福利厚生費は節税になる?飲食費はどこまで?法人の効果的な税金対策

企業にとって経費の計上は、収益から差し引いて課税所得額を減らし、節税を実現するための重要な手段です。中でも、従業員の満足度を向上させつつ節税を実現できる福利厚生の活用は、法人税の負担を軽減するのに有効です。

しかし、福利厚生費の範囲や具体的にどこまでの飲食費が経費に含まれるのかなど、正確な知識がなければ誤った計上により課税対象となるリスクもあるでしょう。

本記事では、法人が活用できる効果的な節税について解説します。

条件を満たせば節税可能!福利厚生費の基本的なルール

福利厚生費とは、法人が従業員の福利厚生を充実させるために支出する経費のことです。

健康診断や社員イベント、保養施設の利用や交通費補助などが含まれます。これらの支出は従業員の生活を支えてモチベーションを高めるだけでなく、条件を満たせば全額を経費として計上できるため、節税効果も期待できます。

また、経費として計上するには特に次の3つの条件をクリアすることが必要です。

条件1:全従業員が対象

福利厚生費は、全従業員に公平に提供されるものでなければなりません。

もし特定の役員や一部の人だけが受け取るような支出があれば、それは給与として扱われるため、課税対象になります。

なお、一人社長の会社設立も増えている中で、一人社長の場合の扱いをまとめた記事はこちらがお勧めです。

条件2:社会通念上、その金額が妥当

認められる場合の支出は、金額が常識的な範疇であることが求められます。

例えば社員旅行であれば、日数や参加人数、目的が業務の一環として適切でなければなりません。

過度に高額な出費や、個人の娯楽に関わるものは認められにくいでしょう。

条件3:現金支給ではない

福利厚生費として計上できる支出は基本的に現物給付であり、現金で支給されるものは福利厚生費に当てはまりません。

例えば、交通費補助は現金ではなく定期券の提供など、物品やサービスとして提供される必要があります。

現金を支給すると給与とみなされ、課税対象となるため注意が必要です。

飲食費はどこまでOK?福利厚生費の対象範囲とは?

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続いては「社内イベントや社員食堂の飲食費」「社内での食事補助」といった飲食費について、福利厚生費として許容される範囲を解説します。

・社内イベントや社員食堂の飲食費 

飲食費に関しては、計上できるケースとできないケースがあります。

福利厚生費として認められる可能性が高いケースは、従業員全体が対象となる社内イベント(忘年会や新年会など)の飲食費や、社員食堂で提供される食事の費用です。

・社内での食事補助

社員の食事を福利厚生費として計上する場合、1人あたり月3,500円以下であれば認められます。

食事代の半額以上を負担して、会社が残りを補助する場合に経費として計上が可能となるのです。

・交際費との違い 

飲食費の計上では、福利厚生費と交際費を区別しましょう。

交際費とは主に取引先や外部関係者との飲食にかかる費用を指し、税務上の制限があります。

一方で、社内イベントや従業員向けの飲食費は福利厚生費として計上できるため、税務上の制約を受けません。

参考:国税庁|No.5261 交際費等と福利厚生費との区分

その他の効果的な法人の税金対策

福利厚生費を活用する以外にも、法人が取り入れるべき税金対策があります。

ここでは3つ紹介しますので、法人の税金対策を検討する際にご参考ください。

・研究開発税制の活用

研究開発を行う企業は、研究費用の一部を法人税から控除できる「研究開発税制」を活用できます。

新しい技術や商品開発を推進する企業にとって、この税制は大きな支援となるでしょう。

例えば新製品の開発や、新しいビジネスモデルを構築するための調査・開発活動に対する支出は、条件を満たせば税額控除の対象となり法人税の負担を軽減できる可能性があります。

・設備投資の税制優遇 

中小企業が設備投資を実施した場合、「中小企業経営強化税制」「中小企業投資促進税制」といった税制優遇措置を受けられます。

企業は設備投資の費用の全額を経費にしたり、設備投資額の何割かの税負担を安くしたりできる可能性があり、条件をクリアできれば税負担を軽減できるでしょう。

例えば新たな機械設備の導入やITインフラの整備などは、今後の成長を支えるだけではなく税負担の軽減にもつながるため計画的に取り入れたい節税策といえます。適用する際は、適応条件や最新の税制などについて、税理士をはじめとする専門家に詳細を確認しましょう。

・賃上げ促進税制の活用

賃上げ促進税制は、従業員の給与を前年度より一定以上増加させた場合に、企業が税額控除を受けられる制度です。

賃上げを通じて企業が税務上の優遇を受けるもので、適用要件や控除率があります。最新の適用要件や金額例を確認したうえで、長期的な計画と照らし合わせて活用しましょう。

また、令和6年度税制改正に伴い、控除率や適用期限などが変更されているため、専門家と相談しながら進めると安心です。

参考:国税庁|No.1286 給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の税額控除

まとめ 

福利厚生費を効果的に活用すれば、企業は従業員の満足度を高めながら法人税の負担を大幅に軽減できるでしょう。特に、飲食費や社内イベントの費用は適切に計上することできちんと節税効果を発揮します。

ただし、経費として計上するには「全従業員が対象」「金額の妥当性」「現金支給ではない」といった条件を満たす必要があります。

財務状況を改善し、効果的な税金対策を行うには、専門家のアドバイスが欠かせません。名古屋市の山本聡一郎税理士事務所では、法人の経営状況に応じた最適な税金対策を提案しています。プロのアドバイスを参考にしてスムーズな会社経営をされたい方はぜひ、お気軽に無料相談からご利用ください。

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税理士 山本聡一郎
山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。
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