準備
3. 裁判所への申立
4. 債権者集会
5. 免責許可決定
6.破産手続の終了
自己破産手続きは、複雑で時間のかかる手続きです。そのため、弁護士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。
弁護士に依頼する場合の費用
自己破産の手続きには、弁護士費用などの費用がかかります。弁護士費用は、弁護士事務所によって異なりますが、一般的には、着手金と成功報酬の2種類が請求されます。着手金は、弁護士が業務を開始する際に支払う費用です。成功報酬は、自己破産が認められた場合に支払う費用です。弁護士費用は、高額な場合もあるため、弁護士に相談する際には、見積もりを把握しておくことが重要です。
自己破産は、借金問題を抱える人にとって、最後の手段です。しかし、自己破産には、メリットとデメリットの両方があります。自己破産を検討する際には、弁護士などの専門家に相談し、自分の状況に合った方法を選択することが重要です。
まとめ
今回は自己破産についてお伝えしました。起業する上で成功だけをイメージをわくことが当然ですが、残念ながら事業の失敗も懸念しなければなりません。
山本聡一郎税理士事務所では、弁護士など破産に精通した専門家とも提携をしております。自己破産をすることで、利害関係者に多大な迷惑をかけることもありますが、決して人生の終わりではありません。
自己破産を検討をしている方は一度お問い合わせください。