仕事用スマホは経費で落とせる?消耗品費と固定資産の違いを徹底解説!

会社はもちろん、個人事業主やフリーランスが業務用スマホを購入した場合、その購入費用は経費計上することができます。

ただし、その 金額 や 用途 によって「消耗品費」として処理するか、「固定資産」として計上するかが変わりますので、この違いを正しく理解し、事業計画に合わせた節税対策を行うことが重要です。

今回は、具体的な事例や仕訳方法を交えながら、会計処理のポイントを詳しく解説します。

※スマホの事例を紹介しておりますが、基本的にタブレットやノートパソコンについても同様であると考えていただいて問題ありません。

スマホを消耗品費として処理する場合

購入したスマホが消耗品費に分類されるのは、以下の条件を満たす場合です。

・購入金額が10万円未満

・使用期間が 1年未満

この方法では、購入時に全額を経費として計上できるため、即効性のある節税効果を期待できます。

【具体例】

社員用の業務連絡用スマホの導入
1台8万円のスマホを5台購入。
1台あたりが10万円未満のため、消耗品費として処理することが可能です。

短期プロジェクト用スマホ
展示会で使用するために5万円のスマホを3台購入。
プロジェクト終了後は不要となるため、こちらも消耗品費に分類されます。

レンタル用途のスマホ購入
一時的なレンタルや顧客対応で使用する7万円のスマホも、消耗品費として処理が可能です。

【仕訳例】

    借方     /      貸方

消耗品費 80,000円  /   現金 80,000円 

摘要:社員用スマホ購入費用

2. スマホを固定資産として処理する場合

購入金額が10万円以上または使用期間が1年以上と見込まれるスマホは、固定資産として計上します。
この場合、減価償却を適用し、数年間にわたって費用を分割計上します。

消耗品費とは違い、即効性のある節税効果ではありませんが、短期的なキャッシュフローへの影響を抑え、利益の調整が可能になります。

また、固定資産として減価償却を行うことで、貸借対照表上で資産の適正な価値を保つことができ、投資判断や経営分析に役立ちます。

【具体例】

経営者用の高性能スマホ
15万円の最新スマホを購入し、長期間使用。

固定資産として減価償却を適用。

業務専用スマホ
営業スタッフが日常業務で使用する12万円のスマホ。

耐用年数が3年のため、固定資産扱い。

開発用の高機能スマホ
アプリテスト用に購入した20万円のスマホ。

長期使用が前提で固定資産に分類。

【仕訳例】

    借方     /      貸方

工具器具備品 150,000円  / 現金 150,000円 

摘要:経営者用スマホ購入費用

3. 節税に有利なのは消耗品費?固定資産?

経費計上をする際に、できるだけ節税に有利な方を選びたいと思うでしょう。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、状況に適したものを選択しましょう。

消耗品費の場合

購入時に全額を経費計上できるため、当期の利益が大きい場合や即効性のある節税を求める場合に有効です。

固定資産の場合

減価償却を適用することで、数年間にわたり費用を分散。長期的な利益調整が必要な場合に適しています。

一括償却資産の活用

購入金額が 10万円以上20万円未満 の場合、「一括償却資産」として3年間で均等償却も可能。消耗品費ほど即効性はありませんが、短期間で費用化できます。

一括償却資産の活用には青色申告をしていることが条件となります。
白色申告の事業者は、この方法を利用することができませんのでご注意ください。

少額減価償却資産の特例の活用

少額減価償却資産の特例は、中小企業者や個人事業主が10万円以上30万円未満の減価償却資産を購入した際、その資産の費用を購入した年度に全額経費として計上できる制度です。

取得価格が10万円以上30万円未満の減価償却資産(例:業務用のパソコンや機器)が対象で、この特例で経費化できる資産の合計は、年間300万円までと定められています。

⚫︎減価償却に関する過去の記事はこちら

4. プライベート使用が含まれる場合の処理方法

業務とプライベートの両方でスマホを使用する場合、 家事按分 を行い、業務割合に応じて経費計上します。

【按分例】

業務割合:70%

スマホ購入費用:15万円

按分計算:

業務用経費:15万円 × 70% = 10万5,000円

プライベート使用分:15万円 × 30% = 4万5,000円

【仕訳例】

                                        借方     /      貸方

借方:工具器具備品 105,000円(業務分) 

借方:事業主貸 45,000円(プライベート分)  /  貸方:現金 150,000円 

摘要:業務兼プライベート使用スマホ購入費用

業務割合は、使用時間や目的に基づき 合理的な基準 を設定する必要があります。

合理的な基準の判断が難しいという場合は税理士に相談するようにしましょう。

5. 注意点と実務のポイント

耐用年数

スマホの税法上の耐用年数は3年とされています。固定資産として計上する場合、3年間で減価償却します。

ちなみにタブレットも同じく携帯端末としてスマートフォンと同様に「通信用機器」に分類され、耐用年数は3年と定められています。

ノートパソコンやデスクトップパソコンは、いずれも電子計算機に分類され、耐用年数は4年です。

⚫︎国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表

帳簿管理の徹底

複数台購入の場合、1台あたりの価格を明確に区別し、消耗品費か固定資産かを正確に分類します。

領収書の保管

購入時の領収書や明細を必ず保存しておきましょう。税務調査時に用途を説明できるように準備しておくことが大切です。

まとめ

会社でスマホを購入する際は、 金額 と 用途 に基づき「消耗品費」か「固定資産」に分類します。

消耗品費:10万円未満、一括計上で即効節税。

固定資産:10万円以上、減価償却で長期的な調整が可能。

さらに、業務とプライベートで兼用する場合は家事按分を行い、合理的な割合で処理することが重要です。

迷った場合は専門家に相談し、適切な会計処理を進めましょう。

当事務所では、スマホやパソコンなどの機器の購入費用や経費処理についてもサポートを行っています。お気軽にご相談ください!

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税理士 山本聡一郎
山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。
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