海外出張・取引の経費精算レートは?外貨の経費・売上を円に換算するルール

近年、越境ECやインバウンドビジネスの拡大により、海外の顧客や取引先とのやり取りが増えています。

「海外でかかった経費を精算したい」「外貨で入金された売上をどう帳簿につければいいの?」といった疑問を持つ経営者や個人事業主は少なくありません。

外貨建ての取引を日本円で帳簿に記録する際には、正しいルールを知らないと、思わぬ税負担や税務調査での指摘につながる可能性があります。

この記事では、海外取引における外貨の経費や売上を日本円に換算する際の基本的なルールを、税理士の視点から分かりやすく解説します。

1・外貨の経費・売上を日本円で計上する際の原則

外貨建ての取引を帳簿に記録する場合、原則としてその取引が発生した日の為替レートで日本円に換算します。

① 外貨での経費精算の場合

2025年6月1日

海外出張で100ドルの交通費を支払った。(この日のレート:1ドル=150円)

2025年6月10日

日本に戻り、経費精算を行った。(この日のレート:1ドル=155円)

この場合、帳簿に計上する金額は、取引が発生した日(6月1日)のレートを適用した15,000円(100ドル × 150円)となります。

これは、会計原則上、取引の事実を正確に記録する必要があるためです。

② どの為替レートを使うべき?

為替レートは日々変動するため、「いつの」「どのレート」を使うか迷う方も多いでしょう。

TTM(仲値):銀行が公示する売買の中間レートです。多くの企業がこのTTMレートを取引発生日のレートとして採用しています。

TTB(買値):銀行が顧客から外貨を買い取る際のレート。

TTS(売値):銀行が顧客に外貨を売る際のレート。

これらのレートは、経費精算システムや経理ソフトに自動で反映される場合もありますが、手動で計上する場合は、取引発生日のTTMレートを確認して計上するのが一般的です。

2・為替差損益の取り扱い

外貨建ての取引では、取引の発生日と実際に決済を行う日で為替レートが変動するため、その差額が「為替差損益」として発生します。

① 海外からの売上入金の場合

2025年5月1日

海外の取引先に1,000ドルの商品を出荷(売上が発生)。この日のレートは1ドル=150円。

売上計上額:150,000円(1,000ドル × 150円)

   借方     /   貸方

売掛金 150,000円 /売上高 150,000円

2025年6月1日

取引先から1,000ドルが入金。この日のレートは1ドル=155円。

入金額:155,000円(1,000ドル × 155円)

   借方     /   貸方

普通預金 155,000円 / 売掛金 150,000円

差額(為替差益)

入金額と売上計上額の差額5,000円が、「為替差益」となります。

   借方     /   貸方

普通預金 5,000円 / 為替差益 5,000円

為替差損益は、取引が決済された時点で初めて認識し、損益計算書に計上します。

② 越境ECの場合(クレジットカード決済)

越境ECのように、クレジットカード決済で売上が発生する場合、為替差損益は原則として発生しません。

これは、売上が発生した時点で、クレジットカード会社によって決済額が日本円に換算されて確定するためです。

その後、クレジットカード会社から事業者の銀行口座へ入金される金額は、すでに日本円で確定しているため、為替変動による差額は生じないのです。

ただし、決済代行会社やクレジットカード会社から入金される金額は、手数料が差し引かれた後の金額になる点には注意が必要です。

3・期末のレート換算と消費税の注意点

① 期末レートでの換算(決算時)

決算日(期末日)時点で、まだ入金・出金が済んでいない外貨建ての売掛金や買掛金がある場合、その期末日の為替レートで再換算する必要があります。

これにより、期末の貸借対照表の金額を時価に近づけ、正確な財産状況を反映させることができます。

② 消費税の注意点

海外の事業者との取引は、原則として消費税の課税対象外です。

海外への売上

輸出取引となるため、消費税は免税(0%)。

海外からの仕入れ

輸入取引となるため、消費税はかかりません。ただし、輸入時に税関で消費税を支払う場合があり、その場合は仕入税額控除の対象となります。

海外出張時の経費(ホテル代、食事代、交通費など)は、日本の消費税はかからないため、消費税の区分を「対象外(不課税)」として経費計上します。

まとめ

外貨の経費や売上を日本円に換算する際は、取引が発生した日の為替レートを適用するのが基本ルールです。

また、為替レートの変動による差額は「為替差損益」として適切に処理する必要があります。

これらの外貨取引の経理処理は複雑で、一つ間違えると税務調査で大きな問題に発展する可能性があります。

「海外取引の経理処理が合っているか不安…」 「為替差損益の計算方法が分からない…」

海外取引や越境EC事業を展開されている方は、ぜひ一度、税理士にご相談ください。

私たちは、複雑な外貨取引の経理処理をサポートし、あなたの事業の健全な成長を支援します。

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税理士 山本聡一郎
山本聡一郎税理士事務所 代表税理士。1982年7月生まれ。名古屋市中区錦(伏見駅から徒歩3分)にてMBA経営学修士の知識を活かして、創業支援に特化した税理士事務所を運営。クラウド会計 Freeeに特化し、税務以外にも資金調達、小規模事業化持続化補助金などの補助金支援に力を入れている。

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